商社のM&A事情について、元商社マンが語る!成功する買い手企業の共通点とは?

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商社のM&A事情について元商社マンが語る!
日本M&Aセンターでは毎月買い手企業の方に向けて「どのように買収を進めていけばいいのか」「買収後どのように統合作業を行っていくのか」といったテーマで「買収の参観日」というセミナーを行っています。本記事では、そのセミナーのスピンオフとしてスタートした動画の内容をお届けします。

動画本編はこちらから

商社の介在価値とは

壷井: 今回のテーマは「商社企業のM&A事情」。商社出身の当社営業、井東さんをゲストに迎えて掘り下げていきたいと思います。井東さん、簡単に自己紹介をどうぞ。

井東: 井東です。前職は商社に勤めていまして、国内や海外の貿易関係、特に中国やASEANを中心に輸入・輸出の仕事をしていました。日本M&Aセンターに入社して6年目を迎えます。

壷井: ご自身のバックボーンを活かして、当社でも商社のお客様のM&Aをたくさん担当されていると。

井東: そうですね、商社のお客様の割合は社内でも多いほうだと思います。お客様の扱う商品商材がそれぞれ違っても、事業形態や会社として何を強みに商売をされているのか、商流やバリューチェーンを意識しやすいのは、商社出身ならではかなと感じています。

壷井: 商社ビジネスは佳境ともいわれていますが、どうやって今後戦略を作っていったらいいのか悩まれている経営者さんが多いと考えています。川上、川下、横展開で別の商材にいくのか…逆に動きやすいポジションだからこそ、M&Aの戦略を作りやすいといいますか、シナジーを出しやすい業界なのかなと個人的には見ているんですけれども。

井東: 商社といっても総合商社から専門商社まで様々で、商材によって異なるとは思います。昔はインターネットもなく、連絡手段も限られた状態で、間に立つ人が動き回るというところから、いかに情報をキャッチして提供するか、金利負担をするかなど、時代時代によって商社の介在価値は変わってきたんですけど、 機能をたくさん持つことが商社の介在価値につながる と思っています。

単純に商売を仕入れているだけでなくて、自社でロジスティクスを持ったりとか、加工機能を持ったりとか、仕入れた物をより拡販しやすい形にして小売りに近づいたりとか。今では実店舗を構えるではなくECサイトのようにライトな感じで小売ビジネスに近づけくことができるので、旧来の業態からチャレンジした商社さんは上手くいっている印象がありますね。
大きい商社さんの場合ですと商流、枠組みが固定されているので、小売りに進出してもやり方を知らなくて失敗したりとか、加工機能持ったけど製造業の技術が無いと難しい、という話もよく耳にします。

壷井: チャレンジしている会社さんと、そうでない会社さんの違いは何でしょうか。

井東: できていない会社さんには、オーナーシップを持ってチャレンジする、という人が少ない、という課題があるからではと考えます。一方で日本M&Aセンターがお手伝いする商社の買い手企業さんの場合、譲り受けた後にオーナーシップを持って経営していて、買い手の社長様自身がノウハウを身につけて知見を広げられている。結果、上手く事業を回してらっしゃるというケースをよく目にします。商社として今の時代に即した介在価値を考えることは、一生語られるべきテーマかなと思いますね。

壷井: 「介在価値はどこか」といっても、明確に見えていれば進んでいけますし、見えてても壁があって進めないこともあると思います。商社の会社さんとお話していると「こっちの方向にいったら、こういうビジネス展開ができる」「そっちにいったら、さらにここの方に進める」と様々な展開が描きやすいなと感じます。

井東: 私自身が思い描く、商社の理想がありまして。

壷井: 理想の姿ですか。

井東: たとえば繊維業界でいうとユニクロですよね。SPAモデルといって自分で作って、運んで、お店やネットで売る。このビジネスができたらたぶん最強だと思うんですよね。昔は(サプライチェーン)一つひとつの機能が重めだったので、それぞれ縦割りでやってたと思うんですけど、今の時代って自社ブランドの商品って委託すれば全世界のいろんな工場で作って、自社ブランドを立ち上げられる。販売も固定資産を持たなくてもECサイト上で売れて、そこで介在できるものを自分たちでやれるというのが強みであって。やっぱり製造小売業までいけると最強かなと思います。もちろん、そこをやりたいかどうかですけれども。商社の方々は自社が何をできるかだけではなくて、自社で何をやりたいか という観点で動かれていくと、可能性は無限大かなと考えています。

商社のM&A事例にみるポイント

壷井: 商社さんだと実際どのようなM&Aのケースがあるんでしょうか。

井東: 元々商社は「ビジネスを作っていく」というのが根底にあるので、いかに付加価値をつけていくかという観点を持たれている会社さんが多いので、いろいろなパターンがありますね。

よくあるのは「面をとっていきましょう」というケースですね。当社のお客様の例ですが、関東ともうひとつ遠隔地に自社の拠点を持っていらっしゃる商社さんがいらっしゃいました。長年、その2拠点の間にあたるエリアが手薄だったので、そこに商流を作っていきたいということでM&Aを検討されていて。その会社さんは輸入貿易系が得意だったのですが、小さな販路で細かな商売をやっていくことを苦手としていました。なので希望するエリアで「仕入れは苦手だけど販路をたくさん持っている会社」を譲受けましょう、とお相手を探していました。結果、希望エリア内で、関連商材を扱う譲渡希望の会社さんが見つかり、M&Aで一緒になられたのですが、現在ではその買い手企業さんの輸入力を使って、譲渡企業さんが今まで扱ってなかった商材を販売することで、早い段階から売り上げを伸ばしてらっしゃると聞いています。

壷井: お話伺ってるだけでも、今後さらにシナジーを生み出していきそうと感じました。

井東: 最近トレンドとして多いのは50代、60代前半の経営者様からの譲渡のご相談が増えているので、売り手の社長さんが3年~5年スパンで会社に残ってくれるケースが多いですね。譲り受けた中でまた新しい方を見つけて、ソフトランディングしていけるケースが増えたので、成約後、両社の統合に向けて昔より対応しやすくなっていると感じています。

壷井: 売り手の会社が経営者含め残ってくれるので、スムーズに統合が進められて、シナジーも生まれている。いいことづくめですね!

井東: いいことづくめですね。

壷井: その買い手の会社さんは、最初からM&Aを中心に考えていたんですか?

井東: 最初にお会いした時は「M&A、どうしようかな、やってみてもいいかな」という温度感でした。シナジーもその時お話したんですけど、 個人的にはシナジーって絶対的なM&Aの目的ではなく、M&Aをするための要因のひとつと考えています。
いろいろなお客様のM&Aに接している中で、一番大事だなと思ったのは、今あるビジネスを中心にシナジーを考えるのではなくて、 その会社、オーナーさん自身が何をやりたいか、何を実現したいかが非常に重要 かなと思っていて。

例えばとある会社さんが新規事業をやりたいとなった時に、シナジーをいきなり一番に考えることはあまりないと思います。M&Aってシナジーを持ってやるというより、 (他社の力を借りて)新規事業を一足飛びでできる という考え方に立って判断するのがいいんじゃないかな、と思っています。

私もお客様とディスカッションして夢やビジョンを語り合う中で、新しいことにどんどんチャレンジしていこうという経営者の方が多いので、そこが中小企業M&Aの良さかなと思っています。
投資っていう観点でいくと、ちゃんと利益が出ている会社を適正な価格で譲受ければ、銀行からの信用力もさらに上がるというケースが増えてきています。買い手企業さんが1件目は数千万から1億未満の投資を、その次に数億円、3件目では10億円に近い投資を銀行の協力を得てできたというケースも少なくないです。
つまり、利益が出ている会社を適正な価格で譲受けることができれば、買い手の会社さんにとって信用力もついて、成長バイアスがかかりやすいのかなと感じますね。 買い手の会社さんにはM&Aも新規事業、新規ビジネスの立ち上げの1つとして考えてもらう と、非常に成功しやすいのではと感じますので、ぜひいろいろなチャレンジをしていただきたいですね。

まずはお気軽にご相談を!

壷井: 今、日本M&Aセンターに譲渡案件が何件くらいあるんでしょうか。

井東: 1,500件くらいありますね。

壷井: まずはそうした案件情報をたくさん見て戴きながら、ディスカッションをさせていただくのが大切かなと思います。売り手さん側もいいお相手を真剣に探してますし、買い手さん側もそうしたビジネスチャンスととらえて検討されてる方も多いと思うので、まずは気軽にご相談いただければと。

井東: とりあえず1.2件、情報を見せてくださいという経営者さんもごくたまにいらっしゃいますが、当社だと、まず会社として社長として何をやりたいのか、半年後、1年後、1年半後にどんなことをやっていくかという観点でディスカッションさせていただくことが多いですかね。そうしたお話をさせていただくなかで、もちろんM&Aを実行するかどうかは結果論でしかないのですが、社長さまとして視野を広げたり将来のビジョンを広げる、そのお手伝いを一緒にしていければと考えております。

壷井: 北は北海道から南は沖縄まで、そしてASEANをはじめ海外も対応しております。ぜひお気軽にお問合せください!

M&Aに関するご相談はこちらから承っております。
ご検討段階の方もお気軽にお問合せください。

本記事の動画はこちらからご覧いただけます。

著者

M&A マガジン編集部

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