国際女性デー(IWD)2021 「Ask Anna & Minako」 オンライン座談会開催レポート
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2015年9月の国連サミットで加盟国の全会一致で採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」に記載された持続可能な開発目標(SDGs:Sustainable Development Goals)。SDGsは、持続可能でよりよい世界を目指す国際目標です。発展途上国、先進国に関わらず世界各国が取り組んでおり、日本でもSDGsの取り組みが官民に関わらず重要視され、積極的に推進されています。
日本M&Aセンターグループは、SDGsの考えに共感し、社会の持続的発展と自社の継続的な企業価値の向上を目指し、サステナビリティ経営を実践しています。
そして、SDGsで示されている17のゴールの5番目にあたる「ジェンダーの平等」に対し、日本M&Aセンターが戦略として掲げた「人材ファースト」の下、男女に関わらず能力や特性に応じた活躍ができる組織作りを推進しています。2019年にグループ会社である企業評価研究所の代表取締役社長に米澤恭子が就任、2020年にはAnna Dingley、竹内美奈子の2名が取締役に就任、さらには2021年4月に株式会社出前館の経営者として辣腕を振るった中村利江が専務執行役員に就任するなど、優秀な女性リーダーの登用を加速させています。
そのような環境の中、3月8日の国際女性デー“International Woman‘s Day”(IWD)2021に、2名の女性社外取締役による座談会「Ask Anna & Minako」を開催し、全社員に向けてオンラインでライブ配信を行いました。座談会では、事前に社員から寄せられた質問に対し、Dingleyおよび竹内の両取締役から、自身の経験に基づき、多様化する社会への適応方法や仕事術等、女性が活躍しさらなる成長を目指すためのヒントやアドバイスが幅広く共有されました。
国際女性デー(IWD)2021 「Ask Anna & Minako」 オンライン座談会開催レポート
性別に関わらず“Chose to Challenge”の気持ちが大事
【質問】
日本では、国際的にみて男女平等指数が低いと言われています。
海外と日本の男女格差の違いについてどう考えていますか?
Anna: 私が仕事をしてきた金融業界では、日本でもイギリスでも女性は少なかったと思います。そのような環境で働く女性は、チャンスをいかして成功するという気持ちが必要だと思います。私がJPモルガンで働いていた時、自信を持てずにいた女性が多いと感じていました。
このInternational Woman’s Dayのスローガンは“Chose to Challenge”です。まさに、女性も積極的にチャレンジをしていく気持ちが必要なのです。
企業社会としては、組織や性別に関わらずチャレンジができる環境を作っていくことが大事でしょう。年々人々の意識が変わってきてはいますが、個人がそれぞれの強みをいかしていく努力が必要だと思います。
竹内: 私も、アメリカでもマレーシアでも、女性活躍のチャンスの格差があることを聞くことがあります。「アンコンシャスバイアス」といって、男性の役割、女性の役割を分けてしまう意識が根底にあって、それは日本だけではないと思います 。
まずは、国、地域に関わらず、性別による伝統的な役割分担が誰にでも無意識に存在することを理解する必要があります。性別に関わらず、どのような仕事でも活躍できるという前提で物事を考えていくことが重要だと思います。
「アンコンシャスバイアス」を理解することがコミュニケーションを円滑に進める秘訣
【質問】
(女性の部下から見て)男性上司とのコミュニケーションが取りづらいと感じます。
どのような意識で日々コミュニケーションをとればいいでしょうか?
竹内: 異性の上司とのコミュニケーションにおける困難は、なかなか根深い問題です。私は、男性も女性もアンコンシャスバイアスを理解し、捨て去っていくことが重要だと思います。
要は、コミュニケーションが取りづらい、考え方が違うという先入観を捨てて、コミュニケーションの糸口をお互い探してみることです。 もう一つは、コミュニケーションスタイルやモチベーションは個人によって異なることを理解し、知ろうとすることが大事だと思います。
違いを学んで、画一的ではない、思い込みがないことをチェックして、相手のコミュニケーションスタイルを知りながら進めることから始めてみることが大切ではないでしょうか。
Anna: 竹内さんがおっしゃる通り、違いを知ることが大事です。それには、男女に関わらず、相手の立場に立ち、その人の目線・考えをお互いに理解する努力をしていくことでしょう。
世界中の会社でいろいろなことが試されていますが、仕事以外の話題をも含むカジュアルなコミュニケーションも有効だと思います。
キャリアのポートフォリオを都度チェックし、自分の時間の使い方の組み合わせを考える
【質問】
子育てや介護など、私生活で取り組まなければならないことについてどう向き合ってきましたか?
人生における仕事と私生活のバランスのとり方について教えてください。
Anna: 私自身、自分の将来について心配をすることもありました。しかし、そのようなことをポジティブに変換するのが大事だと思います。
将来に不安になった時、1週間休暇を取り、イギリスの最北端から最南端まで約1400kmの道のりを自転車で旅行しました。とても楽しい旅行でした。
誰しもつらいこと、悲しいことがあると思います。そのような時、体を動かすことがとても有効です。フルマラソンに参加するなど、ここでも“Chose to Challenge”の気持ちを持っていただきたいですね。日本人のバイオリニストで葉加瀬太郎さんという方がいらっしゃいます。彼がイギリスでのコンサートに出演した際におっしゃっていたことで、とても印象深い言葉があります。
それは、”Never underestimate the power of music”(音楽の力を過小評価しないで)というものです。体を動かすだけではなく、音楽を聴くことも、つらい気持ちをポジティブに向けることにつながるのだと思います。
あとは、日記をつけること。感謝していること、うれしかったことを日記にしたためることで、自身の意識をポジティブな面に向ける癖がつきます。
竹内: 長い社会人生活の中で、父が闘病をしていた際、滋賀の父になるべく会うために時間を作る工夫をしました。それ以来、定期的に自身のキャリアのポートフォリオを見直すということを行っています。
キャリアのポートフォリオとは、自分の時間の使い方の組み合わせとその配分です。 私で言うと、昨年は、自身の会社の仕事、役員の仕事、車いすバスケットボール協会の理事の仕事、大学の同窓会の役員、それにプライベートですね。2021年は同窓会の役員を退任して、プライベートな時間を増やすというポートフォリオに変更しました。
その時々で、自分がやりたいこと、自分にしかできないことは何かを問うてみて、それに合わせたポートフォリオを作ってみることが大事ですね。
竹内美奈子 キャリアレポート
自分なりのスタイルを提案し、自分自身がロールモデルになっていく
【質問】
日本では、営業にて女性の活躍が難しいという暗黙のルールがあります。
例えば接待など、女性が営業で活躍することへの障壁になっていると感じています。
女性の営業での活躍について、どのように感じていらっしゃいますか?
Anna: 金融業界に限らず多くの業界における営業では、接待など、男性が中心になってしまっている現状があります。そのような部分ではまだまだ難しい面もあるのですが、状況は変わりつつあります。
是非、営業活動において意見がある場合は、あきらめずにやりたいことを積極的に発信していってほしいと思います。
M&A業界はまだまだ小さい業界ですので、営業で活躍している女性のロールモデルを見つけるのは難しいのですが、他業界では、営業分野で大活躍をされている女性リーダーが大勢いらっしゃいます。
そのような方々を参考にするなどして、自身こそがこの業界でのロールモデルになるという意識をもち、是非積極的に発信をしていってほしいと考えます。
竹内: 飲み会やタバコ部屋、ゴルフ場で意思決定がなされてしまうということは、経験上多々ありました。私自身、そのような環境の中でリーダーとしてやってきましたが、自分なりの進め方やコミュニケーションの取り方はあると思い、仕事をしてきました。
自分なりのコミュニケーションの取り方や仕事の進め方を考え、知恵を絞って工夫する。
例えば、頼まれた仕事を+αで返したり、+αの情報を提供するなどで、コミュニケーションの深さや回数を増やしていくなど、自分なりのやり方でお客様の懐に飛び込んでいくこともできると思います。Annaさんがおっしゃるように、取り巻く状況が変化しつつある今だからこそ、工夫して自分なりのスタイルを提案し、確立するチャンスだと思います。
マネジメントの皆さんには、是非、そのような提案が出てきた場合、「やってみなはれ」と受け入れて、失敗したとしても助言して次につなげてあげてほしいとお願いします。「やってみなはれ」がなければ、イノベーションは起こりえないし、日本M&Aセンターにはその土壌があると思います。
性別に関わらず変化を恐れず自信をもってチャレンジする
【質問】
今後、日本M&Aセンターの社員に期待することは何ですか?
Anna: 変化は、挑戦から起こってくると思います。“Chose to Challenge”の重要性についてお話をしましたが、性別に関わらず、社員の皆さんが変化を恐れず、何事にも自信をもってチャレンジしていってほしいと考えています。
また、すべての社員の皆さんが女性のチャレンジを受け入れ、支援しほしいと思います。皆さんの成功を私も全力でサポートします。
竹内: 日本M&Aセンターの皆さんは、M&A業界を牽引するフロントランナーです。性別に関わらず、先駆者として自信をもって仕事をしていただきたいと思います。また、次の時代のやり方は自分で作っていくという意識が大切です。
「前例踏襲ではなく、自分なりの貢献の仕方を考える」という気持ちが、この多様化する社会では大事だと思います。
企業、組織の中における多様性には様々な面があります。年齢、出身、国籍、人種、性別や出身業界など、この多様性を企業として競争力に結び付けている会社が大きく成長しています。日本M&Aセンターグループで働く一人一人が何を考え、どのように行動すればよいか、今回100名近くの社員が座談会をライブ視聴し、改めて考える大変良い機会となりました。