セミリタイアとは?アーリーリタイア・FIREとの違い、必要な準備を解説

経営・ビジネス
更新日:
理想の買い手企業が見つかります。会社売却先シミュレーションM-Compass。シミュレーションする

⽬次

[非表示]

セミリタイアとは

セミリタイアは、現在の仕事やキャリアから一時的に離れることを意味します。セミリタイアの目標は、自分の時間をより自由に使いながら、仕事やキャリアに対する責任や義務を軽減することです。

つまりセミリタイアの人々は、完全に仕事を辞めるわけではなく、副業やフリーランスの仕事など一定の収入源を残しながら、自由な時間を確保する傾向にあります。

FIREとの違い

FIRE(ファイア)は「Financial Independence, Retire Early」の略語で、経済的に独立し、早期に退職することを目指します。

FIREの人々は、十分な貯蓄や投資によって、定期的な収入を得ることができるようになります。
FIREの目標は、仕事に依存せずに生活費を賄い、自分の人生を自由に選択することです。FIREの人々は、投資や不労所得などの収入源を活用し、仕事を完全に辞めることが多いです。

アーリーリタイアとの違い

アーリーリタイアは、セミリタイアと異なり、完全に労働から引退することを指します。

完全に引退をする場合、収入源がなくなるため、当然ながら十分な資産を計画的に備える必要があり、ハードルは高まります。

日本M&Aセンターグループでは、会社を譲渡した後の人生設計や財産の運用、保全、承継のコンサルティングについてもご相談が可能です。詳しくはコンサルタントまでお問合せください。

セミリタイアのメリット


セミリタイアのメリットとして挙げられるのは、自由な時間を確保しながら自分のペースで仕事を行える点です。
自分で時間が仕事量を調節しながら取り組めるため、ストレスが軽減される人も多いでしょう。

また、仕事を通じて社会との接点を保ちながら、家族との時間や趣味など、これまで実現できなかったことに挑戦できるようになります。
このように、社会との接点を保ちながら自由な時間を確保できることは、セミリタイアの大きなメリットであり特徴です。

セミリタイアの注意点

セミリタイアを検討する際に注意したい点は、主に以下の通りです。

老後資金の準備をしっかり行う必要がある

セミリタイアをしたあとも、iDeCoや小規模企業共済など、老後資金を準備する方法はたくさんありますが、厚生年金を途中で脱退するため、将来受け取れる公的年金の金額が少なくなる可能性があります。

老後資金が少なくなってしまう可能性を考慮し、老後資金を貯める計画は会社員時代以上にしっかり行わなければなりません。

保障や福利厚生がなくなる

例えば会社員の場合、病気や怪我などで入院をすると組合などから見舞金が出るケースがあります。そのほかにも、様々な福利厚生を用意している企業が多いです。しかしセミリタイアをすると、こうした保障や福利厚生を受けられなくなります。会社員時代に比べ自身の健康により気をつかう必要があります。

社会的信用が得づらくなる

クレジットカードやローンの審査、賃貸物件の入居審査が通りづらくなるなど、社会的信用が得づらくなる傾向があります。
リタイア前が会社員だった人は、特にその傾向を実感する場面が増えるでしょう。

明確な目標がないとやりがいを感じないかもしれない

時間を自由に使えるようになる反面、当然ながら明確な目標がないと無気力になり、やりがいを感じられなくなってしまいます。セミリタイアは、目標を達成するための手段、として計画的に実行することをお勧めします。

セミリタイアの準備

セミリタイアを成功させるための主な準備は、以下の3つです。セミリタイアを成功させるための準備について、わかりやすく解説します。

STEP1:かかる生活費を把握する

セミリタイアを成功させるためには、まずかかる生活費を把握するようにしましょう。総務省が発表している「家計調査報告」 によると、2人以上世帯の生活費の平均は以下のとおりです。

食料 80,198円
住居 17,374円
光熱・水道 21,836円
家具・家事用品 12,708円
衣服および履物 9,175円
保健医療 14,296円
交通・通信 39,972円
教育 10,293円
教養娯楽 24,987円
その他の消費支出 47,088円
合計 277,926円

こちらの表には、住宅ローンや賃貸費用については含まれていません。持ち家でない場合、さらに住宅ローンや家賃が必要です。仮に住宅ローンや家賃が10万円だとすると、毎月約38万円かかります。もちろん、地域や生活スタイルによって生活費は大きく異なりますが、目安として参考にしてください。

STEP2:十分な資金を用意する

生活費について把握できたら、次はセミリタイア後の収入面を考える必要があります。セミリタイアをしたあとの仕事でいくら稼げるかも重要ですが、十分な資金があれば投資によって生活費の足しにすることが可能です。

投資には、株価などが値上がったときに得られるキャピタルゲインと、配当金などのインカムゲインがあります。キャピタルゲインは投資の醍醐味ですが、リスクも高いものです。セミリタイア後はインカムゲイン中心の投資を行うといいでしょう。

一般的にFIREを行う際、投資資金の 4%インカムゲインで生活がまかなえるようになると、うまくいくといわれています。セミリタイアを行う際も、参考になるでしょう。

たとえば、投資できる資金が3,000万円あれば、年間4%の運用で120万円、毎月10万円を得ることが可能です。先ほどお示しした支出が約38万円なので、仕事で28万円稼ぐ必要があるとわかります。

このようにセミリタイア前に多くの資金を貯めていれば、より経済的な不安がなくセミリタイアを実現できます。

STEP3:今後の人生で受け取れるお金を確認する

セミリタイアを成功させるためには、経済的な不安を少なくすることが非常に重要です。今後の人生で受け取れる主なお金についても、しっかり確認するようにしましょう。今後の人生で受け取れる主なお金は、以下の3つです。

①早期優遇退職制度で受け取れるお金

最近は、大企業を中心に早期退職を募集するケースが増えています。以前は50歳以上を対象にしているケースが多くありましたが、45歳以上を対象にするケースも増加中です。早期退職の対象は年々若くなっているといえるでしょう。

早期退職に応募した場合、一般的に割増退職金が受け取れます。受け取れる割増退職金は企業によって異なり、大企業の場合は、通常の退職金より年収の2倍以上を割増してくれるケースもあるようです。

このような早期優遇退職制度を実施している会社にお勤めの場合、割増退職金がいくらもらえるかについて、しっかり確認するようにしましょう。

②65歳から受け取れるお金

老後資金の中心は公的年金です。公的年金の平均受給額をみてみましょう。

  • 老齢厚生年金の支給額:月額14万6,162円
  • 老齢基礎年金の支給額:月額5万6,049円(対象は会社員など老齢厚生年金加入者を含む)

このように、厚生年金と国民年金では受け取れる金額に大きな違いがあります。先述したとおり、セミリタイアをした場合は受け取れる年金額が少なくなってしまうため、相応の準備が必要です。

③親から相続するお金

親から相続されるお金は人によってそれぞれです。相応の資産や不動産を親が保有している場合、ある程度計算に入れてもいいでしょう。ただし、相続金に頼りすぎるのは非常に危険です。

子どもの場合は遺留分という制度があるため、必ず相続金は受け取れます。しかし親が遺言を書いている場合、法定相続分以下の取り分になってしまう可能性もあります。また相続は金額の大小に限らず、親族間でトラブルに発展するケースもある点に注意が必要です。

終わりに

以上、セミリタイアについてご説明しました。セミリタイアによって新たなことにチャレンジすることができ、豊かな人生を送れることでしょう。セミリタイアを成功させるためには、ご紹介した通り、綿密な準備が必要です。

会社を譲渡してリタイアを検討している方は、M&Aによるリタイアも選択肢の1つとして検討することをお勧めします。
M&Aやその後の人生設計含め、専任のコンサルタントがご相談を承ります。ご相談は無料、秘密厳守で対応します。

日本M&Aセンターグループでは、会社を譲渡した後の人生設計や財産の運用、保全、承継のコンサルティングについてもご相談が可能です。詳しくはコンサルタントまでお問合せください。

著者

M&A マガジン編集部

M&A マガジン編集部

日本M&Aセンター

M&Aマガジンは「M&A・事業承継に関する情報を、正しく・わかりやすく発信するメディア」です。中堅・中小企業経営者の課題に寄り添い、価値あるコンテンツをお届けしていきます。

この記事に関連するタグ

「解説・経営者」に関連するコラム

アーリーリタイアとは?メリット・デメリット、必要な資金の目安を解説

経営・ビジネス
アーリーリタイアとは?メリット・デメリット、必要な資金の目安を解説

日本経済の低迷や働き方改革の推進によって、多様な価値観が生まれつつある中、新たなライフスタイルの1つとしてアーリーリタイアが注目されています。本記事ではアーリーリタイアの概要、メリット・デメリットや必要な資金についてご紹介します。アーリーリタイアとはアーリーリタイアとは、定年を迎える前に早期退職・引退(リタイア)することを指します。「earlyretirement(早期退職)」に由来する和製英語で

自社株買いとは?メリットやデメリット、株価上昇につながる仕組みを解説

経営・ビジネス
自社株買いとは?メリットやデメリット、株価上昇につながる仕組みを解説

自社株買いとは?自社株買いとは、企業が自社の株式を市場から買い戻す行為を指します。自社株買いを行うと、市場に出回る株式の数が減少するため、結果的に株価の安定・上昇の可能性が高まります。買い戻された自社株は、通常「消却(無効化)」されるほか「金庫株」として保管することもができ、従業員などに付与するストックオプションとして活用することができます。一般的に上場企業は主に株式市場での取引、あるいは公開買付

生産性向上とは?メリットや取り組み例を解説

経営・ビジネス
生産性向上とは?メリットや取り組み例を解説

少子高齢化による労働力人口の減少に直面する中、企業が継続的な成長を遂げるには、限られた資源で成果を最大化する「生産性向上」が必須の課題となっています。本記事では、生産性向上の概要、企業が直面している背景や具体的な取り組み、生産性向上によるメリットなどについて紹介します。生産性向上とは?生産性向上とは、時間、労働力、資金、設備といった限られた資源を最大限に活用し、生産物やサービスの量や質を向上させる

従業員持株会とは?配当金など仕組み、メリットを解説

経営・ビジネス
従業員持株会とは?配当金など仕組み、メリットを解説

従業員持株会とは従業員持株会とは、従業員から会員を募り、会員の毎月の給与や賞与などからの拠出金を原資として自社株を共同購入し、会員の拠出金額に応じて持分を配分する制度を指します。なお、会社に従業員持株会があっても、持株会への加入は従業員の任意とされています。従業員持株会の会員資格は「当該会社の従業員」であり、取締役や執行役などの経営陣は、会員となることができません。持株会を採用する企業や加入者は年

2025年問題とは?何が起こるのか、企業への影響、対策を解説

経営・ビジネス
2025年問題とは?何が起こるのか、企業への影響、対策を解説

戦後日本の人口は増加を続け、1967年には初めて1億人を超えましたが、2008年の1億2,808万人をピークに減少に転じました(※)。この少子高齢化による人口減少は長期的に続く傾向にあり、いまだ抜本的な対策は見つかっていません。こうした人口構成の極端な変化は、医療・介護の現場だけでなく、ビジネスのさまざまな場所でも深刻な影響を及ぼし始めています。本記事では、これら諸問題のひとつである2025年問題

 合同会社とは?設立のメリット・デメリットや株式会社との違い

経営・ビジネス
 合同会社とは?設立のメリット・デメリットや株式会社との違い

合同会社とは?合同会社とは、出資者が会社の所有者(経営者)として経営を行う、つまり所有と経営が一致した会社形態です。少人数で比較的小規模に事業を行う場合、例えば知人と会社設立費用を抑えて、お互い対等な立場で起業する、などのケースで合同会社が選ばれる傾向にあります。現在、日本における会社形態は「株式会社」「合同会社」「合名会社」「合資会社」の4種類あり、会社法では「合同会社」は、「合名会社「や「合資

「解説・経営者」に関連する学ぶコンテンツ

コラム内検索

人気コラム

注目のタグ

最新のM&Aニュース