M&A仲介サービスの品質向上のためにM&A仲介協会が設立
⽬次
- 1. 公正で円滑なM&Aの推進
- 2. 資格制度を活用した人材育成や相談窓口も設置
- 3. 官民連携してM&Aの環境整備
- 4. 著者
M&A業界の健全な発展と日本経済に貢献するため、一般社団法人「M&A仲介協会」が2021年10月1日に設立されました。日本M&Aセンター、ストライク、M&Aキャピタルパートナーズ、オンデック、名南M&Aの5社代表者の理事で構成。中小M&Aガイドラインをはじめとした法令・制度の啓発と遵守を呼び掛け、人材育成のための教育と研修機会を提供するほか、事業承継とM&Aに関する相談窓口の運営も担います。
公正で円滑なM&Aの推進
協会設立の背景には、2025年に経営者が70歳以上となり、後継者がいない中小企業と小規模事業者が127万社に上り、その半数近くの60万社が黒字ながら廃業危機に置かれるとの国の試算に基づき、官民連携で中小企業のM&Aを推進していくことが求められています。何より社会問題として高齢化と後継者不在が顕在化しています。一方でM&Aによる事業承継も進み、市場の拡大によって近年、M&A仲介業者やM&Aプラットフォーマーも急増。業界として公正で円滑なM&Aの担保も課題となっております。この度、そうした課題に対応するためM&A仲介の上場会社などが連携して業界団体を立ち上げました。
資格制度を活用した人材育成や相談窓口も設置
協会では2022年にも全国に500以上あるM&A仲介業者向けに会員を募集し、民間資格「事業承継・M&Aエキスパート資格」を活用して、M&A支援人材に教育機会を提供します。仲介で守らなければならない企業の秘密保持や利益相反を防止する取り組みなど、大手に蓄積されたノウハウを会員や新規参入事業者にも提供します。また中小企業の経営者向けにM&Aの相談窓口を設置してトラブルなど情報収集も行います。
官民連携してM&Aの環境整備
都内で10月7日に開催した協会設立記者発表会にはテレビ局や大手新聞社、通信社など多くの報道陣が集まりました。M&A仲介協会の代表理事に就任した日本M&Aセンター代表取締役社長の三宅卓は協会設立の意義を説明し、「国の定めるガイドラインや各種法令の遵守を徹底するため、協会を通じて人材教育や研修を提供したい」と話しました。出席した中小企業庁事業環境部の日原正視財務課長は「M&Aが普及しなければ中小企業の廃業の件数を止めることができない。官民で連携して中小企業が安心してM&Aに取り組んでいける環境をつくっていきたい」とあいさつしました。M&A仲介協会の設立によって、適正な取引ルールの徹底など中小M&Aガイドラインが履行され、M&A仲介サービスの品質向上と業界と市場の健全な発展が期待されます。