県内初のTOKYO PRO Market上場企業に
⽬次
- 1. IPO戦略として注目されるTPM上場
- 2. 一般市場と比べてコストも時間も節約できるTPM上場
- 3. 全国からTPM上場でスター企業創出
- 3-1. 著者
東京証券取引所のプロ投資家向け市場「TOKYO PRO Market」(TPM)で、J-Adviserとして上場を支援する日本M&Aセンターは2021年9月8日に東証上場推進部の横尾直樹課長を招きオンラインセミナー「最新IPO戦略 『県内初のTOKYO PRO Market上場企業に』」を開催しました。最近、注目されているTPMの概要や上場効果を最新の事例を交えながら解説しました。
IPO戦略として注目されるTPM上場
2部構成のセミナーの1部では、日本M&Aセンター代表取締役社長の三宅卓が、成長を加速させる上場のメリットを実体験に基づいてお伝えしました。2006年にマザーズに上場(2007年東証一部上場)した日本M&Aセンターを事例に、「上場することで信用が上がり、優秀な人材が入ってくる。そうすると会社の成長が爆発的に加速する」と強調します。また「社員も上場企業で働くことの誇りと気概を持つことができる」と振り返ります。上場することで企業のガバナンス強化にもつながり、経営者によるワンマン経営から組織経営に移行することで、飛躍的な成長を実現できます。多くの中小企業が、新たな経営戦略を求められているこのコロナ禍において、「今こそイノベーションのチャンス。中小企業にとって、“IPO(上場)”は会社を飛躍的に成長させる大きな武器となる」「ぜひ多くの企業にTPMに上場していただき、地域を牽引する“スター企業”になって欲しい」と力説します。 2009年に開設したTPMは2021年9月8日時点で、49社が上場。うち全国の25府県ではTPMへの上場事例がなく、府県初の上場企業になれる可能性が広がっています。地方からTPM上場企業が誕生しスター企業が増えれば、地元へのターン率も高まり、地域経済が活性化することで地方創生の実現も近づきます。
一般市場と比べてコストも時間も節約できるTPM上場
IPOを担当する東証上場推進部の横尾課長をゲストに招いた2部では、日本M&Aセンター上席執行役員でTOKYO PRO Market事業部長の雨森良治との対談形式で、TPMの特徴や上場効果、費用等を紹介しました。2022年春に市場再編を予定する東証ですが、横尾課長は「東証一部、二部、マザーズ、JASDAQの一般市場が3つの市場に再編される予定です。TPMのコンセプトはこれまでどおり変わらず、積極的な誘致活動を継続している」と話します。
TPMは、一般市場に比べて上場までの期間とコストを節約できることがメリットの1つとして挙げられます。雨森はTPM上場までの期間とコストを、一般市場に比べて半分以下程度に抑えられると支援実績から紹介。横尾課長はIT系のいわゆるベンチャー企業の上場が多いマザーズとTPMを比較しつつ、「TPMは資本金が1億円未満の企業も多く、中堅・中小企業でも十分に目指していただけるマーケット」と解説します。一般市場の上場企業の多くが東京や大都市圏に集中するなかで、TPM上場企業は7割以上が東京以外と真逆の構成となっています。「着実に安定して成長している、幅広い業種業態の企業がTPMに上場しています」とも話します。
全国からTPM上場でスター企業創出
日本M&Aセンターが支援したTPM上場企業の上場後の変化も紹介。ご紹介した企業は、上場後には採用力が3倍以上となり、取引先も新規大手顧客が増加するなど、大きな上場メリットを獲得しました。横尾課長は上場した経営者へのインタビューを踏まえ、「知名度と信用度が上がり、採用面でもメリットを実感される回答が多くありました」とも説明します。上場すると、経営者の連帯保証を外すこともでき、心理的ストレスの軽減にもつながります。2021年は過去最多の新規上場が予想されるTPM。今後の展望について「地元に根ざしたビジネスモデルの企業にも上場をツールとして成長につなげてほしい。柔軟な市場運営の実現を目指しているので、上場のファーストステップとしてぜひTPM上場にチャレンジしてほしいです」と横尾課長は歓迎します。拡大を続けるTPMは今後も大きな注目を集めるはずです。