2年連続で廃業件数が減少 21年は5万3,000件前後 帝国データバンク動向調査
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全国の休廃業・解散企業(廃業)が2年連続で減少したことが帝国データバンクの全国企業「休廃業・解散」動向調査(2021見通し・速報)で判明しました。廃業件数はおよそ5万3,000件台で、2020年から3,000件程度減少しましたが、倒産件数の約9倍と依然として高水準で推移しています。事業利益で借入金を返済できない「破たん懸念企業」も全国30万社に上ると推計されていることから経営環境が好転しているとは言えず、今後も倒産件数の推移とともに廃業件数にも注意が必要です。
減少の要因は ゼロゼロ融資や給付金などの経営支援策が奏功
2021年の廃業はコロナ禍前の2019年と比べ、6,000件下回る5万3,000件前後と見込まれています。減少の背景には、「ゼロゼロ融資」に代表されるコロナ禍における金融機関などの手厚い貸し付け制度や休業協力金をはじめとした給付型マネーなど経営支援の存在が大きく、廃業に向かっていた経営者マインドに「待った」を掛けたことも要因に考えられています。
業種間で二極化 ホテル・旅館は過去10年で最多
一方で、サービス業を中心に廃業が過去最多や前年比増の業種も相次ぎました。患者の受診控えが続く医療関係のクリニック、整備士不足が深刻な自動車整備業関連は廃業が過去最多が見込まれ、外出自粛の余波や渡航制限などの移動制限を受けるホテル・旅館でも過去10年間で最多の廃業件数が予想されています。病床を持たないクリニックの廃業は400件を超え、ホテル・旅館は168件と、前年より4割近く増加しました。旅行代理店も78件と廃業が約6割増え、観光業は依然として厳しい状態が続いています。外出機会の減少からか、宝石・アクセサリー販売(68件)も廃業が前年より大幅に増加しました。
倒産件数同様に廃業件数にも注視が必要
帝国データバンクは「2022年前半にかけては、長期にわたり支援を受け続けて事業を継続してきたものの、将来展望が描けず自ら手を上げる「あきらめ型」の廃業が増加する可能性が依然くすぶっており、動向が注視される」と指摘しています。