これから必要となるホンマの医療 患者や地域に選ばれる調剤薬局の戦略を紹介
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著名なコメンテーターをお招きして調剤薬局業界のトレンドや簡単にできる健康法を紹介しました。日本M&Aセンター業種特化事業部調剤薬局業界専門グループは、新書籍『The Story[調剤薬局業界編]業界を勝ち抜くために知っておきたい秘密 業界動向・業界再編・M&A 』の出版を記念したセミナー「これから必要となるホンマの医療」を8月31日に開催しました。コメンテーターとして人気の総合内科専門医、法務省矯正局医師 おおたわ史絵様がゲスト講師としてご登壇し、医師の視点から健康法をご説明いただきました。
調剤薬局業界の課題と先進国アメリカの事例から学ぶM&Aの可能性
セミナー第一部では調剤薬局業界専門グループの田島聡士グループリーダーが、調剤薬局業界の歴史と現状を報告。「デジタル改革」、「生活様式の変化」、「本格的な異業種参入」の観点から業界のビジネスモデルを揺るがす変化が起きていると紹介しました。
デジタル改革において、今後、オンライン診療や電子処方箋の普及が進むと予想されています。10年後20年後にはインターネットを使いこなす後期高齢者が増加する背景から、よりICT(情報通信技術)の戦略が求められていくと分析します。
生活様式の変化においては、コロナ禍で予防医療の関心が高まり、処方箋枚数は2020年、2021年と2年連続で減少傾向にあります。縮小していくマーケットの中で単純な「門前薬局」から脱却し、より多くの患者に選んでもらえる、患者に付加価値を提供できる調剤薬局に変われるかどうかが重要となります。調剤薬局業界では規制緩和による異業種の新規参入も相次ぎ、ドラッグストアやテック企業が業界の新興勢力となっています。
先進的な事例として、アメリカの企業のM&A事例も紹介。企業規模を拡大させて経営体力をつけることや、予防接種や簡易診断する身近な医療相談を担う組織への変化、専門アプリを導入して他社との差別化が成長につながったケースを解説しました。先進事例に追随する日本の大手調剤薬局の動きを示唆し、単なる後継者不在問題への対応だけではなく、「より良い業界を目指すため、どこと組むかというフラットなイメージでM&Aを検討してほしい」と強調しました。
ストレッチと呼び掛けでできる簡単健康法 健康増進で地域に選ばれる薬剤師へ
セミナー第二部では、テレビ番組「情報ライブミヤネ屋」のコメンテーターで知られる内科医おおたわ史絵様にご登壇いただきました。
おおたわ様は、患者からよく聞かれる健康相談や薬剤師にもできる一言健康アドバイスを紹介しました。日光を浴びることで分泌される、ビタミンDや、幸せホルモン「セロトニン」は睡眠の質や免疫を向上させると説明。不眠症など睡眠障害を持つ患者には朝の散歩を治療の一環として勧めているそうです。他にも、肩こりを軽減できるストレッチも実演しました。おおたわ様は、薬剤師による「前回より良くなりました?」や「足元に気を付けて」など簡単な一言は患者にとって大きな力になると呼び掛けます。地域や患者から選ばれる調剤薬局になるためにも、薬剤師が患者に寄り添って健康に向き合い続けることが一番大切だとまとめました。