北海道のM&A事情とは?産業、企業の傾向を解説(後編)

M&A全般
更新日:

⽬次

[非表示]

北海道のM&A事情
全国津々浦々、各地域に精通したコンサルタントによる「ご当地M&A解説」第2弾は北海道編です。前編に続き、後編をご覧ください。
※本記事では2022年10月に撮影された動画の内容を抜粋・編集してお届けします。

北海道の会社がM&Aを考える理由とは


久力: ところで北海道の譲渡オーナーさんは、先ほどの話だと増えている印象ですが、譲渡を検討されている理由はどういうものが多いのでしょうか。

宮本: 北海道は、全国より10年早く高齢化が進んでいて、かつ人口減少も10年早く進んでいる 地域と言われています。なので、やはり後継者不在型M&Aが多いです。

久力: 後継者不在っていうと、一般的には70代くらいの経営者の方が次の後継者が見つからなくて、譲渡を考えられているというイメージを持たれると思うんですけど、譲渡オーナーさんの低年齢化も進んでますよね。
最近だとおいくつくらいの経営者さんが検討されてるケースが見られますか?

宮本: 50代半ばくらいから検討を始めて、周りに後継者が見つからずご相談に来られるというパターンもありますし、70代の方が急いでご相談に来られるなど、様々です。

久力: もう50代ぐらいから10年後を見据えて「継ぐ親族がいる、いない」、いたとしても「継ぐ、継がない」とか、「社内にキーマンがいても個人保証まで引き継げない」という状況に直面して、M&Aを検討し始めているのですね。

宮本: 北海道は公共投資が今後減っていくという見込みが出ています。それこそ建設業ですと、道北とか道東のエリアは公共事業の見通しが立てづらい、人口も減っていく、ということを考えるとそこに割かれる予算も減ってきます。


ですので、後継者候補としての人材はいるものの(外部環境を考えると)その人材がよりその会社を今後成長させられるか、そこに不安感を持っている経営者が多い印象です。

そういう背景もあって、「より規模の大きな会社と一緒になることで、会社を成長させたい」という思いで譲渡を検討されるケースがよく見受けられます。

北海道の会社特有の事情とは

久力: ちなみに北海道は冬の間は(事業活動を)クローズする会社さんが多いですよね。

宮本: 業種にもよりますが、だいたい2、3ヶ月ぐらい止まると言われていますね。

久力: その間は(主力とは異なる)他の事業を行うんですか?それとも完全にクローズになることが多いんですか?

宮本: どちらのケースもあります。もう完全に冬季はクローズになる会社さんだと、雪が降る前までに仕事をやり切る。なので、そこで特需が来る。

久力: なるほど。

宮本: 一方、冬前に業務量を増やして冬の間は業務量を減らす、休むというパターンがありますね。

久力: まあ北海道内だけのM&Aだと同じ季節環境になりますが、よく見られます、季節の売上を緩和するためのM&Aは。例えばふぐと鰻の組み合わせとか、冬の食材と夏の食材を組み合わせたM&Aというのもありますけれども。

もしかしたら、食品産業がさかんなエリアの、北海道企業ならではのM&A戦略、組み合わせ、相乗効果というのもあるかもしれないですね。

北海道のM&Aを支える日本M&Aセンターの体制

久力: 北海道って広いじゃないですか。 当社は拠点が札幌に営業所がありますが、当社だけでなく他のM&Aを支援する会社さんの進出状況ってどうなんですか。
道北とか道東とか距離の遠い方々には、あんまりM&Aの情報は届いてないんじゃないかなぁと個人的には思っていたりするんですけど。

宮本: 他の仲介会社さんは札幌を中心に拠点を持たれています。一方でおっしゃられるように、全道の経営者さんにM&Aに関する情報が行き渡っているかというと、残念ながらまだそうではない印象ですね。

もう1つ北海道の特徴的なところは、金融機関さんの影響力が強いエリアだと捉えています。

久力: 銀行さんの啓蒙活動とか、事業承継などのご提案は全道で行われているものの、ここ10年ぐらい事業承継型のM&Aが増えている中で、M&A支援会社の存在含めて、まだまだ隅々まで経営者の方に情報が行き渡ってないという感じですかね。

でも昔から北海道は、M&A自体はさかんに行われている地域ですよね。

宮本: そうですね。件数から見てもさかんな地域です。そういう意味で言うとすごくポテンシャルが高い地域だと思っています。

久力: これからは道央は当然のことながら、道北・道東・道南とより広いエリアでM&Aが行われる可能性がある、というイメージですかね。 ちなみに日本M&Aセンターの北海道エリアにおける体制について教えていただけますか。


宮本: はい。現在は札幌営業所(現 北海道営業所)にはおよそ10名ほど所属しています。提携先である会計事務所さんや金融機関さんをそれぞれ担当している状況です。

久力: 買収を検討されているお客様を専門に担当しているのが宮本さん、ということですね。

宮本: はい、そうです。

久力: そうなると、人数としては少なくない、むしろ多い方かと思うんですけど、先ほどもあったようにこの広いエリアを札幌から全道に向けてなかなか情報を届け切れていないかと思います。ぜひ全道の経営者の方、金融機関、会計事務所の方々にメッセージをお願いします。

宮本: 当社の強みは譲渡案件数が多い、という点が挙げられます。今、北海道内でもおよそ100件ほど譲渡を検討されている案件をお預かりしていまして、これほど案件を持ってるM&A支援の会社は当社しかないと考えています。

是非とも、「会社の成長戦略の一つとして、M&Aを検討したい」という企業様ございましたら、ご連絡をいただければ、すぐに飛んでまいりたいなと考えております。

久力: 今までは想像できなかったような、会社の可能性、成長軌道の選択肢を、私たちがご提案できるんじゃないかと考えております。今回は北海道特集をお送りしました。

※本編の動画はこちらからご覧いただけます。

北海道のM&A事情 前編

北海道のM&A事情 後編

M&A・買収に関するお問い合わせ

日本M&AセンターではM&A・買収に関するご相談を随時承っております。ご検討段階の方も、お気軽にお問合せください。

この記事に関連するタグ

「買収・地域別M&A」に関連するコラム

広島のM&A・事業承継事情とは?中国地方の産業・経営者の特徴を紹介

M&A全般
広島のM&A・事業承継事情とは?中国地方の産業・経営者の特徴を紹介

企業の買収を検討されている経営者の方、ご関係者に向けてお届けするYouTube「買収の参観日チャンネル」。全国津々浦々、各地域に精通したコンサルタントによる「ご当地M&A解説」第3弾は広島をはじめとする中国地方編です。どうぞ前編からご覧ください。※本記事では動画の内容を抜粋・編集してお届けします。広島・中国地方の産業の特徴久力:ご当地M&A特集ということで、北海道や九州を取り上げてきましたが、第3

北海道のM&A事情とは?産業、企業の傾向を解説(前編)

M&A全般
北海道のM&A事情とは?産業、企業の傾向を解説(前編)

全国津々浦々、各地域に精通したコンサルタントによる「ご当地M&A解説」、前回の九州に引き続き、第2弾は北海道編です。まずは前編からご覧ください。※本記事では2022年10月に撮影された動画の内容を抜粋・編集してお届けします。北海道を支える産業久力:ご当地M&A第2弾ということで、今回は北海道についてお届けしていきたいと思います。早速ですが、まずは北海道について産業など特徴を教えてもらっていいですか

TOB(株式公開買付け)とは?目的やメリット、手続きをわかりやすく解説

M&A全般
TOB(株式公開買付け)とは?目的やメリット、手続きをわかりやすく解説

企業買収、組織再編、MBOのニュースで株式公開買付け(TOB)を目にする機会が急増しています。本記事ではTOBの概要、メリット・デメリット、事例についてご紹介します。この記事のポイントTOBは、対象企業の経営権取得を目的に、株主から株式を大量に買い付ける手法で、買付者が価格や期間を公告する。TOBのメリットは、買付者が計画的に買付けを行いやすく、株主は市場価格より高い価格で売却できる点がある。TO

【広報誌「MAVITA」Vol.4より】 私たちにおまかせ!拠点紹介 ――日本M&Aセンター 九州支店

広報室だより
【広報誌「MAVITA」Vol.4より】 私たちにおまかせ!拠点紹介 ――日本M&Aセンター 九州支店

博多駅の真向かいという好立地ビルを拠点に、約30人のメンバーが九州各地に繰り出す活気あふれる九州支店。九州出身者や、当地に移住を決めたメンバーも多く、地域に根ざした営業活動を展開しています。2023年度の成約件数が前年度の2倍になるなど、勢いに乗る九州支店を取材しました。(日本M&Aセンターが発刊する広報誌「MAVITA」Vol.4より転載)九州支店の情報はこちら[mokuji]支店長が語る九州地

バイアウトとは?目的や手法、メリット・デメリットをわかりやすく解説

M&A全般
バイアウトとは?目的や手法、メリット・デメリットをわかりやすく解説

企業が経営再建、事業継続を検討する手段のひとつにバイアウト(BuyOut)があります。本記事では、バイアウトの概要やそれぞれの手法の特徴、成功に導くためのポイントをご紹介します。バイアウトとは?バイアウト(BuyOut)とは、経営再建による事業継続や収益向上を目的に、経営者や従業員が自社の株式の過半数を取得し、経営権を握る買収手法を指します。一般的には、企業の経営陣や従業員が自身の資金や外部の投資

同意なき買収(敵対的買収)とは?対応方針や事例を解説

M&A全般
同意なき買収(敵対的買収)とは?対応方針や事例を解説

同意なき買収(敵対的買収)とは同意なき買収とは、経営権の獲得を目的に、対象会社の経営陣や株主などの合意を事前に得ることなく行う買収を指します。英語のhostiletakeoverに相当する買収が含まれます。同意なき買収が行われる背景には、企業の成長戦略や競争力強化の動機、株主の期待、経営陣と株主との対立、市場状況などが挙げられます。この記事のポイント同意なき買収(敵対的買収)は、企業の経営権を獲得

「買収・地域別M&A」に関連する学ぶコンテンツ

全国地域別のM&A動向

全国地域別のM&A動向

国内の421万企業のうち99.7%を占める中小企業。地域資源の活用、歴史的背景、立地特性など地域ごとにその特徴も様々です。本記事では、地域別に中小企業のM&A動向について迫ります。※本記事は2021年9月28日に公開された内容を編集しています。この記事のポイントM&A件数は経済活動の規模に比例し、東京が圧倒的な件数を誇る一方、島根県は非常に少ない、など地域ごとにM&Aの特徴が異なる。北海道では農林

買収先の本格検討・分析

買収先の本格検討・分析

買収先の探し方でご紹介したように、買い手はノンネームシート、企業概要書で買収先についてM&Aを進めるかどうか検討します。本記事では、買い手が企業を検討する際流れと、陥りがちな注意点についてご紹介します。この記事のポイント買い手がM&Aを進める際、最初にノンネームシートや企業概要書を通じて対象企業を検討し、提携仲介契約を結んだ後に質疑応答を行う。M&Aの目的を明確にし、買収先にすべての問題解決を求め

買収先の探し方

買収先の探し方

買い手の相談先でご紹介したように、M&A仲介会社などパートナーを選定したら、いよいよ買収先の候補企業を探すステップに移ります。本記事ではM&A仲介会社を通じてお相手探しを行う主な方法について、日本M&Aセンターの例をもとにご紹介します。この記事のポイント買収先の探し方には「譲渡案件型」と「仕掛け型」の2つがあり、譲渡案件型ではノンネームシートや企業概要書を通じて情報を開示し、秘密保持契約を締結する

買い手がM&Aを行う目的

買い手がM&Aを行う目的

買い手の買収戦略には様々な目的があります。M&Aの成功に向けて、押さえておきたいポイントを確認していきましょう。この記事のポイント買い手がM&Aを行う目的には、市場シェアの拡大、事業領域の拡大、事業の多角化、人材獲得・技術力向上、効率性の向上がある。買収により、企業は迅速に成長を加速し、顧客ベースや販売チャネルを拡大することができる。M&Aにはコストや中長期的な取り組みが必要で、成約後の経営統合計

「買収・地域別M&A」に関連するM&Aニュース

I-PEX、TOB成立で上場廃止へ

UDON株式会社(東京都千代田区)による、I-PEX株式会社(6640)の公開買付け(TOB)が2024年12月19日をもって終了した。本公開買付けにおいては、応募株券等の総数(9,580,247株)が買付予定数の下限(5,042,000株)以上となったため成立している。また、I-PEXは現在、東京証券取引所プライム市場に上場しているが、所定の手続を経て、上場廃止となる見込み。本公開買付けの結果、

セルム、通訳・翻訳事業のKYTを買収へ

株式会社セルム(7367)は、株式会社KYT(東京都港区)の全株式取得を発表した。セルムは、経営戦略・経営課題に合わせた人材・組織開発に関する総合支援を行っている。KYTは、国際会議などの同時通訳や展示会の運営サポートなどを手掛けている。目的セルムは、以下のシナジー戦略の観点から、本件M&Aを決定した。・多様化する通訳・翻訳・人材組織開発ニーズを有する顧客窓口へのアプローチに対し、双方の顧客基盤を

京三製作所、中国子会社の京上貿易を完全子会社化

株式会社京三製作所(6742)は、子会社である京上貿易(上海)有限公司(中国・上海市、以下:京上貿易)の持分を追加取得し、完全子会社化した。京三製作所は、鉄道信号システムや道路交通管制システムの生産および販売を行っている。京上貿易は、半導体製造装置に実装される産業機器用電源装置の修理・保守などを手がけている。目的京三製作所グループの中国における産業機器用電源の修理・保守業務の充実を図る。持分の状況

コラム内検索

人気コラム

注目のタグ

最新のM&Aニュース