東日本放送とセミナーを開催 宮城県の経営者と経営の次の一手を考える
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宮城県仙台市のテレビ局「東日本放送(khb5)」は6月28日(火)、セミナー「宮城県内の経営者のための経営の打ち手カンファレンス」を開催しました。
同セミナーでは、多くの地元企業の経営者にとって課題の一つとなっている「事業承継」「DX」「生産性向上」などについて、日本M&Aセンターに加えて、世界No.1のCRM「Salesforce」で企業のDX推進を支援するセールスフォース・ジャパン、BtoBビジネス領域において企業の購買活動やECを支援する「Amazonビジネス」を提供するアマゾンジャパンの協賛3社が、最新事例とともにそれぞれが提供するソリューションについて紹介しました。
地域経済を維持するため、早めの「事業承継」の検討が重要
日本M&Aセンターから東日本ダイレクトマーケティング部 縄田桂介マネージャーが登壇し、中堅・中小企業の多くが抱える事業承継問題について講演しました。
団塊の世代が75歳以上になり超高齢化社会を迎える「2025年問題」。約60万社が黒字にも関わらず後継者不在によって廃業すると中小企業庁により試算されています。M&Aによって後継者不在問題の解消や、自社単独ではできなかった成長が実現可能となることを紹介しました。
縄田マネージャーは、聴講した経営者の方々に向けて「経営者が働けなくなってから第三者継承を検討しても、すぐに良い相手(企業)が見つかるとは限りません。ベストな相手とマッチングするためにも、将来どうしていきたいのかを早めに熟考し会社を託せる相手を探す必要があります」と話し、従業員の雇用や取引先を守り、地域経済を維持するために、経営者は早めに事業承継について検討していくことが重要であると強調しました。
さらに「M&Aというと会社を譲受ける方の立場が強いと思う方もいますが、多くのM&Aでは譲渡側のオーナーが会社を譲るか譲らないかの最終的な判断を行います。実際は、譲受け企業は譲渡企業のオーナーの経営哲学に共感し受け継ぐとともに、会社を成長させていく想いを持ってM&Aを実行しなくてはなりません。」と伝えました。
講演の最後に、「ほとんどのM&Aは両社が対等で友好的なものです。他にもM&A後は会社ががらりと変わってしまうと心配される方もいますが、社名や従業員やその待遇は変わらず、多くの場合で譲渡したオーナーが社長として会社に残ります。M&Aは、大手企業に株式を譲渡してその傘下に入るようなイメージなのです。」とM&Aに対する誤解について解説しました。
少子高齢化は備えられる危機 チャンスととらえて次の1歩を踏み出す
セミナーの最後には、仙台で中堅・中小企業の経営者向けのコワーキングスペース「STUDIO 080」を運営し地域企業経営者のコミュニティを活性化させている栃山剛氏がモデレーターを務め、協賛3社の登壇者に加えて地域の経済誌「仙台経済界」で長年地元の経営者を取材してきた大関辰朗氏を交えパネルディスカッションを行いました。
「少子高齢化をどう受け止めているか」「少子高齢化を踏まえた上で宮城県企業にどのような魅力や期待があるか」「今後どのような経営をしていくべきか」などをテーマに、宮城県の地域の企業や経済について登壇した5名がそれぞれの考えや想いを話しました。
「少子高齢化は、将来予想できる課題であるから早めに対策することで、宮城県地域の経営者は新たなチャンスにできる」という栃山氏の提言に対し、4人のパネリストがそれぞれの意見を述べました。
パネリストとして登壇した縄田マネージャーは、「少子高齢化という大きな課題に対して危機感を持つことは大きなチャンスとなる」と述べ、宮城県の隣県である福島県は積極的に中小企業とのM&Aを行い傘下にすることで成長を加速している企業が多いことを紹介。成長戦略を推進するためのM&Aを積極的に行うことで少子高齢化というピンチをチャンスに変えていくという選択肢があることを説明しました。
さらに、宮城県は東北6県のリーダー的な存在である一方、上場企業が約20社程度しかないことに言及。「宮城県の上場企業を増やし、たくさんのスター企業を創出することで首都圏に出ていた若者が戻ってくる可能性があります」と説明し、一般市場より上場しやすく他の市場と同様の恩恵を受けることができるTOKYO PRO Marketというプロ投資家向けの市場への上場という成長戦略を紹介。
宮城県の中堅・中小企業はM&Aや上場などでさらなる成長戦略を推進することで、地域経済をさらに活性化することができると伝えました。
ディスカッションの最後に栃山氏は、「宮城県の経営者は今まで企業を成長させてきたこと、東日本大震災を乗り越えてきたことをとても誇りに思っている。その一方で、この先の成長については積極的でないことが多い」と紹介。「「M&A」「DX」「生産性向上」など、新たな取り組みを知ることで、宮城県の経営者に次の1歩踏み出してもらいたい」とメッセージを発信しました。