投資と融資の違いとは?目的や返済義務、メリット・デメリットを解説
資金調達の方法は様々ありますが、投資、融資の違いを理解することが重要です。本記事では、投資と融資、それぞれの違いやメリット、デメリットについてご紹介します。
この記事のポイント
- 投資は返済義務を負わない一方、融資は返済義務が課される。
- 資金調達をスムーズに行うためには、具体的な計画や信頼性のある財務情報の提供が重要。
⽬次
- 1. 投資と融資の違いとは?
- 1-1. 資金提供者の違い
- 1-2. 資金提供の目的の違い
- 1-3. 返済義務の違い
- 1-4. 財務諸表上の仕訳の違い
- 2. 投資を受けるメリット
- 3. 融資を受けるメリット
- 4. 投資を受けるデメリット
- 5. 融資を受けるデメリット
- 6. 投資を受けるためのポイント
- 6-1. ビジネスプランの魅力
- 6-2. 財務状況の整理
- 6-3. プレゼンテーションの準備
- 6-4. 経営陣の信頼性
- 6-5. 提供先の選定
- 7. 融資を受けるポイント
- 7-1. 資金計画の作成
- 7-2. 財務状況の整理
- 7-3. 信用度の向上
- 7-4. 融資先の選定
- 7-5. 保証人や担保の準備
- 7-6. プレゼンテーションの準備
- 8. 終わりに
- 8-1. 著者
投資と融資の違いとは?
投資は、将来的な利益を期待して第三者に資金を融通することを広く指します。もともと企業等に資本を提供することを意味しましたが、現在では資金を提供する行為を指します。
融資は、利息の獲得を目的としてお金を貸すことであり、資金を調達する側にとっては「借入れ」を指します。借入先によって、さらに民間融資、公的融資の2つに分かれます。
それぞれの違いについて「資金提供者」「目的」「返済義務」などの視点で見ていきます。
資金提供者の違い
投資における資金提供者は、主にベンチャーキャピタルや個人投資家です。
融資の資金提供者は主に銀行や信用金庫など金融機関です。融資は国や自治体を通して受ける公的融資、銀行や信用金庫などから民間融資に分けられます。
資金提供の目的の違い
投資家は「投資対象の事業の成長性」に注目して投資判断を行います。そして価値が上がったタイミングで対象企業の株式を売却し、利益を獲得します。予想した通りに企業や事業が成長すれば、保有した株式を売却してキャピタルゲインが実現します。
一方、金融機関は融資を通じて、契約に定められた利息を受け取ることで利益を獲得します。
こうした目的の違いから、資金提供者の判断基準として投資では「将来的な事業の成長性」、融資では「返済の確実性」が重視されます。
返済義務の違い
投資では、獲得した資金を自己資本にするため、原則として返済の義務は発生しません。
一方、融資では、決められた返済期間に元本に加えて利息を返済する義務があります。
財務諸表上の仕訳の違い
投資は貸借対照表で「純資産(自己資本)の増加」として計上されます。
一方融資は貸借対照表で「負債の増加」として計上されます。融資を受けて負債が増加すると、負債比率等の財務指標が悪化するため、金融機関や取引先からの財務状況のチェックやモニタリングが厳しくなる可能性があります。
投資を受けるメリット
資金調達のほか投資を受ける主なメリットは、「原則返済する義務が無い」点です。前述の通り融資との大きな違いでもあります。返済を行う必要がないため、資金繰り悪化の心配することなく、事業に集中して資金を投下することができます。
投資は企業や経営者の信用力・返済能力よりも、将来的な事業の成長性が判断する上で重視されるため、場合によっては設立間もない企業も資金調達ができる可能性があります。
また資金提供者である投資家は、数々の企業に投資してきた経験・実績が豊富な場合が多く、資金だけでなく経営・事業に関する助言を受けられる可能性もあります。
昨今は個人投資家の数も増加しているため、投資を受けられる可能性も高まっていることもメリットに挙げられます。
融資を受けるメリット
融資を受けるメリットとしては、計画的に返済できる点が挙げられます。信用状況に問題がなければ、多額の資金を調達することも可能です。
また、資金提供を行う金融機関は会社の経営に関与することがないため、経営の自由度が高くなる点もメリットに挙げられます。
そのほか個人事業主も確定申告など一定の条件を満たせば融資を受けられる点もメリットと言えるでしょう。
投資を受けるデメリット
投資を受ける場合、多くの場合自社の株式を投資家に対して発行します。原則として受け取る資金に相当する分の株式を交付するため、株価が低い場合には必要な金額を調達できない可能性があります。そして、会社の業績がアップすると「配当金の支払い」や「株主優待」のコストも増加することが想定されます。
また株式を獲得した投資家が経営に関与することで、経営の自由度が低下するリスクが発生します。極端な例だと、議決権株式の過半数以上を投資家に握られてしまい、経営権を奪われてしまう可能性も考えられます。
融資を受けるデメリット
融資を受ける場合、前述の通り返済義務が課せられ、元本に加えて利息を支払う必要があります。つまり、融資された金額よりも多い金額を支払う必要があります。
さらに金融機関の審査を受ける必要があり、場合によっては融資が受けられない可能性も考えられます。
審査では担保や保証人を求められた場合、より多くの書類を用意する必要があるなど手続きに手間や時間がかかる点もデメリットに挙げられます。
投資を受けるためのポイント
最後に投資・融資をスムーズに受けるためのポイントについてそれぞれご紹介します。
ビジネスプランの魅力
投資を受けるためには、魅力的なビジネスプランが必要です。ビジネスの成長戦略や市場のニーズに対する提案、競争力などを明確に示しましょう。
財務状況の整理
財務状況を整理し、正確な財務諸表やキャッシュフロー計算書を作成しましょう。企業の財務状況や収益性が評価されるため、信頼性の高い情報を提供することが重要です。
プレゼンテーションの準備
投資を受けるためのプレゼンテーションを準備しましょう。ビジネスモデルや成長戦略、市場のポテンシャルなどを魅力的に伝えることが求められます。
経営陣の信頼性
投資を受ける際には、経営陣の信頼性も重要な要素となります。経営陣の経験や実績、専門知識などをアピールし、投資家の信頼を得ることが求められます。
提供先の選定
適切な資金提供者を見極めることも重要です。投資家の投資方針や関心領域、過去の投資実績などを調査し、自社のニーズに合った提供者を選びましょう。 これらのポイントを参考にしながら、融資をスムーズに受けるための準備を進めてください。また、専門家やアドバイザーの助言を受けることもおすすめです。
融資を受けるポイント
資金計画の作成
具体的な資金計画を作成しましょう。将来の収益見込みや支出予測を明確にすることで、融資を受ける必要性や返済能力を説明しやすくなります。
財務状況の整理
財務状況を整理し、財務諸表やキャッシュフロー計算書を正確に作成しましょう。信頼性の高い財務情報は、融資を受ける際に重要な要素となります。
信用度の向上
信用度を高めるために、過去の取引履歴や信用情報を整理しましょう。適切な時期に借入金を返済し、支払いスケジュールに遅れがないように注意しましょう。
融資先の選定
複数の融資先を比較し、自社のニーズに合った融資プログラムを選びましょう。金利や返済条件、融資の目的に応じた特典などを検討し、最も適した融資先を選びましょう。
保証人や担保の準備
融資を受ける際には、保証人や担保を用意する場合があります。保証人や担保の選定や準備を早めに行い、必要な書類や手続きを完了させましょう。
プレゼンテーションの準備
融資を受けるためのプレゼンテーションを準備しましょう。企業のビジョンや成長戦略、競争力などを明確に伝えることで、融資先の信頼を得やすくなります。 これらのポイントを参考にしながら、融資をスムーズに受けるための準備を進めてください。
終わりに
以上、投資と融資について解説してきました。 今後、資金調達を検討する場合には、投資・融資それぞれのメリットとデメリットを踏まえ、目的や自社の状況にマッチした資金調達方法を選択されることをおすすめします。
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