大好評オンラインセミナー 買収の参観日
⽬次
- 1. 買い手企業の経営者指南
- 1-1. M&Aは目的ではなく、企業のビジョン実現の手段
- 1-2. 売り手企業を分析し、自社の成長に結びつける客観的な視点
- 2. M&Aをしないことのリスクを考える
- 2-1. 売り手企業に寄り添う重要性
- 2-2. 著者
日本M&Aセンターのオンラインセミナー「買収の参観日―M&Aの実現と成功のために―」(計3回)が5月より始まりました。M&Aで買い手候補となる経営者を対象にした初めてのセミナーです。
毎回、配信が平日の夕方にも関わらず数百人以上が視聴し、まだ2回の配信ながら、すでに人気のコンテンツに成長しています。
※当セミナーは終了しました。
買い手企業の経営者指南
M&Aを検討しながら契約に至る企業と、躊躇して一歩を踏み出せない企業には考え方にどのような違いがあるのか。また決断するためにはどのような心構えが必要かといった疑問に、多くの仲介実績を誇る現役のコンサルタントが経験と事例をもとに、わかりやすく伝えるウェビナーです。実際にM&Aを実行して、成長を加速させた経営者も登壇するなどボリューム感のある内容で、M&Aを活用して新たな経営戦略を探る経営者にとって、不安と悩みを解消し、買い手企業のマインドセットを行うことをテーマとします。
M&Aは目的ではなく、企業のビジョン実現の手段
M&Aの買い手候補企業にとって、明確なビジョンと経営戦略が求められています。明確なビジョンや経営戦略がない企業において、「どの会社を買うのか」や「M&Aで何を達成するか」といった本質的な疑問への解答を見つけ出すことが難しいためです。
M&Aで得られる効果は、経営基盤の強化や事業領域の拡大に始まり、後継者問題の解決など幅広くあります。ただセミナーでは、メリットを自社の成長のために「時間を買う」ことだと強調しています。
例えば、販路を拡大したい企業が新たな地域に営業所を確保して、ゼロベースで新たな拠点を構築するよりも、すでにそのエリアで活動する同業との事業協力を進めた方が圧倒的に効率的です。そのため同業種と手を組むM&Aは労力と時間の節約につながり、リソースを別分野で投資できるため成長を加速させることができると力説します。ただ一般的に、買い手企業の要望に完全に合致した売り手企業が現われることはほとんどないため、一回限りのM&Aではなく、複数回のM&Aを繰り返すことで、段階的に買い手企業のビジョンを達成していく姿勢が求められています。つまり「M&Aは目的ではなく、企業のビジョン実現の手段」だということです。
売り手企業を分析し、自社の成長に結びつける客観的な視点
企業の未来を左右するM&Aを実行する上で、買い手候補企業にとって期待や効果よりもM&Aによる不安が上回る場合には、大きな一手を打つことはできません。
ただ実際にM&Aを決断できない企業や経営者は検討段階で、自社ばかりに目を向けがちで、内向きな思考に陥るケースが多いです。対照的にM&Aを成功させる買い手企業の経営者は、しっかりと売り手企業のことを分析し、一緒になることでどう自社の成長に結びつけるか客観的な目を持って判断できています。そのためM&Aを成功させるためには、買い手候補の企業は売り手企業のことを自社のことのように考え、M&Aによる相乗効果に活路を見い出せるかが決断の大きな分かれ目となります。
M&Aをしないことのリスクを考える
買い手候補の経営者が認識しなければならないこととして、M&Aをすることで生まれるリスクに加えて、当然ですがM&Aをしないことで生まれるリスクも考えなければなりません。
統計データや事例を用いて「M&Aをするリスクより、M&Aをしないリスクの方が大きい」と解説しています。リーマンショック直後にM&Aに舵を切った人材派遣会社A社と自前主義を貫いた同業のB社の比較を事例で紹介します。
リーマンショック直後には両社の経営規模はほぼ同水準でしたが、M&Aの有無で、10年余りの期間に大きな差が生じました。急速に少子高齢化が進む日本社会において、国内需要の先細りは避けられず、高い成長率を維持できなければ、自前主義で現状維持を望むことすら難しくなっています。すなわちM&Aを実行しないことは、業界における自社の競争力の低下につながり、競合他社同士のM&Aが起これば、シェアなど立ち位置が一変してしまう危険性もあるのです。
また一方で、M&Aをするリスクにおいては、当初からPMI(М&A後の統合プロセス)を意識することでリスクを低減できます。
売り手企業に寄り添う重要性
ステージが進み、買い手候補の経営者がM&Aを決断したからと言って、売り手企業の経営者から理解を得られなければ、両者でのM&Aは実現しないことも忘れてはいけません。M&Aに手を挙げても、実際に買い手となれる確率は半分程度で、買い手候補の経営者が売り手候補の経営者から理解を得るための心構えを伝えます。大前提としてM&Aにおける企業の優劣はなく、買い手企業が売り手企業に、いかに理解と敬意を示せるかが重要となります。売り手企業の経営者が求める従業員の雇用の維持や企業名の継続などの要望に、買い手企業の経営者が真摯に対応していく姿勢が必要です。経営者同士の最初のコミュニケーションの機会となるトップ面談がとても重要なのです。