社長夫人がM&A成約式でつづった感謝の手紙
⽬次
- 1. 最も尊敬し信頼できる大切な私のご主人様へ
- 1-1. 著者
受験、就職、結婚、出産と人生には数々の節目が存在します。
節目に感謝の気持ちと、今の思いや願いを伝える代表格が手紙です。
M&Aの最終合意日に執り行われる成約式では、経営者のご家族も出席して
長年連れ添ったパートナーをねぎらい、ご両親への感謝を手紙にして朗読する機会があります。
いつしか会社同士の調印式は、結婚式のような感動的なひと時として心に刻まれることになります。
今回は成約式で、M&Aで事業譲渡された夫に妻がしたためた手紙をご紹介します。
最も尊敬し信頼できる大切な私のご主人様へ
『本日は本当におめでとうございます。
会社を立ち上げたころはまだまだ技術力が低く、お客様にご迷惑をお掛けすることもありました。
すぐにできることは1年365日24時間対応しながら、創意工夫で技術力を上げていきましたね。
今でもそれは守り続けてここまで来ました。やっと時間が取れて、日帰りで那須に行った日も、
到着した途端にトラブルを知らせる電話が入り、ランチをすることなくUターンしたこともありました。
熱が高く、胃腸が壊れている最悪な体調の時も現場に行きました。
お客様のためになると思ったことは自信と責任を持ってやりなさい。それで失敗したら俺が責任を取る、
それが社長の仕事だと、いつも穏やかな笑顔で社員さんたちに言っていた姿をよく覚えています。
大晦日に現場から戻った独身の社員さんたちに、年越し蕎麦を振る舞って元旦の工事に備えてもらったこともありました。そういう家庭的な気遣いもできる社長でした。
60歳になって今まで頑張ってきてストレスと無理が祟ったのか、ステージ3のガンが見つかり、
私は貴方が相当に落ち込んでるかと思っていました。ところが、前向きに事業計画を立てている姿にビックリしました。退院してすぐに社屋を購入したり、ダイビングインストラクターのライセンスを取得したりしましたね。その3年後、別のガンも判明しました。今度はさすがに落ち込むかと思いきや、いつものふざけた調子で「ガンは切り取ってしまえばもう病人ではなく、ただのケガ人だ」と言って周囲の人たちに「上手いこと言うねー」と感心させていましたね。
30年間の貴方は経営者として創造力、行動力、責任感、素晴らしい能力を駆使して頑張りました。経営者としての孤独にも耐えて続けてきました。貴方のその才能や強い心は全て代々受け継いできた教えと貴方自身の経験で創り上げたものなんだと私は思います。
これからは自分のために楽しんで色んなことにチャレンジしてください。今までの経験から得た智慧を生かして、貴方のやりたい社会貢献を思いっきり楽しんでください。貴方は何事も楽しむ天才だと思います。その姿がこれからたくさんの人たちを元気にできることは間違いないと思います。これから貴方のステージが上がります。休んでる暇はありません。またこれからも私のことをこき使うんでしょうから私も楽しんで頑張ります。』
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30年にわたり会社を支え、社員とその家族を守ってきた夫の頑張りを一番近くで見てきた妻の言葉が出席者の胸を打ちました。M&A成約式は経営者とその家族にとって、大きな大きな節目となります。だからこそ対応するM&Aセレモニストは失敗できない真剣勝負で臨みます。日本M&Aセンターはこれからも経営者とご家族の皆さまを応援してまいります。