資産づくりは人生づくり―AIがもたらす“21世紀型の価値ある資産づくり”の秘訣とは?
⽬次
- 1. 個人の資産づくりは勝ちにくい
- 2. 資産を増やして、自分は何をしたいのか?
- 3. 情報格差が資産格差になってはいけない
- 4. 自分さえよければいいをなくす
- 4-1. 著者
AI×資産形成のテック系FPカンパニー、コモングッド株式会社。「自分さえよければいいをなくす」を経営理念とし、テクノロジーと人のチカラで誰もが安心して資産づくりができる社会を目指しています。 創業したのは、同社代表取締役CEOである鈴木大互さん。 貯蓄好きで投資嫌いといわれる日本人は、今どのように資産を作っていけばいいのでしょうか? 鈴木さんが創業にかけた想いから、今の資産づくりのトレンドまでを、日本M&Aセンター 経営企画室 石川雄大がお伺いしました。
コモングッド株式会社 代表取締役CEO 鈴木大互さん
個人の資産づくりは勝ちにくい
―元々はソフトバンク株式会社でBtoBビジネスの新規事業企画などを行っていらっしゃったんですよね。なぜFPカンパニーを設立したんでしょうか? 『起業したい』という想いは学生時代からあったのですが、どんな会社にするかはまだ決めてなかったんです。 当時の自分の資産のポートフォリオは酷いもので(笑)、ある先輩から『しっかり考えたほうがいい』とアドバイスをもらって保険プランナーに会ったのがきっかけですね。資産形成なんて全く考えていませんでした。 そんな自分ですが、実際にプランナーの方に会って『これは自分の家計をきちんと考えないといけない』と思い、不動産投資や投資信託などを検討するようになりました。 そこで感じたのは、“個人の資産づくりは勝ちにくい”ということ。 保険代理店も証券会社も本当にたくさんの商品をもっていますから、それをすべて聞いて比較するには膨大な時間が必要です。 じゃあどうやってみんな資産形成しているのかと思って周りに聞くと、『知り合いに勧められたから』というのが圧倒的に多かった。多くの人が不十分な情報の状態で、“信用”だけで商品を買っているんですよね。 これでは、とても勝てない。そう思いました。
一方で、不動産投資や保険については、大きな情報格差もあることに気付きました。 良い物件は資産家に集中的に紹介される現実がありますし、どんな担当者になるかで選択肢も変わってきます。 この状況をどうにかできないかと思い、『自分が学んできたITと、培ってきたネットワーク力でこの分野に切り込もう』と考えて設立したのがコモングッドです。
資産を増やして、自分は何をしたいのか?
―ご自身でいろんな投資を学んだからこその想いで起業されたんですね。資産づくりときくと、子どもが生まれたり家を買ったりといったライフステージの節目を想像します。 若い人にとってはすこし遠くに感じることかもしれませんよね。 資産づくりは、将来の人生を設計すること。 漠然と『資産を増やしたい』では絶対に増やせません。 『資産を増やして、自分は何をしたいのか?』が一番重要なんです。 当社の個人向けカルテには、実現したい夢や目標を記入いただく欄があります。『起業する』といった夢や、『毎年海外旅行に行く』など具体的な目標まで、内容はなんでもいいんです。 投資は長期的にみていくものなので、夢や目標にむけて頑張っていくという姿勢を大事にしていただいています。 目先の利益だけで一喜一憂するのが資産形成ではありませんから。
実際に石川もカルテを作成させていただきました
情報格差が資産格差になってはいけない
―夢や目標達成のために必要なお金を準備する、と思うと投資の選択肢も変わってきますね。今は政府もiDeCoやNISAなど、“投資しない日本”を打破すべく優遇される制度も打ち出しています。 『分かりやすくて優遇されていて増えそう』というきっかけで、“なんとなく”投資を始める方も増えてきましたね。貯蓄だけでは老後資金が不安なので、投資を考え始める方も増えました。今の時代のトレンドと言えます。 きっかけは何にせよ、そこから目標を立てて取り組んでいただきたいです。 特に不動産投資や保険は、担当者と商品によって大きな差が生まれます。 どんな担当者になるかによって、紹介される商品も大きく変わってきます。つまりここで、情報格差が生まれてるんですね。 担当者も営業ですから、優良顧客には良い商品情報を流します。そうやって一部でしか良い商品が流通しなくなってしまう。 情報格差が、資産格差につながってしまうんです。 そこでAIというテクノロジーを使って、情報格差を是正できるのではと考えました。
「今はなんとなく投資を始める人が多いです。だからこそ、何のためか?を考えてほしい」と鈴木氏
―“正しい情報”が大事なんですね。普通の人は、そこで情報格差が生じていることにも気付くことが難しそうです。 良かれ悪かれ、いくらでも良く見せることができてしまう商品があるのが現在の不動産投資や保険です。 正しい情報があれば、そういった“嘘”はなくなる。透明性の時代が来ると思っています。 透明性を作るのは、テクノロジーの力です。 当社では過去10年・約6,000万件の不動産データベースを活用することで、将来の資産価値や家賃のシミュレーションを行っています。「立地」「競争力」「資産性」「収益性」といった観点から、取り扱いの物件を細部までチェックし、フィルタリングします。 ITの力を活用して、透明性のある情報をお伝えし、資産づくりの心強いセカンドオピニオンを目指しています。
自分さえよければいいをなくす
―これからコモングッドはどんな未来を目指していきますか? 今はFP×不動産テックの分野に特化していますが、もっとすそ野を広げていきたいですね。 当社が提供するのは“客観的な視点での正しい情報”。 今12万社あるという不動産業者ですが、業者間でも情報格差は存在しています。 業者側のシステムでもAIシステムや自社データ・マーケットデータを活用してもらって、より透明性のある不動産投資業界になるといいなと思います。
「おすすめの本です!マンガなので不動産について面白く読めますよ」とのこと。
『正直不動産』(ビックコミックス)
会社設立の想いは、“自分さえよければいいをなくす”というところがスタートでした。すべてはそこにつながっています。これから事業拡大をしていくうえでも、そういった顧客価値の最大化を念頭においてチャレンジしていきたいです。 資産づくりは、人生づくり。 たった一度の人生ですから、資産づくりも慎重になってしかるべきです。そのときに正しく納得する判断ができるように、我々はテクノロジーの力を投資分野でもっと発揮させていかなくてはなりません。 ゆくゆくは“老後難民ゼロ”の社会になるといいですよね! ―ありがとうございました。 資産づくりは、誰だって慎重になるもの。AIの力で正しい情報を手に入れることができれば、もっと安心して投資が可能になります。 「パーソナル・ファイナンシャルアドバイザーを目指しています。ジムでもパーソナルトレーニングがあるのに、資産づくりにそういった相談相手がいないのはおかしいでしょう」と話してくれた鈴木さん。労働組合などからも第三者機関としての立場を活かしたセミナー講演依頼が多いそうです。 21世紀型の価値ある資産づくりの鍵は、情報格差とAIにあるのではないでしょうか。
(右)コモングッド株式会社 代表取締役CEO 鈴木大互さんと(左)日本M&Aセンター 経営企画室 石川雄大
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