業界メガ再編で変わる10年後の日本とは?
⽬次
- 1. 業界再編型M&Aの加速
- 2. 国内の企業数が減少し、加速する業界再編
- 3. 今後10年で、何が変わる?
- 3-1. 著者
今、日本のさまざまな業界で、これからの大再編時代を予感させるような現象が起きていることをご存じでしょうか? 優良ベンチャーの経営者が伸び盛りの自社を大企業に売却したり、成熟した企業がITベンチャーと組んで業界再編を仕掛けたりするケースが増えています。これまでのように「IT×IT」のような同種の組み合わせから、「IT×成熟業界」といった異質な組み合わせの資本提携や業務提携に変わり、成熟業界が新しいテクノロジーによって刷新されているのです。成熟業界とは、例えば、建設・農業・ホテル・タクシーなど10年以上同じもの(サービス)を提供している業界のことを指します。こうした業界では、業界内のM&Aで集約化が進んだり、IT企業と組んだりするほか、コンセプトを定義し直し、業態自体を進化させていく可能性があります。特にITを軸に業界が再編されていくという意味では、大きなインパクトがある業界だといえます。
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業界再編型M&Aの加速
「業界再編型のM&A」というと、同業種でくっつき、経営規模を大きくすることと誤解されている場合が多くあります。 確かに一見すると「業界再編時代」に起きているM&Aは、同業種でM&Aをしてシェアを獲得していくことですが、経営者が真に目指しているのは「規模の拡大」ではなく「ビジネスを進化させること」です。 単に規模拡大や同業者との争いに勝つことを目的としたM&Aではなく、過去の延長線上から抜け出し新しい業態を生み出したり、次のステージに進んだりすることを目的とした「業界再編型のM&A」が有効な時代はすでに到来しているし、今後もますます進んでいくでしょう。 私自身、2015年に前著「業界再編時代」のM&A戦略No.1コンサルタントが導く「勝者の選択」を執筆した時より時代が進んだことを感じています。 業界再編の波に乗ることが大事なのはもちろんですが、そういった波を活用した“第2創業”こそがビジネスにイノベーションをもたらすことをお伝えしたいと思い、今回、新刊『業界メガ再編で変わる10年後の日本』を発刊させていただくことになりました。
国内の企業数が減少し、加速する業界再編
国内企業の数は減少の一途をたどっています。「中小企業白書」によると、中堅・中小企業等数は、2007年で420万でしたが、2027年には350万程度まで減ることが予想されています。 ただ、バブル崩壊後およびリーマン・ショック後の問題先送り型経済政策によって、今も生き残っている企業の中には、生産性の低い企業が多く含まれている状態でもあります。これは中堅・中小企業に限らず、そもそも日本には似通った事業内容の企業が多すぎることも原因のひとつに挙げられます。 したがって業界再編の進展は必ずしも悪いこととはいえないでしょう。たとえば、都市銀行はかつて13行もありましたが、その後現実に業界再編が進むと、現在の大手4行体制で誰も不自由しないことがわかってしまいました。
今後10年で、何が変わる?
医薬品卸、家電量販店、コンビニエンスストア、ビール業界などは、この10年間で大手4社前後に集約されました。 ドラッグストア、スーパーマーケット、タクシー、ガソリンスタンド、学習塾業界などでも、業界再編に一定の進展が見られます。 今後、地方銀行や信用金庫などの金融業界、ソフトウェア受託開発を筆頭にしたIT業界、電気工事や空調工事などの工事関連、拠点数が6万程度に達しているが再編が遅れている調剤薬局業界、運送業界、人材派遣業界などで、中堅・中小企業の再編が一気に加速するフェーズになります。 これからの10年がどうなっていくのか―本書では、これまでの業界再編の波を踏まえながらこれから起きる波を予想しています。 食品業界(日本ハム大社専務)、IT業界(オプト鉢嶺社長)から医療業界、介護業界など複数業界の上場企業経営者へのインタビューを通じて、一流経営者の方がこの業界再編の波をどう考えているのかも交えながら、業界の解説を掲載しています。 ぜひお手に取ってみてください!