【連載「会計事務所のための補助金解説」④】これだけは押さえたい、補助金のポイント3選

藤井 孝介

株式会社湘南フロンティア 取締役

事業承継
更新日:

⽬次

[非表示]

会計事務所のための補助金解説
※本記事は、中小企業の経営者から経営、事業承継についてご相談を受ける機会の多い、会計事務所のご担当者に向けた連載記事です。

皆さんこんにちは。株式会社湘南フロンティアで補助金サポーターをしております、藤井と申します。
会計事務所向けに補助金を分かりやすく解説する活動を行っております。

今回は「これだけは押さえたい、補助金のポイント3選」を解説していきます。

補助金のポイント3選

補助金情報を経営者に提案する時に、最小限押さえておかないといけないポイントをお伝えしたいと思います。

税務顧問や相続など、多くの業務がある中で、補助金の知識を全部詳しく習得するのは大変だと思います。補助金には多くのルールがあるのですが、まずは 経営者が気になる3つのポイントを押さえていきましょう。

1.申請要件

実は補助金には、申請するために条件がいくつか課される場合があります。一番分かりやすいのは、 中小企業しか申請できない というものです。他にもコロナの影響で売り上げが下がったことを条件とする場合もあります。

この条件は、事業再構築補助金のように、新型コロナウイルス感染症の影響によって作られた補助金に多く見受けられます。

登記しているエリアによって申請できる、できないが決まる場合もあります。
例えば、東京都が公募している補助金に神奈川県の企業が応募することは、基本的にできません。
このように、補助金には申請するための要件があります。

提案する前に、どんな企業が補助金にチャレンジできるか、要件を押さえていきましょう。

2.補助金額、補助率

補助金額は、「この補助金にどのくらいの補助金が出るのか」を示している数字です。

例えば補助金の上限が1000万、補助率が2/3と想定します。
総事業費が1500万円であれば、1500万円×2/3=1000万となります。つまり、1500万円の支出をすれば、事業が完了した後で1000万円が補助金として交付されます。

補助金額の大枠を押さえておくことで、 経営者の先行投資の規模感に合わせた提案 が可能になります。
仮に経営者が3000万円の事業投資を考えているのに、補助金の上限が50万円の補助金を案内しても、魅力ある提案にはならないですよね。

このように補助金の金額、補助率をきちんと押さえることにで、経営者が必要としている情報をピンポイントで伝えることができます。

3.補助金の対象にできる経費

補助金の対象は、何にでも当てはまるわけではありません。補助金の種類によって補助対象経費は変わります。

例えば「ものづくり補助金」は、産業用機械の購入費用は補助金の対象になりますが、広告宣伝費は原則として対象にはなりません。

一方で、「小規模事業者持続化補助金」は、機械の購入費用も広告宣伝費も補助金の対象に入れることができます。このように補助金の種類によって対象となる経費が変わってきます。

経営者が補助金でどのような経費の負担軽減をしたいかによって、提案する補助金が変わります。

【注意】ルール変更が不定期に行われます

気をつけなければならないのが、補助金はルール改正が行われることです。以前まで補助金の対象にできていた経費が、今回から対象外になってしまった、なんてこともあります。

ここでは「小規模事業者持続化補助金」を例に解説します。
令和3年度の募集では、Google広告やLINE公式の構築費用、ホームページの制作費用など、Webサイトやアプリに関連した経費を単独で申請することができました。しかし令和4年度からは、これらの費用は単独で申請することができなくなりました。

このルールの変更点を押さえておかないと、経営者に非常に大きな迷惑をかけてしまうことになります。
このような大きなルール変更は、年度を跨ぐときに起こりやすいので、特に注意が必要です。

もし、補助金の最新情報を知りたい場合は、デジタル庁が運営する補助金の電子申請システム「jGrants」や、中小企業庁が運営する中小企業向け補助金・総合支援サイト「ミラサポplus」などのホームページをご覧いただくと、補助金の情報が簡単に手に入ります。

効率的に最新の情報を入手することができるので、ぜひ一度チェックすることをおすすめします。

日本M&A協会について

日本M&A協会は、 中小企業の友好的M&Aの普及を目指し、日本M&Aセンターと税理士・公認会計士事務所が協働するための組織 として、2012年10月1日に発足しました。現在1,039の事務所が加盟しております。(2023年1月現在)

会員の皆様が、M&A業務の専門家として業務を行うために必要なノウハウやツールを提供しています。
様々なイベントや、地域ごとの「支部会」や「M&A研究会」、所内向け勉強会など開催し、最新のM&A情報の提供や事例展開をしております。

また、株式会社きんざい様と共同で、『M&Aシニアエキスパート』認定制度を創設し、会計事務所や金融機関などに所属する多くの方に受験をいただいております。

活動内容の詳細や加盟申込については、日本M&A協会サイトをご覧ください。

著者

藤井 孝介

藤井ふじい 孝介こうすけ

株式会社湘南フロンティア 取締役

岩手大学農学部卒業後、農林水産省入省。 公共事業の入札や施工管理、補助金の制度設計、広報を担当。 官僚時代は補助金説明会の担当をしていたが、補助金を創る側から使う側へ活動の軸足を移したいと思い、独立。 東京商工会議所や銀行の社内勉強会で補助金セミナーを開催。初見の補助金に強く、過去に採択された補助金は12種類を超える。

この記事に関連するタグ

「事業承継補助金」に関連するコラム

M&A支援機関登録制度とは?メリットや登録要件、流れを解説

M&A全般
M&A支援機関登録制度とは?メリットや登録要件、流れを解説

中小企業のM&Aを支援するM&A仲介会社やFAなどの事業者は近年増え続けています。一方で、すべての事業者が一定水準以上のサービスを提供できるとは言えない状況です。では、何を基準に会社を選べば良いのでしょうか。こうした中小企業経営者の疑問に応え、安心してM&Aに取り組む基盤を構築するために設けられたのがM&A支援機関登録制度です。本記事では、M&A支援登録制度の内容やメリット、仲介会社選びにどのよう

事業承継・引継ぎ補助金とは?中小企業庁が解説!

広報室だより
事業承継・引継ぎ補助金とは?中小企業庁が解説!

本記事では、事業承継・引継ぎ補助金の概要と、本補助金の制度運用を担う、中小企業庁財務課の高橋正樹課長補佐による解説(※)、最新の公募概要をご紹介します。※本記事は2021年6月30日に公開された内容を編集しています。役職等は取材当時の内容です。事業承継・引継ぎ補助金とは事業承継・引継ぎ補助金は、事業承継や事業再編、事業統合を促進し、日本経済の活性化を図ることを目的とした補助金です。具体的には、事業

事業再構築補助金とは?最新情報、ポイントを解説

M&A全般
事業再構築補助金とは?最新情報、ポイントを解説

事業再構築補助金制度は、中小企業の経営革新を促進し、思い切った新たなチャレンジを後押しするために2021年から始まりました。2023年8月10日に第11回の公募がスタートしています。本記事では事業再構築補助金の概要、申請時の注意点などをご紹介します。事業再構築補助金とは?事業再構築補助金は、中小企業等を対象に事業再構築を支援し、ポストコロナ・ウィズコロナの時代の経済社会の変化への対応、日本経済の構

【連載「会計事務所のための補助金解説」⑦】補助金はチームワークでサポートせよ!

事業承継
【連載「会計事務所のための補助金解説」⑦】補助金はチームワークでサポートせよ!

※本記事は、中小企業の経営者から経営、事業承継についてご相談を受ける機会の多い、会計事務所のご担当者に向けた連載記事です。皆さんこんにちは。株式会社湘南フロンティアで補助金サポーターをしております、藤井と申します。会計事務所向けに補助金を分かりやすく解説する活動を行っております。「補助金を使うメリットは分かった。しかし情報を拾う最初の一歩すら腰が重い…」今回はそんな会計事務所の皆様に向け、スムーズ

【連載「会計事務所のための補助金解説」⑥】経営者にとっての補助金のメリット

事業承継
【連載「会計事務所のための補助金解説」⑥】経営者にとっての補助金のメリット

※本記事は、中小企業の経営者から経営、事業承継についてご相談を受ける機会の多い、会計事務所のご担当者に向けた連載記事です。皆さんこんにちは。株式会社湘南フロンティアで補助金サポーターをしております、藤井と申します。会計事務所向けに補助金を分かりやすく解説する活動を行っております。今回は経営者にとっての補助金のメリット、という視点で解説していきます。補助金は経営者を心強く支える施策少し前まで、補助金

【連載「会計事務所のための補助金解説」⑤】顧問先に価値を感じてもらう事業戦略

事業承継
【連載「会計事務所のための補助金解説」⑤】顧問先に価値を感じてもらう事業戦略

※本記事は、中小企業の経営者から経営、事業承継についてご相談を受ける機会の多い、会計事務所のご担当者に向けた連載記事です。皆さんこんにちは。株式会社湘南フロンティアで補助金サポーターをしております、藤井と申します。会計事務所向けに補助金を分かりやすく解説する活動を行っております。これまでの記事を読んで「補助金サポート事業を立ち上げたいが、手間や時間を考えると躊躇ってしまう」という悩みをお持ちの方が

「事業承継補助金」に関連するM&Aニュース

コラム内検索

人気コラム

注目のタグ

最新のM&Aニュース