シンガポール現地事情とM&Aの状況(海外出張レポート)

長谷川 悠介

日本M&Aセンター In-Out推進部

海外M&A
更新日:

⽬次

[非表示]


2022年5月中旬、日本M&Aセンターが2016年に第一号の海外拠点として立ち上げたシンガポールへ出張してきました。新型コロナ以降初となる海外渡航、かつ初のシンガポールでしたので現地の状況を中心に、多くのASEAN地域で渡航解禁となった現在の海外M&Aの動向についての記事とさせていただきます。
※本記事は2022年6月に執筆されました。

渡航情報(2022年5月17日時点)

このブログを読んでくださっている方の中には、近いうちにシンガポールにご出張に行かれる方もいらっしゃるかと思いますので、簡単に私が渡航した当時の渡航情報をお伝えいたします。
※渡航に関する最新情報は外務省海外安全ホームページをご参照ください。

シンガポールへの入国

日本からシンガポールへ入国するにあたっては事前に電子入国カード・健康申告書の提出が必要になりますが、事前に申請をしていれば現地でのPCR検査や隔離措置などもなくビジネスでの出張はもちろん観光目的でもスムーズに入国することが可能です。
追跡アプリTraceTogetherのダウンロードは必須となっているため、日本出国前にダウンロードをお勧めします。

日本からシンガポールへの入国は非常に簡単なのですが、シンガポールから日本へ帰国する際にはシンガポール出国前72時間以内のPCR検査による検査証明が必要になります。
私が滞在していた時、ちょうど月曜日が祝日だったため出国のタイミング的に即日結果が出るエキスプレス検査でなければならず通常費用の倍の値段がかかってしまいました。

渡航ができるようになった一方で、帰国時にはPCR検査が必須となっていることもあり、日系のクリニックでは予約を取るのが困難という場合もあるため、出張を予定されていらっしゃる方は早めに予約をしておいた方がよいかもしれません。
ご参考までに私は日本メディカルケアにてPCR検査を受けました。エキスプレス検査だったため、4時間後には陰性証明がメールにて届きました。

日本帰国後隔離

ワクチン3回接種を証明出来れば、シンガポールから日本への入国時に隔離は不要(自宅隔離も不要)です。2回までの方は残念ながら7日間の隔離措置となりますのでご注意ください。(入国後3日目以降に自主検査(自己負担)を受け、陰性の結果を厚生労働省(入国者健康確認センター)に届け出て確認が完了した場合は、その後の自宅等待機は求められません。)
またMySOSのアプリを到着後直後に確認されるため、こちらも日本帰国前に取得し必要項目の登録をしておくとスムーズに帰国が可能です。

現地レポート(シンガポール)


シンガポールでは2022年4月26日から入国着の隔離義務に加えて検査義務も撤廃となったこともあり、街中には観光客らしき人も多くみられました。
まだ店内やタクシー内などではマスクの着用は義務付けられているため、マスクから完全に開放とまではいかないものの、マスクの着用も外では任意となっているため、新型コロナ前の様なマスク無しの人たちが行きかう活気のある街が広がっていました。チャイナタウンにあるホーカーのランチタイムは満員状態、ディナータイムはテラス席にも多くの観光客でにぎわっており、当然マリーナベイサンズ周辺はすごい人だかりでした。

交通手段

シンガポールの主要交通手段でもあるタクシー。現地で最も有名な配車アプリはGrabですが、残念ながら日本の携帯番号では登録ができずでした。シンガポールに到着し、SIMカードを購入して現地の番号ではメンバー登録はできたもののクレジットカードが日本のものだとクレジットカードは登録ができずで、結局Grabは一度も使えませんでした…

そんな中、2019年にシンガポールに進出してきたGojekを試しに登録するとすんなり登録ができました。クレジットカードも日本のもので問題なく登録完了。
試しにGrabとGojekで運賃を比較すると若干ですが、Gojekの方が安かったです。(時間帯や発着場所によって異なる場合はあるかもしれません。)
Grabが登録できない!と困っている方がいたらぜひGojekを試しに登録してみてください。

シングリッシュ

言語面で感じたのは、中国語や英語が公用語ということで英語が不自由なく通じることは、観光はもちろんビジネス面においても、英語圏ではない地域に比べて圧倒的にやりやすいなと感じました。

一方でシングリッシュと言われているように、中には中国語の文法のままに英語を話していたり、語尾が抜け落ちていたりと聞き取るのが困難な場面にも遭遇したため、もしまだシングリッシュに慣れないという方は事前に耳を鳴らしておいた方がいいかもしれません。私は色々な動画で耳を鳴らしていったことで、割と聞き取ることができたと実感しています。

シンガポールでのM&Aの検討状況


過去ブログ(未曾有の円安が日本を襲う ~存在感が低下する日本~)にもある通り円安が止まらない現状でも事業拡大で海外へ、特にASEAN地域への進出を検討している企業は多く、渡航解禁となってからの2022年4月以降多くの日系企業がこのタイミングで現地視察へ動き出しているのを感じています。

特にシンガポールはASEANの中でも最も発展しており、日系企業が進出するにおいては進出しやすい国であることは皆さん既にご存知かと思います。
すでに発展しきってしまったのでは?と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、ASEANへの足掛かりとして、またその先にあるグローバル企業としてのハブの機能も担うことのできるシンガポールは、海外M&Aを検討している皆様にぜひ注目いただきたいです。
シンガポールのマーケットについては東南アジアM&A最前線:シンガポールからをご参照ください。

さいごに

私にとって人生初のシンガポールは、建国からまだ57年しか経っていないということが信じられないくらい想像よりもはるかに先進的で、素晴らしい国でした。
東京23区と同じくらいの大きさでありながらも、力強くアジアの中心といった存在感がある国で、海外での可能性を改めて感じさせてくれる海外出張となりました。
日本M&Aセンターでは、現地の日本人スタッフやローカルスタッフと綿密なコミュニケーションを取りながら、ASEANビジネスの拡大に邁進しております。
是非、ASEANにおけるM&Aをご検討の際はお声がけのほどよろしくお願いいたします。

そのほか各国のブログはこちらからご覧いただけます。

著者

長谷川 悠介

長谷川はせがわ 悠介ゆうすけ

日本M&Aセンター In-Out推進部

幼少期に米国在住、外資系ITコンサルティング会社、外資系金融機関を経て、2022年日本M&Aセンターセンターに入社。東南アジアを中心とした中堅・中小企業と日本企業のクロスボーダーM&A支援に従事。

この記事に関連するタグ

「海外M&A・クロスボーダーM&A」に関連するコラム

大槻代表に聞く!新たなファンドコンセプトを持つAtoG Capital本格始動

広報室だより
大槻代表に聞く!新たなファンドコンセプトを持つAtoG Capital本格始動

2024年9月、日本M&Aセンターグループの一員として新たな一歩を踏み出した「株式会社AtoGCapital」。新たなファンドコンセプトを持つ会社ですが、どのようなコンセプトなのか、その取り組みや設立への想いをAtoGCapital代表取締役の大槻昌彦さんに聞きました。※会社設立は2023年12月、ファンドの1号ファンド設立は9月20日、出資実行完了は2024年10月23日AtoGCapital代

ベトナムM&A成約事例:日本企業との資本提携でベトナムのリーディングカンパニーへ

海外M&A
ベトナムM&A成約事例:日本企業との資本提携でベトナムのリーディングカンパニーへ

ベトナムの成長企業が日本の業界大手企業と戦略的資本提携を実施日本M&AセンターInOut推進部の河田です。報道にもありましたように、河村電器産業株式会社(愛知県瀬戸市、以下「河村電器産業」)が、DuyHungTechnologicalCommercialJSC(ベトナム・ハノイ、以下「DH社」)およびDHIndustrialDistributionJSC(ベトナム・ハノイ、以下「DHID社」)の株

タイにおける日本食市場の2024年最新動向

海外M&A
タイにおける日本食市場の2024年最新動向

コロナ禍から復活最新のタイの飲食店事情日本M&Aセンターは、2021年11月にタイにて駐在員事務所を開設し、2024年1月に現地法人を設立いたしました。現地法人化を通じて、M&Aを通じたタイへの進出・事業拡大を目指す日系企業様のご支援を強化しております。ASEAN進出・拡大を考える経営者・経営企画の方向け・クロスボーダーM&A入門セミナー開催中無料オンラインセミナーはこちら私自身は、2度目のタイ駐

ベトナムM&A成約事例:日本の「ホワイトナイト」とベトナム企業

海外M&A
ベトナムM&A成約事例:日本の「ホワイトナイト」とベトナム企業

今回ご紹介するプロジェクトTの調印式の様子(左から、ダイナパック株式会社代表取締役社長齊藤光次氏、VIETNAMTKTPLASTICPACKAGINGJOINTSTOCKCOMPANYCEOTranMinhVu氏)ASEAN進出・拡大を考える経営者・経営企画の方向け・クロスボーダーM&A入門セミナー開催中無料オンラインセミナーはこちら私はベトナムの優良企業が日本の戦略的パートナーとのM&Aを通じて

シンガポールに代わる地域統括拠点 マレーシアという選択肢

海外M&A
シンガポールに代わる地域統括拠点 マレーシアという選択肢

ASEAN進出・拡大を考える経営者・経営企画の方向け・クロスボーダーM&A入門セミナー開催中無料オンラインセミナーはこちら人件費、賃料、ビザ発行要件、すべてが「高い」シンガポールASEANのハブと言えば、皆さんが真っ先に想起するのはシンガポールではないでしょうか。日本貿易振興機構(ジェトロ)によると、シンガポールでは87社の統括機能拠点が確認されています。東南アジアおよび南西アジア地域最大の統括拠

小さく生んで大きく育てる ベトナムM&A投資の特徴

海外M&A
小さく生んで大きく育てる ベトナムM&A投資の特徴

本記事では、ベトナムでのM&Aの特徴と代表的な課題について解説します。(本記事は2022年に公開した内容を再構成しています。)比較的に小粒である、ベトナムM&A案件ベトナムのM&A市場は、ここ数年は年間平均300件程度で推移、Out-Inが全体投資額の約6~7割を占め、その中で日本からの投資件数はトップクラスです(2018年:22件、2019年:33件、2020年:23件)。興味深いことに、1件当

「海外M&A・クロスボーダーM&A」に関連するM&Aニュース

ルノー、電気自動車(EV)のバッテリーの設計と製造において2社と提携

RenaultGroup(フランス、ルノー)は、電気自動車のバッテリーの設計と製造において、フランスのVerkor(フランス、ヴェルコール)とEnvisionAESC(神奈川県座間市、エンビジョンAESCグループ)の2社と提携を行うことを発表した。ルノーは、125の国々で、乗用、商用モデルや様々な仕様の自動車モデルを展開している。ヴェルコールは、上昇するEVと定置型電力貯蔵の需要に対応するため、南

マーチャント・バンカーズ、大手暗号資産交換所運営会社IDCM社と資本業務提携へ

マーチャント・バンカーズ株式会社(3121)は、IDCMGlobalLimited(セーシェル共和国・マエー島、IDCM)と資本提携、および全世界での暗号資産関連業務での業務提携に関するMOUを締結することを決定した。マーチャント・バンカーズは、国内および海外の企業・不動産への投資業務およびM&Aのアドバイス、不動産の売買・仲介・賃貸および管理業務、宿泊施設・飲食施設およびボウリング場等の運営・管

太平洋セメント、中国子会社の大連小野田水泥を吉林省鵬霖実業に譲渡

太平洋セメント株式会社(5233)は、連結子会社である大連小野田水泥有限公司(中国遼寧省)の全持分を吉林省鵬霖実業(集団)有限公司(中華吉林省)に譲渡することを決定した。なお、本件持分譲渡後、大連小野田水泥は、太平洋セメントの連結子会社から除外される。大連小野田水泥は、セメントの製造販売を行っている。吉林省鵬霖実業は、投資事業を行っている。背景・目的太平洋セメントの連結子会社である大連小野田水泥は

コラム内検索

人気コラム

注目のタグ

最新のM&Aニュース