零細企業とは?中小企業やベンチャーとの違い、M&Aを行うメリットを解説
中小企業庁によると、日本の中小企業は336.5万者、そのうち小規模事業者数は285.3万者となり、企業全体の84.5%を占めます。小規模事業者、つまり零細企業が日本の経済活動を支えているとも言えます。
企業数 ※2021年6月1日時点 |
構成比 |
|
---|---|---|
中小企業 | 336.5万者 | 99.7% |
L うち小規模事業者 | 285.3万者 | 84.5% |
大企業 | 1万364者 | 0.3% |
合計(中小企業+大企業) | 337.5万者 | ー |
※出典:中小企業庁「中小企業・小規模事業者の数(2021年6月時点)」 より作成https://www.chusho.meti.go.jp/koukai/chousa/chu_kigyocnt/2023/231213chukigyocnt.html
本記事では零細企業の概要、零細企業におけるM&Aのメリット・注意点についてご紹介します。
この記事のポイント
- 零細企業は日本の中小企業の大部分を占め、後継者不在のためM&Aによる譲渡が増加している。
- 零細企業がM&Aを行うメリットには、事業承継の実現や資本・技術の獲得があり、デメリットとしては顧客離れや人材流出のリスク、簿外債務の引き継ぎがある。
- M&Aの方法には株式譲渡と事業譲渡があり、株式譲渡は相対取引で行われることが多く、事業譲渡は特定の資産・権利義務を売却する方法である。
⽬次
- 1. 零細企業とは?
- 1-1. 大企業との違い
- 1-2. 中小企業との違い
- 1-3. ベンチャー企業との違い
- 2. 零細企業の特徴
- 3. 零細企業のM&A
- 4. 零細企業がM&Aを行うメリット(売り手)
- 5. 零細企業を譲受けるメリット(買い手)
- 6. 零細企業がM&Aを行う際に注意すべきポイント
- 6-1. 企業価値の適切な評価
- 6-2. 譲渡先を選ぶ条件の設定
- 6-3. 契約内容の精査
- 6-4. 関係者への情報共有
- 7. 零細企業がM&Aを行う方法
- 7-1. 株式譲渡
- 7-2. 事業譲渡
- 8. 零細企業のM&Aは、専門家に相談を
- 8-1. 著者
零細企業とは?
零細企業は、法律上明確に定義されていませんが、一般的には中小企業のうち小規模事業者を指します。
中小企業基本法では、小規模事業者は以下のように定義されています。
例えば卸売業、サービス業、小売業では従業員5人以下、製造業などその他の業種では20人以下が小規模事業者に該当します。
※参考:中小企業基本法 第2条 をもとに作成
大企業との違い
零細企業は一般的には「資本金1,000万円以下」「従業員数5人以下」の企業が該当すると言われます。
会社法上、大企業は「資本金5億円以上(または、負債が200億円以上の企業)」が該当します。
中小企業との違い
一方、中小企業は上記の中小企業基本法による表から、業種ごとの資本金や従業員数で区分されます。
ベンチャー企業との違い
ベンチャー企業に法律上の明確な定義はありませんが、革新的なアイデアやビジネスモデルでイノベーションを生み出す企業を指します。
零細企業はあくまで企業規模よる分類であり、ベンチャー企業はビジネスの拡大を目指す過程で従業員数を増やす可能性があるという経営スタイルに違いがあると言えるでしょう。
もちろん資本金や従業員数が少ないベンチャー企業の設立時は、零細企業であるとも言えます。
零細企業の特徴
零細企業の多くは地域社会に根ざし、「地域に密着したサービス」を提供しています。また、経営者自らが業務に携わり、素早く柔軟な経営判断が行われる傾向にあります。
また、特定の分野や技術に特化した事業を展開し、その専門性、独自性を強みにする傾向が見られます。
一方で資金調達や、競争力の面で課題を抱えているケースが多いのが特徴として挙げられます。
零細企業のM&A
2025年には、経営者が70歳以上の中小企業が約245万社にまで増加すると言われており、その半数を占める約127万社は後継者が決まっていません。
これは企業の規模に関わらず、零細企業においても後継者不在の問題は深刻化しています。その解決先としてM&Aは解決策として注目を高め、年々増加傾向にあります。
零細企業がM&Aを行うメリット(売り手)
外部の第三者の中から適切な譲渡先が見つかれば、長年築いた事業やブランドが消えることなく事業継続する可能性が高まります。
事業や顧客基盤、従業員の雇用をそのまま引き継ぐことも可能になります。
またM&Aによって資本力のある企業の傘下に加わった場合、資本や経営資源を獲得でき、単独で成し遂げられなかった事業展開や成長が期待できます。
零細企業を譲受けるメリット(買い手)
自社単独では実現が難しい市場、領域への展開や顧客基盤を獲得することが可能になります。
特に地域に密着した零細企業を譲受けることで、その地域における顧客基盤を獲得し、ビジネス拡張の機会を広げることができます。
単独で新たに進出する際に比べてコストや時間の削減が期待できます。
零細企業がM&Aを行う際に注意すべきポイント
零細企業がM&Aを通じて、外部の会社に譲渡する際に注意しておきたいポイントは、以下の通りです。
企業価値の適切な評価
譲渡を行う際に、会社の価値を正確に評価してもらう必要があります。過大評価は買い手を遠ざける可能性があります。企業評価は専門性が高い領域であるため、第三者の専門家による評価を受けることをお勧めします。
また自社の強みを明確にし、譲渡先候補へのアピール材料にすることで、企業評価にプラスの影響が期待できます。
譲渡先を選ぶ条件の設定
いざ譲渡先の候補が複数上がった場合、どのような譲渡先であれば、自社が目指す目的を実現できるのか、会社の歴史や想いをどこまで尊重してもらえるのか、譲れない条件などをあらかじめ明確にしておく必要があります。
譲渡先との交渉では、価格だけでなく、価値観の共有、M&A後の方針などもしっかりと確認しておく必要があります。
契約内容の精査
譲渡契約には多くの条項が含まれます。買収完了後の保証期間、責任の範囲、ペナルティ等についてもよく理解しておく必要があります。専門の法律家と協力して、契約内容をしっかりと確認しましょう。
関係者への情報共有
M&Aのニュースは内外に大きな影響を与えます。成約前には情報管理を徹底する必要ますが、成約後は特に従業員に対して早めに情報を開示し、不安や疑問を解消する努力が必要です。
以上のように、零細企業がM&Aで譲渡を行う場合には、多くの側面で慎重な検討と準備が必要です。専門家の協力を得つつ、戦略的に、かつ慎重に進めていくことが成功への鍵となります。
零細企業がM&Aを行う方法
零細企業がM&A・売却を行う方法は主に「株式譲渡」「事業譲渡」の2つです。
株式譲渡
株式譲渡はM&Aで用いられるポピュラーな手法の1つです。
オーナー経営者が保有する株式を譲受け企業(買い手)に売却する手法でとして、零細企業のM&Aにおいても用いられます。
株式譲渡には、相対取引、市場買付け、公開買い付け(TOB)の3種類がありますが、零細企業、中小企業など非上場株式の場合は相対取引しか利用できません。
相対取引は、取引所を通さずに買い手と売り手が直接交渉で行う取引です。あらかじめ当事者同士が売買する価格や数量を決めてから、取引所外で取引します。
非上場企業では、経営者が会社の株式の過半数を保有していることが多く、そのため相対取引で、株式譲渡が完結します。ただし、株式が多くの株主に分散している場合は、個別に交渉する必要があります。
事業譲渡
事業譲渡も同様にM&Aにおける代表的な手法の一つです。
特定の事業に関連している資産・権利義務などを売却する方法であり、企業の経営権が企業に残る点が株式譲渡と大きな違いです。
複数事業を展開しているうちの一部だけを譲渡し、主力事業に注力したい場合などに用いられます。譲受ける側にとっても、必要な事業だけを譲受けられるというメリットがある一方で、包括的に交渉を行う株式譲渡に比べて、個別に契約を締結するなど手続きが煩雑になるなどの注意点もあります。
零細企業のM&Aは、専門家に相談を
以上、零細企業についてご紹介しました。零細企業に限らずM&Aでは会社をどうしていきたいのか、目的を明確に定めておくことが重要です。また、会計や税務、法務など専門的なプロセスを含むため、外部の専門家をパートナーに進めることが成功の鍵となります。
・M&A成約実績累計9,500件超の安心感
・業界最大級のM&Aネットワークで成約率UP
・M&A成約後の成功をサポートできるグループの総合力
日本M&Aセンターでは、ご相談からM&Aの成約まで、経験豊富なM&Aのプロが丁寧にサポートいたします。まずは無料相談でお悩みをお聞かせください。ご相談は無料、秘密厳守で承ります。