[M&A事例]Vol.144 創業2期目のスタートアップ企業が更なる成長実現のため譲渡。ジャフコグループと共に短期間でIPOを実現
創業2期目にして成長を加速させるべく、日本を代表するベンチャーキャピタルへのグループインを選択し、IPOを実現したAVILENの成長戦略を伺いました。
譲渡企業情報
※M&A実行当時の情報
2018年10月M&Aを実行された株式会社インサイト 前代表取締役 九鬼 隆章様に、M&Aを決意された経緯や心境、現在のご様子について日本M&Aセンター上田がお伺いしました。
九鬼様: 神戸大学工学部卒業後、大手電機メーカーに就職し、東京で20年超、技術者として勤務をしておりました。実家で1人暮らしをしていた母親の健康状態が思わしくなかったので、関西へ戻ることを希望したところ、希望がかない、関連会社への出向という形で関西に戻ることになりました。その後、パートナー企業の募集が東京・大阪で出てきたこともあり、良い機会と考え大阪にて会社を立ち上げました。創業初年度から、もともと業務が確保されていたので、社員12名、年商3億円の規模でスタートできました。3期目には年商6億円、社員数も53名まで増え、リーマンショックまでは業績も順調に推移していました。
日本M&Aセンター(以下MA)上田: 2008年のリーマンショックで売上が激減したそうですね。
九鬼様: リーマンショック後、すぐに影響があったわけではなく、徐々に影響が広がって業務が減っていきました。2009年9月期まではそれでも何とか体裁を整えていましたが、その翌期には売上が半分まで落ち込みました。業績が下がることを予想はできたので、リストラをする必要があると考えました。「次の職が見つかりやすい若手から退職を勧めよう」と判断し、実行しました。
これは今思えばとても後悔しています。これほどの人材不足になるとは当時思っても見ませんでした。あのとき、踏ん張って全員雇用を続けていればと、何度も思い返し後悔しています。しかし、これだけでは終わりませんでした。番頭格である役員が病気退任することになり、後継者がいない状態となったのです。そこで、新規事業として自社独自製品を開発し、その事業化を通して、後継者人材を育成しようとしたのですが、人材育成までは至りませんでした。
まずは情報収集から
MA上田: その後、事業承継を考えられるようになったわけですね。
九鬼様: 65歳をすぎたあたりから、事業承継について考えるようになりました。当時、M&Aのセミナーにいくつか参加しましたし、信頼のおける経営者にも相談したりしました。そのときの反応は「もうちょっと頑張ってみれば」といったところで、M&Aにはどちらかと言うとネガティブな感じでした。それから2年ほど経ち、社内の部長格で経営を任せたい、という人材がでてきたので、社長にならないか、と聞いてみました。「経営していく自信がまだない」との反応だったので、私もだんだんと焦ってきました。そんな頃、大阪商工会議所から毎月送られてくるパンフレットの中に事業承継の相談窓口があることを思い出し、出向いた先が「事業引継ぎ支援センター」でした。
重要視したのは「持続性」と「従業員」
九鬼様: 事業引継ぎ支援センターで相談をした結果、事業承継問題をM&Aで解決しようと決め、M&Aの仲介専門業者を3社紹介されました。私の会社の規模で譲り受けしてくれる会社はあるのか、半信半疑でしたが、IT関連業種は現在M&Aが活発で、候補先が見つけやすいと教わりました。3社とも面談し、丁寧に対応していただいたのですが、最終的な決め手として、情報量の豊富さと全国規模で展開していることから、日本M&Aセンターに依頼することに決めました。
M&Aを進めていくときに、要望をだしました。「当社の事業の継続性が担保されること」と、「従業員の継続雇用」です。特に人材については、ここ2、3年人材が採用できない状況が続いていたのですが、今いる人材に対しては新入社員の頃から全員資格を自主的にとってもらうように、取得補助金や合格報奨金制度をつくったりして育ててきたところもありましたので、その部分の思い入れは強かったですね。
MA上田: お相手探しを開始したわけですが、その頃の心情はいかがでしたか。
九鬼様: 最初は、書類の収集、企業評価と案件化に2ヵ月くらいかかり、実は少し熱が冷めかけていました。M&Aを決断したわけですから、早く進めたいのが経営者の心情かとも思うのですが、長く待たされた気分でしたね。
MA上田: M&Aはお相手が確認するべき点が多くあります。社内で専門家チームと相談しながら進めますので、お待たせしてしまったかもしれません。
九鬼様: ところが、企業概要書(譲渡希望企業の情報をまとめたもの)完成後、1ヵ月も経たないうちに担当の上田さんから、具体的な譲受候補が7社も出てきました、と言われ、びっくりしました。これがマーケットなのか、日本M&Aセンターのパワーなのかわかりませんが、このスピード感には驚かされました。
買い手候補を見ると、人材派遣業や介護サービス業などの異業種も含まれていて、それも驚きだったのですが、自社の状況やM&Aで実現したいことを考えると近しい業種のほうが良いと考えました。結局、3社に絞ったうえでトップ面談をしました。
MA上田: 最初にきっちりと情報を整理し、資料作成すれば、お相手候補企業の検討が円滑に進みます。この積み重ねによって譲受を考える企業から信頼されていることも当社の強みです。
九鬼様: 最終的に私がお相手に選んだ企業はセキュリティソフトを主に扱っている企業です。セキュリティはこれからも必要な分野だし、将来性があると思い選択させていただいたのです。
両社の社員の交流を大切にしています
MA上田: 成約後の両社の交流はいかがでしょうか。
九鬼様: お相手の企業は人材を非常に大事にしてくれています。M&A後に全社員の面談をしてくれたり、技術面での人材交流をはかってくれたり、徐々に、両社がグループ会社になった実感が出てきています。グループ入りして直ぐに、両社の全社員が集まってグループ会社発足記念パーティーが開催されました。あちらこちらのテーブルで、両社の社員が、お互いに旧知の社員同士のように会話が弾み、楽しそうに語り合っていたことに、驚き、そして感動を受けました。これで一区切りがついたのかと感慨深いですね。
私も人材確保をするために、M&Aで会社を買い、会社を大きくしたいと考えていました。会社の成長を考えると、M&Aを活用することが効果的で、売る・買うの両面があります。その両面を意識して経営ができれば、もっと大胆に思い切った舵取りができるのではないでしょうか。
これから人口が減少し、これまで経験したことのないマーケットへと変化していくと思います。経営者として情報収集などの準備は大切です。
M&A成功インタビューは、 日本M&Aセンター広報誌「next vol.12」にも掲載されています。
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