広島のM&A・事業承継事情とは?中国地方の産業・経営者の特徴を紹介

M&A全般
更新日:

⽬次

[非表示]

広島・中国地方のM&A事情とは
企業の買収を検討されている経営者の方、ご関係者に向けてお届けするYouTube「買収の参観日チャンネル」。全国津々浦々、各地域に精通したコンサルタントによる「ご当地M&A解説」第3弾は広島をはじめとする中国地方編です。どうぞ前編からご覧ください。
※本記事では動画の内容を抜粋・編集してお届けします。

広島・中国地方の産業の特徴


久力: ご当地M&A特集ということで、北海道や九州を取り上げてきましたが、第3弾は広島及び中国地方についてお届けしていきたいと思います。早速ですが、広島・中国地方について基本情報を教えていただけますか。

山内: はい。まず産業構造で言うと、山陽エリアと山陰エリアで分けられます。
山陽・瀬戸内海の方は瀬戸内工業地帯に代表されるように、全国的に見ても製造業が非常に多い地域です。

広島で言うと皆さんご存知の自動車メーカー、マツダさんと、戦艦大和で有名な呉市ですね、関連する製造業の会社さんが非常に多い印象です。

山口県や岡山県になると石油化学コンビナートなど、化学工業系の業種が多く見られます。
逆に山側の山陰エリアについて言うと、農業が非常にさかんです。

久力: そうなんですね。

山内:製造業は、大手企業が進出している地域もあるんですけど、あまり多くないですね。

久力: ちなみに最近、大手企業さんがプラント業とか全国的に事業の撤退傾向にあると思うんですけど、そうした影響はあるんでしょうか。

山内:まさに今、日本製鉄さんが呉エリアからの撤退を決められて、来年には完全撤退になるので、私が普段お伺いする企業さんたちは非常にそのあたりを危惧されています。

久力:そうなると、その地域での取引が無くなってしまうという感じになるのでしょうか。

山内:実際に高炉を止めてから解体作業が始まるまでに数年間あったので、他の企業に従業員さんが転職をしているというところで、かなり大きく産業構造が変わるんじゃないかなと思っています。

久力:業種によっては、転換期にある地域なんですね。

山内:そうですね

広島・中国地方のM&Aの傾向

久力:一方で、産業構造もそうですし、コロナ禍、世界的な変化がある中で、経営者の方々のマインドの部分ですね。「成長する事業を新たに展開していこう」とか「より今の事業を強化していこう」とか、経営者の方々は、どんなことを今考えらっしゃるんですかね

山内:コロナがまさに始まったばかりの、緊急事態宣言の1回目が出た時は、広島県の県民性として保守的な面があるので、「様子を見る」という形でM&Aもやや消極的な傾向にありました。

一方、withコロナのような現在では、県内だけではなく、大阪や東京など「市場として魅力のあるところにエリア展開していきたい」と考える経営者さんが増えてきていると感じています。

山内:広島に限った話でいうと、広島って結構マーケットが大きいんですよ。中国地方に占めるGDPの割合がだいたい40%ぐらいです。

広島県の経営者さんってどちらかというと、市場規模があるからこそ「広島でどう戦っていくか」という傾向が非常に強かったんですけど、それが最近は「広島で戦っててもなかなか規模が拡大できない」というところに直面しています。

主に建設業の会社さんだったり、運送業界の会社さんは大阪だったり、中京エリアとかですね、そういったところに目を向ける会社さんが増えてきてる印象です。

久力:最近も、中国地方の建設業の会社さんが、新規事業の一環で名古屋のIT企業を譲り受けられたという事例がありましたね。

山内:今までなかった動きですよね。

広島・中国地方の後継者・事業承継事情

久力:一方で中国地方は事業承継とかM&Aがもともと多いエリアだと思うんですけど、事業承継後継者不在率や、経営者の方々が事業承継についてどう捉えているのか、そのあたり教えていただけますか。

山内:帝国データバンクの昨年の後継者不在率調査によると、中国地方は5県とも全国平均(61.5%)を上回るような後継者不在率でした。特に鳥取県と島根県では70%を超える不在率になっています。

潜在的には非常にM&Aのニーズが高いエリアと言えるので、今後ますますM&Aの動きが活発になる可能性があるのかな、と見ています。

久力:確かに最近、広島も当然のことながら、鳥取のお客様の案件が増えてますよね。

山内:はい。最近増えてきています。

久力:特徴的だなぁと思うんですけど、今まで少し市場規模からしてもあまり多くなかったと思うんですけれども、市場規模に関係なく後継者不在率もあってM&Aのお話がすごく増えていると。これがもっと広がっていく可能性が十分あるんではないかと、そういうところですかね。

山内:そうですね。

広島・中国地方の県民性にみる経営者の特徴

久力:産業の話とか、経営者の方がどんなこと考えてるか、事業承継などについて聞きましたけれども、人柄って言うんですかね。広島の人、また地域、県によって違うと思うんですが、県民性っていうんですかね。このあたりについても、教えていただけますか。

山内:広島の方について先ほど保守的って言ったんですけど、仲良くなるまで時間がかかる。ただ一旦身内って判断されると、仲良くしていただけるという所が特徴ですね。

岡山は、広島に結構ライバル意識がある傾向にあるかなと個人的には思っています。
M&Aの事例見ていても、隣接県と比べて例えば、広島に岡山の会社さんが出て行ってる事例はあまり見られないです。

岡山って立地が本当に良いので、関西にもすぐ行けますし、本当に中国地方の交通の要塞っていうところがあるので「広島にわざわざ進出するんだったら、もう関西に行くよ」っていうような経営者の方が多いかもしれないですね

鳥取や島根に関しては、マーケットが広島とかと比べる小さいというのもあるのですが、広島や岡山ではなくて、東京や関西を見てる経営者が多い印象です。

これも多分交通の便だと思うんですけど、山陰エリアに行こうとすると、例えば鳥取市だったら3時間ぐらいどうしてもかかるんですよ。

同じ3時間で、実は鳥取から大阪まで行けてしまうので、そういう意味で「広島に出るぐらいだったら大阪に行く」っていう傾向が見られます。結構アクティブな鳥取・島根の経営者さんは東京・大阪を見てるという印象が強いです。

久力:なるほどですね。(続きは後編に続きます)

※本編の動画はこちらからご覧いただけます。

広島・中国地方のM&A事情 前編

M&A・買収に関するお問い合わせ

日本M&AセンターではM&A・買収に関するご相談を随時承っております。ご検討段階の方も、お気軽にお問合せください。

この記事に関連するタグ

「買収・地域別M&A」に関連するコラム

北海道のM&A事情とは?産業、企業の傾向を解説(後編)

M&A全般
北海道のM&A事情とは?産業、企業の傾向を解説(後編)

全国津々浦々、各地域に精通したコンサルタントによる「ご当地M&A解説」第2弾は北海道編です。前編に続き、後編をご覧ください。※本記事では2022年10月に撮影された動画の内容を抜粋・編集してお届けします。北海道の会社がM&Aを考える理由とは久力:ところで北海道の譲渡オーナーさんは、先ほどの話だと増えている印象ですが、譲渡を検討されている理由はどういうものが多いのでしょうか。宮本:北海道は、全国より

北海道のM&A事情とは?産業、企業の傾向を解説(前編)

M&A全般
北海道のM&A事情とは?産業、企業の傾向を解説(前編)

全国津々浦々、各地域に精通したコンサルタントによる「ご当地M&A解説」、前回の九州に引き続き、第2弾は北海道編です。まずは前編からご覧ください。※本記事では2022年10月に撮影された動画の内容を抜粋・編集してお届けします。北海道を支える産業久力:ご当地M&A第2弾ということで、今回は北海道についてお届けしていきたいと思います。早速ですが、まずは北海道について産業など特徴を教えてもらっていいですか

【広報誌「MAVITA」Vol.4より】 私たちにおまかせ!拠点紹介 ――日本M&Aセンター 九州支店

広報室だより
【広報誌「MAVITA」Vol.4より】 私たちにおまかせ!拠点紹介 ――日本M&Aセンター 九州支店

博多駅の真向かいという好立地ビルを拠点に、約30人のメンバーが九州各地に繰り出す活気あふれる九州支店。九州出身者や、当地に移住を決めたメンバーも多く、地域に根ざした営業活動を展開しています。2023年度の成約件数が前年度の2倍になるなど、勢いに乗る九州支店を取材しました。(日本M&Aセンターが発刊する広報誌「MAVITA」Vol.4より転載)九州支店の情報はこちら[mokuji]支店長が語る九州地

バイアウトとは?目的や手法、メリット・デメリットをわかりやすく解説

M&A全般
バイアウトとは?目的や手法、メリット・デメリットをわかりやすく解説

企業が経営再建、事業継続を検討する手段のひとつにバイアウト(BuyOut)があります。本記事では、バイアウトの概要やそれぞれの手法の特徴、成功に導くためのポイントをご紹介します。バイアウトとは?バイアウト(BuyOut)とは、経営再建による事業継続や収益向上を目的に、経営者や従業員が自社の株式の過半数を取得し、経営権を握る買収手法を指します。一般的には、企業の経営陣や従業員が自身の資金や外部の投資

TOB(株式公開買付け)とは?目的など概要をおさらい

M&A全般
TOB(株式公開買付け)とは?目的など概要をおさらい

TOB(株式公開買付け)とは?TOBとは、株式公開買付け(TakeoverBid)の略で、対象企業の経営権取得を目的に、株式の買付価格や期間、株式数などを公告し、取引所外で多くの株主から大量に買付ける手法を指します。一般的にTOBを仕掛ける買収側を「公開買付者」、実施される側を「対象者」と呼びます。東京証券取引所の市場再編やPBR(株価純資産倍率)改善要請を背景に、成長を意識した買収、上場企業への

同意なき買収(敵対的買収)とは?対応方針や事例を解説

M&A全般
同意なき買収(敵対的買収)とは?対応方針や事例を解説

同意なき買収(敵対的買収)とは同意なき買収とは、経営権の獲得を目的に、対象会社の経営陣や株主などの合意を事前に得ることなく行う買収を指します。英語のhostiletakeoverに相当する買収が含まれます。同意なき買収が行われる背景には、企業の成長戦略や競争力強化の動機、株主の期待、経営陣と株主との対立、市場状況などが挙げられます。この記事のポイント同意なき買収(敵対的買収)は、企業の経営権を獲得

「買収・地域別M&A」に関連する学ぶコンテンツ

全国地域別のM&A動向

全国地域別のM&A動向

国内の421万企業のうち99.7%を占める中小企業。地域資源の活用、歴史的背景、立地特性など地域ごとにその特徴も様々です。本記事では、地域別に中小企業のM&A動向について迫ります。※本記事は2021年9月28日に公開された内容を編集しています。全国でM&A件数の圧倒的No.1は?中小企業M&Aの件数は経済活動の規模に比例します。下記の図1は当社におけるM&Aの実績と、「県別の経済活動の規模」を比較

買収先の本格検討・分析

買収先の本格検討・分析

買収先の探し方でご紹介したように、買い手はノンネームシート、企業概要書で買収先についてM&Aを進めるかどうか検討します。本記事では、買い手が企業を検討する際流れと、陥りがちな注意点についてご紹介します。買い手が買収先を検討する流れ企業概要書をふまえ、さらに具体的に検討を進めるに一般的には「M&A仲介会社との提携仲介契約の締結」「個別詳細情報についての質疑応答」のステップがあります。買い手候補企業の

買収先の探し方

買収先の探し方

買い手の相談先でご紹介したように、M&A仲介会社などパートナーを選定したら、いよいよ買収先の候補企業を探すステップに移ります。本記事ではM&A仲介会社を通じてお相手探しを行う主な方法について、日本M&Aセンターの例をもとにご紹介します。買収先の探し方①譲渡案件型お相手探しは大きく「譲渡案件型」と「仕掛け型」の2つにわかれます。譲渡案件型は、M&A仲介会社が保有する売り手企業(譲渡を希望する企業)の

買い手がM&Aを行う目的

買い手がM&Aを行う目的

買い手の買収戦略には様々な目的があります。M&Aの成功に向けて、押さえておきたいポイントを確認していきましょう。【登録無料】買収をご検討の方は、希望条件(地域、業種など)を登録することで、条件に合致した譲渡案件のご提案や新着案件情報を受け取ることができます。まずは登録から始めてみませんか?買収希望条件の登録はこちらM&Aの目的①市場シェアの拡大企業は競合他社を買収することで、自社の市場シェアを拡大

「買収・地域別M&A」に関連するM&Aニュース

アイ・エス・ビー、コンサルティング事業などのAMBCを買収

株式会社アイ・エス・ビー(9702)は、株式会社AMBC(東京都港区)の株式取得に関する株式譲渡契約を締結することを決定した。アイ・エス・ビーは、情報サービス企業。業務系システムの開発や運用に加え、組込み開発も手掛けている。AMBCは、経営戦略・ビジネスモデル構築等のコンサルティングサービス、プロジェクト管理、PMO、システム開発等のITサービスを行っている。背景・目的アイ・エス・ビーは、未来に向

Cominix、KamogawaHDを買収

株式会社Cominix(3173)は、株式会社KamogawaHD(京都市伏見区)の発行済株式のすべてを取得し、完全子会社化することを決定した。Cominixグループは、切削工具・耐摩工具・光製品等の販売を主力事業としている。KamogawaHDグループは、機械工具の卸売やプライベートブランド製品の製造および卸売などを行っている。目的Cominixグループは、本件M&Aにより、KamogawaHD

メディカル一光グループ、京葉沢井薬品の買収への協議開始

株式会社メディカル一光グループ(3353)の連結子会社である株式会社メディカル一光は、京葉沢井薬品株式会社(千葉県山武郡)の子会社化について協議を開始することを決定し、同社の主要株主との間で基本合意書を締結した。メディカル一光は、調剤薬局事業、医薬品卸事業を行っている。京葉沢井薬品は、沢井製薬株式会社の販売代理店として、医薬品卸売事業を行っている。コスト上昇などの環境変化の中、公定価格が基本となっ

コラム内検索

人気コラム

注目のタグ

最新のM&Aニュース