【工事業界M&A事例】40代で決断する事業承継

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【譲渡企業様】
・企業名⇒有限会社森田工産
・業種⇒鉄骨工事
・売上(M&A当時)⇒6億円
・オーナー様のご年齢⇒45歳(M&A実施当時)

【譲受企業様】
・企業名⇒株式会社エスイー
・業種⇒建設用資材の製造・販売
・売上(M&A当時)⇒187億円
・オーナー様のご年齢⇒–

譲渡企業様の概要とM&Aの検討理由

譲渡企業である有限会社森田工産(以下、「森田工産」という。)はお父様から会社を譲り受けられた2代目社長である森田氏が率いる鳥取県米子市に本社を構える鉄骨工事業を営む会社です。
譲渡企業様の詳細概要は次に記載の通りです。

・企業名⇒有限会社森田工産
・業種⇒鉄骨工事
・代表者(当初)⇒森田氏
・売上(M&A当時)⇒6億円
・本社⇒鳥取県米子市
・社員数⇒17名
・設立⇒1987年3月
・主要受注先⇒鳥取県、米子市、大成建設、森本組、大鉄工業、地元建設業者等

20年後の引退の為に今行動を起こす

森田氏は65歳の引退の為に、55歳までには後継者を探す必要があり、その為に当時43歳であった森田氏は、「今すぐに行動を開始しないと間に合わない」と危機感を感じ、その頃に(M&A検討当初)事業承継問題の解決に本気で取り組み始めました。

その当時お子様はまだ小学校にも入っていない程幼く、事業承継を現実的に考えることが出来る後継者がいないことを明確に認識しました。

換金性の無い株式相続税を子供に負担させる怖さ

勿論、森田氏は20年後成人したお子様へ継がせることも検討されていました。しかしながら、現実問題としてお子様が事業を承継してくれるかどうかも分からない、またそもそも企業が存続しているかも分からないという不安を持たれていました。

何より、仮に子供が会社を受け継いでくれたとしても、「換金性の無い株式の譲渡で発生する多額の相続税を、子供に負担させること」に対し、解決策を見いだせないまま大きな不安を感じられました。

行動せず悩んでいる方が会社のリスク

前述の様々な問題を把握しているにも関わらず、何も行動を起こさず悩んでいる状態の社長が大半でいらっしゃることでしょう。

しかしながら、これは近い将来において、会社、従業員、取引先、そして子供側に必ず生じる問題を、社長自身が現時点で認識しながらも、全く解決策を探す努力をしていないという状態になってしまうのです。

M&Aは、お相手候補が見つかり、対話を行い、成約を実現するまでは何も起きていない状態。
つまり、成約の瞬間までは何も現状と変わってない状態であり、行動を起こすことにリスクはない、と話します。

またM&Aの検討を開始しても、お相手がすぐ見つかる保証はありません。
1年後か、5年後か、あるいは20年後かもしれません。であるならば、今すぐに行動を起こすべきだと、森田氏は強調します。
森田氏自身、問題認識後すぐに行動をとったおかげで、上場企業グループの仲間入りを実現されたのです。

森田氏は現在も、上場グループ会社の取締役として現役で事業拡大のため会社を率いています。

譲受企業様の概要とM&A検討理由

譲受企業様の概要

譲受企業である株式会社エスイー(以下、「エスイー」という)は東京都に本社を構える建設用資機材の製造販売を行う会社で、ジャスダックに上場しています。譲渡企業様の概要は次に記載の通りです。

・企業名⇒株式会社エスイー
・業種⇒建設用資機材の製造・販売
・代表者⇒大津哲夫氏
・売上(M&A当時)⇒77億円
・本社⇒東京都
・社員数⇒161名
・設立⇒1980年1月
・主要受注先⇒ゴウダ、小野建、ライト工業、エムエム建材、岡部、日特建設等

建設用資器材の製造・販売事業の事業領域拡大

エスイーは東京都に本社を構える建設用資材の製造・販売事業を行うジャスダックに上場している企業グループです。

エスイーは自社の事業領域の拡大を実現することを目指し、森田工産とのM&A実施に取り組まれました。

自社グループ会社との連携による事業強化

エスイーは2014年4月に、土木・建築分野における鉄鋼製品の製造販売事業を営む鉄建工業株式会社(現エスイー鉄建株式会社)をグループ化しています。

森田工産とのM&Aを実施するにあたり、エスイーはこの鉄建工業の主力とする鉄鋼製品の製造販売事業との相乗効果、製造と施工の組み合わせによる両事業の相互拡大を狙いました。

本件M&Aで重要となったポイント

譲渡企業が享受するメリット

森田氏の率いる森田工産は、本件M&Aの実施により、エスイーという上場企業グループの一員となりました。この上場企業グループの仲間入りという事実は、「上場企業の信用力」という想像以上のメリットを森田工産にもたらしました。

この信用力は、森田氏の大きな悩みの種であった人材の採用という会社存続発展における課題を解決しました。

上場企業グループという看板を会社が手にすることで、数年間採用できなかった必要な人材の採用が、M&A実施後数か月の間に実現しました。

譲受企業が享受するメリット

エスイーは建設用資材の製造販売を行っていますが、このM&Aにより、販路拡大、事業領域の拡大というメリットを享受したことは明らかでしょう。

しかしながら、それ以上に注目すべきは、建設資材製造会社が、グループ内から直接の情報として、建設現場で何が需要として存在するかを吸収することが出来るということです。

これは取引先からは決して吸収しきれない本音の部分という情報であり、これを把握し、自社製品に反映することが建材製造競合他社との差別化を図る為に重要な要素であるといえるでしょう。

著者

日本M&Aセンター 業種特化事業部コラム制作担当

日本M&Aセンター  業種特化事業部コラム制作担当 

業種特化事業部はIT、建設・設備工事、住宅・不動産、食品、調剤薬局、物流、製造、医療・介護といった各業界に特化し、日々新たな案件に取り組んでいます。各コンサルタントのノウハウや知見を集め、有益な情報発信に努めてまいります。

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