先行きが見えない今こそ真剣に考える クリニックの事業継続・承継方法3箇条
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新型感染症が猛威を振るうなか、あらゆる業界で景気の見通しが一段と厳しくなり、法人、従業員とその家族、そして患者を守るために事業継続・承継に関しての相談が全国のクリニックから寄せられています。 世間がこのような状況の中、クリニックの事業継続・承継方法の一つの手段として多くの医療機関に注目されている第三者承継について、正確な情報を本稿にてお伝えいたします。
事業継続・承継を考え始める『ベストタイミング』は、 体力・気力・業績も順調な55歳から
まずは、下記のイメージが貴院に当てはまるか確認をしてみましょう。1つでも当てはまれば、クリニックの事業継続・承継を考えるベストタイミングを迎えているかもしれません。
(1)開業から数十年が経過、患者も安定して来院し経営も順調 (2)臨床・診療の腕にも自信あり、若い医師には負けない、まだまだ第一線でいける (3)長男は勤務医、次男は医学部在学中、後継者候補も万全だ
クリニックの事業継続・承継を考える時期はいつが最適なのか、それは「55歳から」と断言できます。開業してから十年、数十年が経ち、クリニックの業績も順風満帆、診療の腕にも磨きがかかり、息子は勤務医として働き、次男は医学部在学中。先行き不安がほとんどなく余裕のある時は、様々な情報を整理整頓し、時間に余裕を持って検討・決断ができるからです。
世間では定年退職を迎える65歳が第二の人生のスタートと呼ばれ、新しいライフプランを考えるタイミングでもあります。長年付き添い支えてくれた奥様が好きな旅行を一緒に楽しむ、趣味の釣りを毎週楽しめる場所でゆっくりと暮らす、孫の世話を間近で見てあげるなど色々な場面が思い浮かびます。
65歳という節目を見据え、今だからこそ事業継続・承継について真剣に検討してみませんか? 早いと感じるくらいが丁度いい。これが実態であり、事業継続・承継は「検討は早めに、決断は慎重に」が鉄則です。
適切な『相談先』とは?正解は情報と経験を持ち秘密保持を徹底できる企業
事業継続・承継を真剣に検討しようと思い立った時、悩ましいのは相談相手です。親・親族・友人・先輩後輩・金融機関・会計事務所・出入り業者など様々な候補が上がると思いますが、むやみやたらに誰にでも相談を持ち掛けることは避けてください。
クリニックという単体の事業でも様々なステークホルダー(利害関係者)が関与しているため、情報管理は徹底する必要があり、その相談先は限定するのが鉄則です。
最初の相談先として適切なのは、「情報と経験を持ち秘密保持を徹底できる企業」です。具体的には、(1)初回面談あるいは電話口で秘密保持に関する説明と契約をしっかりと行う企業、(2)クリニックにおける事業承継の成功事例を豊富に提供できる企業、(3)昨今の医療情勢や医療制度、トレンド、スキーム(事業承継の方法)を押さえている企業です。
日本М&Aセンターは、設立30年で累計5,000件以上の成約実績を誇り、日本で最も事業継続・承継の支援をしてきた会社です。相談の段階でも秘密保持を徹底するのはもちろん、病院・クリニック・介護事業の第三者承継を毎年100件近く成功させてきた医療・介護分野の専門集団、医療介護支援部があります。
最初の相談先に悩むことがあれば、気軽な相談窓口として日本M&Aセンターの医療介護支援部までご連絡ください。下記のようなご質問にも誠心誠意ご回答差し上げます。
(1)相談をすべき相手・してはいけない相手 (2)事業継続・承継のメリット・デメリット (3)後継者候補に確認すべき事項とタイミング (4)創業者利益(譲渡対価)の算出方法とその金額
事業承継や第三者承継(M&A)を生業とする会社が昨今非常に増えておりますが、株式会社とは違う「医療機関の事業承継」に慣れている企業は限られます。くれぐれも相談先にはご注意いただければと思います。
逆転の発想で考える、まず先に第三者承継を検討するメリット
クリニックの事業継続・承継において最も大きな課題は、託せる誰かが近くにいるか?という後継者問題です。事業を継続する・承継を実行するということは経営を委ねるだけでなく、「ヒト・モノ・カネ」を引き継ぐことになります。 長年当院に勤めてくれた従業員、患者の診療記録を綴ったカルテ、借入金や運転資金などのお金も含まれます。目には見えない患者との信頼関係や地域における認知度、近隣医療機関の医師との関係も、数字では測れないクリニックの財産として重要視されています。これらを託せる後継者候補がいるか、ご子息・ご親族含めて冷静に考えてみましょう。
一昔前、後継者候補といえば子供や娘婿などの親族から選び、いなければ最後の手段として第三者への承継を検討するのが一般的でした。しかし、子供や娘婿が医師としての経験を十分に積み、経営者としての素質があるかどうかまで判断を待っていると、事業継続・承継のタイミングを逃してしまうケースが散見されてきました。
いざ承継の話を持ち掛けようとした時には、子供や娘婿から「臨床医として病院で腕を磨きたい」「結婚相手と都心部で暮らしたい」「全国・海外を回り様々な医療を経験したい」など、想定しえない回答が返ってくる事例も実際にありました。
そこでお薦めしているのは、まず先に第三者承継から考えるという逆転の発想です。クリニックの事業価値の評価や事業継続によるメリット・デメリットを可視化し、子供や娘婿も交えて家族会議を行い、それぞれの意見や希望を聞いた上で第三者承継に舵を切るか、子供や娘婿が適齢期を迎えるまで待つかの判断ができます。
「私のクリニックを継ぐか?継がないか?」の二者択一の質問を投げかけるのではなく、現状と選択肢を、定性的に定量的に整理し、共有した上でなければ、正しい検討がご家族もできないのです。
仮に第三者承継に至った場合でも落ち込む必要はありません。経営が順調なクリニックを時間・精神的に余裕のある状態でお相手探しを始められるため、法人の評価も高くなりますし、納得のいく相手が見つかるまで待つという選択も可能です。
開業した医師であれば、いつか必ず来る事業継続・承継の壁、世間がこのような状況下だからこそ今真剣に考えてみるのはいかがでしょうか。
本稿では、事業継続・承継を検討する上で大事な『タイミング』『相談先』『承継方法』の3箇条を特筆すべき重要なポイントとしてお伝えいたしました。新型感染症が猛威を振るうなか、事業継続・承継を考えたいという声を多く頂き本稿の執筆となりました。 まだまだ余談を許さない状況下ではございますが、これを機に情報収集を始めて頂くきっかけになれば幸いです。私達は、直接医療行為は行えませんが、医療機関の経営者である皆様を、経営面からサポートすることで、「地域医療を守り、永続・発展させるために医療を繋ぐ。」この使命のために、当社だからできることを全うしたいと考えております。