自治体との「連携協定」ってどんなことをするの?高知県との連携協定(2018年9月)
⽬次
- 1. 地域の専門家の養成がメインテーマ
- 2. 実務者向けセミナーの内容とは?
- 3. 事業承継セミナーを終えての感想
- 4. 高知県商工会議所 高知県事業承継ネットワーク事務局
- 5. 高知県商工労働部長
- 6. 高知県の後継者不在と事業承継支援状況
- 7. 「高知県モデル」の構築に向けて
- 7-1. 著者
日本M&Aセンターは、2018年9月21日に高知県と連携協定を締結いたしました。 当社が都道府県と連携協定を結ぶのは、今回の高知県が初めてです!
都道府県との連携協定とは、具体的に何をするのでしょうか?
9月21日 高知県庁にて行った連携協定締結式の様子。地元メディアにも取り上げていただきました
地域の専門家の養成がメインテーマ
提携式で発表された連携項目はつぎの3つ。
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1.支援機関向け実務セミナーへの講師派遣
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2.実務を通じた士業専門家等支援機関へのフォロー、相談対応
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3.当社子会社であるアンドビズ株式会社の運営する売買案件等の情報共有プラットフォーム「&Biz(現・Batonz)」( https://andbiz.biz/ )の提供
今回は1.支援機関向け実務セミナーへの講師派遣 の内容について、高知県事業承継ネットワーク事務局主催で行われた実務者向け事業承継セミナーの様子をのぞいてきました。
実務者向けセミナーの内容とは?
セミナーは10月~11月の2ヵ月間にわたって全4回に分けて行われました。今回の事業承継セミナーのプログラムはこちら。
今回の事業承継セミナーのプログラム
M&Aの総論に始まり、M&Aを進めていくうえで肝となるポイントや注意するべきポイントについて、実際にあった事例や経験談を交えながら経験豊富なM&Aコンサルタントが解説。 各回を通じて地元の公認会計士・税理士や弁護士等、士業の先生方およそ80名にご参加いただきました!
(写真左)第4回会場の様子。
(写真右)第4回講師 日本M&Aセンター金融法人部 橋本。地方銀行と連携しM&Aを実施する部署に所属。また小規模事業者向けネットマッチングサービス「&Biz(現・Batonz)」の創業メンバーとして、地方でのネットマッチング活用の有用性を解説しました。
今回お邪魔したのは最終回の第4回。悪天候にもかかわらず、多くの方に出席いただき最終回を締めくくることができました。
聴講いただいた先生方からのご意見を活かし、当社としても今後ますます、内容のブラッシュアップを図りたいと思います!
事業承継セミナーを終えての感想
高知県商工会議所 高知県事業承継ネットワーク事務局
統括責任者 兼 事業承継コーディネーター
山本 正孝様
これまで3回分のアンケートに目を通していますが、多くの方から大変満足というご回答をいただいています。地方においては、たとえ士業の先生方であっても、M&Aについては実績もノウハウも少ないという状況にあって、今回のセミナーは「これを機に」というきっかけになったのではないかなと思います。これから次のステップに向けての連携の取組みもぜひ期待しています。
高知県商工労働部長
近藤 雅宏様
県としても事業承継の重要性は切実に感じています。今回のセミナーは全4回のうち2回を聞きましたが、皆さん本当に熱心に聞いていただいたのではないかなと思います。地域関係機関、士業、金融機関の皆さんの協力なしでは、事業承継は実現できないと思う一方で、ボランティアでお願いするのはなかなか難しいと感じていました。このようにお仕事として取り組める形でご提案いただけるのは本当にありがたいことだと思います。「高知県モデル」の構築を目指し、事業承継に繋がる様々な取組みを県としてバックアップしていきたいと思います。
高知県の後継者不在と事業承継支援状況
高知県企業の後継者不在率は58.10%(帝国データバンク、四国地区『後継者不在企業』動向調査(2018年)より)。全国平均の66.4%には及ばないものの、それでも半数以上の企業に後継者がいない状況です。
また、2025年までに今ある県内企業の約35%に当たる1万社が減少する試算もあり、これは全国的にも非常に速いペースです。
高知県企業数の将来推計
また四国エリア全体でみると、倒産に対する企業の休廃業・解散件数は6.58倍と全国トップです(全国平均2.91)(帝国データバンク、四国地区『休廃業・解散』動向調査より)。
当社過去3年の成約データではM&A成約時の代表平均年齢は66.4歳と全国でもっとも高く、事業承継の対策が遅れていると懸念されます。
このような状況を受け高知県では、高知商工会議所が「事業引継ぎ支援センター」の役割を受託運営し、2015年4月から2018年3月末までの3年間で累計321件の相談を受け、28件のM&A成約や事業承継計画の策定を行いました。
2018年7月には、高知商工会議所に「高知県事業承継ネットワーク事務局」が設立され、国の新たな事業である「プッシュ型事業承継支援高度化事業」を推進しています。この事業は、事業承継ニーズの掘り起こしを目指す「事業承継ネットワーク構築事業」と、掘り起こされた案件に対して地域の専門家が個別支援を行う「プッシュ型支援強化事業」の2つの事業から成り立っています。
「事業承継ネットワーク構築事業」については、2018年12月現在、商工団体、金融機関、士業団体等29の支援機関が参加し、事業承継ニーズの掘り起こしに取り組んでいます。一方、「プッシュ型支援強化事業」における個別支援については、地域の専門家が少なく、また特定エリアに偏っていることが課題になっています。
そのため、今年度、高知県では、実務的な研修を行い事業承継にかかわる士業専門家を養成することで、中長期的に充実した支援体制の構築をしようと掲げています。 今回の事業承継セミナーはその取組みの一つとして行われたものです。
「高知県モデル」の構築に向けて
当社の成約案件の半数以上は地方での案件です。これまでに培ったノウハウや実績を、地域専門家の皆さんと共有することで、自治体での成功モデルの構築に少しでもお役立ちできれば幸いです。
当社のミッションである「企業の存続と発展」への貢献を、自治体の皆さまと一緒に実現できればと思います! 今後も高知県と日本M&Aセンターの協業の取組みについて、高知企業の紹介を交えながら定期レポートしたいと思います!お楽しみに!