事業再構築補助金とは?最新情報、ポイントを解説

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事業再構築補助金制度は、中小企業の経営革新を促進し、思い切った新たなチャレンジを後押しするために2021年から始まりました。
2023年8月10日に第11回の公募がスタートしています。本記事では事業再構築補助金の概要、申請時の注意点などをご紹介します。

事業再構築補助金とは?

事業再構築補助金は、中小企業等を対象に事業再構築を支援し、ポストコロナ・ウィズコロナの時代の経済社会の変化への対応、日本経済の構造転換を促すことを目的に2021年創設されました。

本補助金制度は単なるコロナ対策のためだけでなく、日本企業が抱える国際競争力の低下など、本質的な問題解決のための切り札として用意されています。

予算額が、令和2年度第3次補正予算で1兆1,485億円、令和3年度補正予算で6,123億円、令和4年度予備費で1,000億円、令和4年度第2次補正予算で5,800億円が計上されており、その大規模や予算規模や、最大1億円の補助額から超大型補助金とも言われています。

この記事のポイント

  • 事業再構築補助金は中小企業の経営革新を支援し、ポストコロナ時代の経済変化に対応するために設立された補助金制度である。
  • 補助金の対象は「経営革新事業」「専門家活用事業」「廃業・再チャレンジ事業」の3つであり、申請には条件があり、採択率は過去40~50%程度である。

⽬次

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事業再構築補助金の対象

補助対象となる中小企業、中堅企業の範囲は以下の通りです。

事業再構築補助金の必須要件

事業再構築補助金の必須要件として、以下の2つを満たす必要があります。

①事業計画について認定経営革新等支援機関の確認を受ける

事業者自身で事業再構築指針に沿った事業計画を作成し、認定経営革新等支援機関の確認を受けることが要件の1つとされています。補助金額が3,000万円を超える姉kんは金融機関の確認も受ける必要があります。
(金融機関が認定経営革新等支援機関を兼ねる場合は金融機関のみで良い。)

②付加価値額を向上させる

補助事業終了後3~5年で付加価値額の年率平均3.0~5.0%(※)以上増加、または従業員一人当たり付加価値額の年率3.0~5.0%(※)以上増加させる必要があります。
付加価値額は、営業利益、人件費、減価償却費を足したものを指します。
※年率平均は申請枠によって異なります。

事業再構築の類型・活用例

事業再構築指針によると、事業再構築は次の5つを指し、申請にはこれら5つのうち、いずれかの類型に該当する事業計画を認定支援機関と策定することが必要です。

事業再構築の類型 概要
①新市場進出(新分野展開、業態転換) 新たな製品等で新たな市場に進出する 「航空機器部品を製造」していた企業が、新たに「医療分野向けの製品の製造」に参入する
②事業転換 主な「事業」を転換する 「航空機器部品を製造」していた企業が、製造業という業種を変えずに「医療分野向けの製品」を主力商品として製造する会社に事業転換する
③業種転換 主な「業種」を転換する 「レンタカー事業」を営む事業者が「貸別荘事業」に業種転換する
④事業再編 事業再編(会社法上の組織再編行為等)を通じて新市場進出(新分野展開、業態転換)、事業転換、又は業種転換のいずれかを行う 冷凍食品メーカーが飲食チェーンを買収し、居酒屋を展開。共同開発した商品をECサイトで販売する
⑤国内回帰 海外で製造等する製品について、その製造方法が先進性を有する国内生産拠点を整備する これまで海外で製造していた製品を国内で製造するため拠点を設立し、設備を新たに導入する

その他活用イメージは以下の通りです。

事業再構築の類型と活用例

事業再構築補助金の申請枠

事業再構築補助金、第11回の公募では「成長枠」「グリーン成長枠」など7つの事業類型(申請枠)があります。(※第11回では「サプライチェーン強靭化枠」は無し)

同一法人、事業者での事業類型への応募は1回の公募につき1申請に限られています(一部例外あり)。
申請後の事業類型の変更や、一度交付決定を受けた場合、原則再度申請することができない点に注意が必要です。

申請枠ごとの対象事業の概要、要件は以下の通りです。(各要件の補足など詳細情報は、公募要領をご確認ください。)

①成長枠

成長分野への大胆な事業再構築に取り組む中小企業等を支援する枠を指します。

項目 要件
補助金額 【従業員数 20 人以下】 100 万円 ~ 2,000 万円
【従業員数 21~50 人】 100 万円 ~ 4,000 万円
【従業員数 51~100 人】 100 万円 ~ 5,000 万円
【従業員数 101 人以上】 100 万円 ~ 7,000 万円
補助率 中小企業者等 1/2 (大規模な賃上げ(※)を行う場合は 2/3)
中堅企業等 1/3 (大規模な賃上げ(※)を行う場合は 1/2)

※事業終了時点で、①事業場内最低賃金+45 円、②給与支給総額+6%を達成すること。
補助事業実施期間 交付決定日~12 か月以内(ただし、補助金交付候補者の採択発表日から 14
か月後の日まで)

※交付決定後自己の責任によらないと認められる理由により、補助事業実施期間内に完了することができないと見込まれる場合には事故等報告を提出する。(補助事業実施期間の延長が認められる場合がある。)
補助対象経費 建物費、機械装置・システム構築費(リース料を含む)、技術導入費、専門
家経費、運搬費、クラウドサービス利用費、外注費、知的財産権等関連経費、
広告宣伝・販売促進費、研修費

②グリーン成長枠

研究開発・技術開発又は人材育成を行いながら、グリーン成長戦略「実行計画」14 分野の課題の解決に資する取組を行う中小企業等の事業再構築を支援する枠を指します。

項目 要件
補助金額 ■エントリー
中小企業者等【従業員数 20 人以下】100 万円 ~ 4,000 万円
【従業員数 21~50 人】100 万円 ~ 6,000 万円
【従業員数 51 人以上】100 万円 ~ 8,000 万円
中堅企業等 100 万円 ~ 1 億円

■スタンダード
中小企業者等 100 万円 ~ 1 億円
中堅企業者等 100 万円 ~ 1.5 億円
補助率 中小企業者等 1/2 (大規模な賃上げ(※)を行う場合は 2/3)
中堅企業等 1/3 (大規模な賃上げ(※)を行う場合は 1/2)

※事業終了時点で、①事業場内最低賃金+45 円、②給与支給総額+6%を達成すること。
補助事業実施期間 交付決定日~14 か月以内(ただし、補助金交付候補者の採択発表日から 16
か月後の日まで)

※交付決定後自己の責任によらないと認められる理由により、補助事業実施期間内に完了することができないと見込まれる場合には事故等報告を提出する。(補助事業実施期間の延長が認められる場合がある。)
補助対象経費 建物費、機械装置・システム構築費(リース料を含む)、技術導入費、専門家経費、運搬費、クラウドサービス利用費、外注費、知的財産権等関連経費、広告宣伝・販売促進費、研修費

③卒業促進枠

成長枠・グリーン成長枠の補助事業を通して、中小企業等から中堅企業等に成長する事業者に対し上乗せ支援する枠を指します。

項目 要件
補助金額 成長枠・グリーン成長枠の補助金額上限に準じる。
補助率 中小企業者等 1/2
中堅企業等 1/3
補助事業実施期間 交付決定日~成長枠・グリーン成長枠の事業計画期間終了まで

※交付決定後自己の責任によらないと認められる理由により、補助事業実施期間内に完了することができないと見込まれる場合には事故等報告を提出する。(補助事業実施期間の延長が認められる場合がある。)
補助対象経費 成長枠・グリーン成長枠の補助対象経費に準じる。

卒業促進枠の補助対象経費は、成長枠又はグリーン成長枠の補助対象経費と明確に分ける必要がある。同一の建物や設備等を、卒業促進枠と成長枠又はグリーン成長枠との両方で対象経費とすることはできない。

④大規模賃金引上促進枠

成長枠・グリーン成長枠の補助事業を通して、大規模な賃上げに取り組む事業者に対し、上乗せ支援する枠を指します。

項目 要件
補助金額 100 万円 ~ 3,000 万円
補助率 中小企業者等 1/2
中堅企業等 1/3
補助事業実施期間 交付決定日~成長枠・グリーン成長枠の事業計画期間終了まで

※交付決定後自己の責任によらないと認められる理由により、補助事業実施期間内に完了することができないと見込まれる場合には事故等報告を提出する。(補助事業実施期間の延長が認められる場合がある。)
補助対象経費 成長枠・グリーン成長枠の補助対象経費に準じる。

※大規模賃金引上促進枠の補助対象経費は、成長枠又はグリーン成長枠の補助対象経費と明確に分ける必要があります。同一の建物や設備等を、大規模賃金引上促進枠と成長枠又はグリーン成長枠との両方で対象経費とすることはできない。

⑤産業構造転換枠

国内市場縮小等の構造的な課題に直面している業種・業態の中小企業等が取り組む事業再構築を支援する枠を指します。

項目 要件
補助金額 【従業員数 20 人以下】 100 万円 ~ 2,000 万円
【従業員数 21~50 人】 100 万円 ~ 4,000 万円
【従業員数 51~100 人】 100 万円 ~ 5,000 万円
【従業員数 101 人以上】 100 万円 ~ 7,000 万円
※廃業を伴う場合には、廃業費を最大 2,000 万円上乗せ
補助率 中小企業者等 2/3
中堅企業等 1/2
補助事業実施期間 交付決定日~12 か月以内(ただし、補助金交付候補者の採択発表日から 14
か月後の日まで)

※交付決定後自己の責任によらないと認められる理由により、補助事業実施期間内に完了することができないと見込まれる場合には事故等報告を提出する。(補助事業実施期間の延長が認められる場合がある。)
補助対象経費 建物費、機械装置・システム構築費(リース料を含む)、技術導入費、専門
家経費、運搬費、クラウドサービス利用費、外注費、知的財産権等関連経費、
広告宣伝・販売促進費、研修費、廃業費

⑥最低賃金枠

最低賃金引上げの影響を受け、その原資の確保が困難な特に業況の厳しい中小企業等の事業再構築を支援する枠を指します。

項目 要件
補助金額 【従業員数 5 人以下】 100 万円 ~ 500 万円
【従業員数6~20 人】 100 万円 ~ 1,000 万円
【従業員数 21 人以上】 100 万円 ~ 1,500 万円
補助率 中小企業者等 3/4
中堅企業等 2/3
補助事業実施期間 交付決定日~12 か月以内(ただし、補助金交付候補者の採択発表日から 14か月後の日まで)

※交付決定後自己の責任によらないと認められる理由により、補助事業実施期間内に完了することができないと見込まれる場合には事故等報告を提出する。(補助事業実施期間の延長が認められる場合がある。)
補助対象経費 建物費、機械装置・システム構築費(リース料を含む)、技術導入費、専門
家経費、運搬費、クラウドサービス利用費、外注費、知的財産権等関連経費、
広告宣伝・販売促進費、研修費

⑦物価高騰対策・回復再生応援枠】

業況が厳しい事業者や事業再生に取り組む中小企業等、原油価格・物価高騰等の影響を受ける中小企業等の事業再構築を支援する枠を指します。

項目 要件
補助金額 【従業員数 5 人以下】 100 万円 ~ 1,000 万円
【従業員数6~20 人】 100 万円 ~ 1,500 万円
【従業員数 21~50 人】 100 万円 ~ 2,000 万円
【従業員 51 人~】 100 万円 ~ 3,000 万円
補助率 中小企業者等 2/3(※1)
(※1)従業員数 5 人以下の場合 400 万円、従業員数 6~20 人の場合 600万円、従業員数 21~50 人の場合 800 万円、従業員数 51 人以上の場合は 1,200 万円までは 3/4

中堅企業等 1/2(※2)
(※2)従業員数 5 人以下の場合 400 万円、従業員数 6~20 人の場合 600 万円、従業員数 21~50 人の場合 800 万円、従業員数 51 人以上の場合は1,200 万円までは 2/3
補助事業実施期間 交付決定日~12 か月以内(ただし、補助金交付候補者の採択発表日から 14か月後の日まで)

※交付決定後自己の責任によらないと認められる理由により、補助事業実施期間内に完了することができないと見込まれる場合には事故等報告を提出する。(補助事業実施期間の延長が認められる場合がある。)
補助対象経費 建物費、機械装置・システム構築費(リース料を含む)、技術導入費、専門
家経費、運搬費、クラウドサービス利用費、外注費、知的財産権等関連経費、
広告宣伝・販売促進費、研修費

事業再構築補助金の申請にあたっての注意点

最後に、事業再構築補助金の申請にあたり、注意点について解説します。

過去の採択率は40~50%程度

事業再構築補助金は、申請してもすべて採択されるわけではありません。これまでの採択率は、最も低いものが30.1%(第1次公募通常枠)、最も高いもので80.0%(第3次公募最低賃金枠)と枠によって非常に幅があります。「採択ありき」で新規事業を開始してしまうと、補助金が受給できなかった場合、事業に大きな影響を与えてしまう可能性があります。

採択されても後に否認される可能性がある

採択後に補助金交付の審査が行われるため、審査によっては支払われる補助金が減額される場合があります。また、のちに不備が発覚した場合は返金しなければならないため、設備投資を行ったあとなどには痛手となることも十分に考えられます。

事業類型・要件が各回の公募で大きく異なる

公募の各回によって事業の類型や受給要件は大きく異なります。そのため、現在準備していても、間に合わないと次回に一から練り直さなければならない可能性があります。

採択事例を確認する

過去に採択された事例から、どのような事業が採択されているのかを確認しておきましょう。採択事例から、自社の計画を振り返り、不足があれば補足しておかなければなりません。
採択事例はこちら

書類の不備・スケジュールを確認する

電子申請時には、必要な添付資料に漏れなどないかを十分に確認しましょう。また、交付申請時にも、交付額を確定するための添付資料を間違いのないように確認しなければなりません。
また、万が一間違っていた場合や修正箇所が見つかった場合のことも想定し、期限の1~2週間前には申請を済ませておくことをお勧めします。

事業再構築補助金の最新の公募情報(第11回)

事業再構築補助金の第11回公募は2023年8月10日18時から公募が始まりました。(第11回はサプライチェーン強靭化枠の公募は無し)

- 公募開始:2023年8月10日(木)18:00
- 申請受付:調整中
- 応募締め切り:2023年10月6日(金)18:00

補助金への申請は、オンラインで行います。申請にはGビズIDプライムアカウントの作成が必要になります。 アカウント発行に時間を要する可能性があるため、余裕を持って準備することをお勧めします。
申請方法や最新情報など、詳しくは事業再構築補助金の公式サイトをご覧ください。

終わりに

事業再構築補助金を利用することで、企業は資金調達の負担を軽減し、より効率的または効果的な事業運営が可能になります。ただし、申請手続きが煩雑であったり、対象となる事業や条件が限られている場合もありますので、詳細は公募概要や公式サイトをしっかりと確認する必要があります。

また、事業再構築補助金を活用し、M&Aによる譲受けを通じて新たな分野にチャレンジしていくことも可能です。
M&Aに関するご相談を専任のコンサルタントが承ります。詳しくは無料相談にてお問合せください。

著者

M&A マガジン編集部

M&A マガジン編集部

日本M&Aセンター

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