【連載「会計事務所のための補助金解説」⑥】経営者にとっての補助金のメリット
※本記事は、中小企業の経営者から経営、事業承継についてご相談を受ける機会の多い、会計事務所のご担当者に向けた連載記事です。
皆さんこんにちは。株式会社湘南フロンティアで補助金サポーターをしております、藤井と申します。
会計事務所向けに補助金を分かりやすく解説する活動を行っております。
今回は経営者にとっての補助金のメリット、という視点で解説していきます。
この記事のポイント
- 補助金の活用で、設備投資や広告宣伝費を軽減できる。
- また、先行投資の回収スピードが向上し、特に製造業では数千万円単位の設備投資において大きな恩恵がある。-
- 複数の補助金を同時に申請できるため、事業拡大を目指す経営者は補助の活用で金銭的リスクを抑えられる。
⽬次
補助金は経営者を心強く支える施策
少し前まで、補助金制度は知る人ぞ知る制度でした。しかし、新型コロナウイルスが蔓延した2020年頃から認知も高まり、活用が広がっています。
なぜこれほど補助金が経営者に需要があるのでしょうか。結論から言うと、補助金は経営を強力に支えてくれる施策だからです。
1)費用の一部が補助される
補助金制度とは、新規事業による売上拡大や新たにサービス展開を図るための設備投資や広告宣伝費等に対して支給されます。補助金を使うことでこれらの経費を軽減することができます。
もし補助金の広告宣伝費として100万円を支払った場合、1/2から2/3程度が事業完了後に現金で戻ってきます。
補助金を使わなければ100万円かかる費用が、補助金を利用することで、実際にかかる費用を50万円から33万円に抑えることができます。
補助金の入金タイミングは、補助金の種類や事務手続きの進捗にもよりますが、事業完了後半年以内に振り込まれるケースが多いです。
少し遅いと感じる方もいらっしゃると思いますが、それでも費用の一部が補助されるというのは経営者にとっては非常に魅力的と言えます。
2)先行投資を早く資金回収できる
経営者は会社を大きくするために、設備を先行投資して新規サービスや新商品を作ります。そして、新しいサービスや商品の販路を拡大することで、先行投資にかかった費用を回収ながら、収益を拡大していきます。
補助金は先行投資したお金の一部が現金として戻ってくるため、通常よりも先行投資を回収するスピードを上げることができます。
中小企業が設備に先行投資する場合、資金回収期間を5年から10年と見込む場合が多いのですが、補助金を使うことで、その期間をさらに短縮できます。
特に設備投資を積極的に行う製造業では設備投資金額も数千万円単位になることも珍しくありません。
銀行から資金調達して設備投資する会社も多いため、設備投資後にその1/2〜2/3程度が補助金として戻ってくるのは、特に恩恵が大きいでしょう。
3)同時に複数の補助金を申請できる
あまり知られていませんが、複数の補助金を同時に申請することができます。
例えば、事業再構築補助金とものづくり補助金が募集されていた場合、その両方にチャレンジできます。
もし「コロナ禍で売上が下がったので別事業を立ち上げたい」「製造プロセスを効率化するためにシステム導入したい」というニーズがあれば、前者は事業再構築補助金、後者はものづくり補助金を活用する、ということができます。
事業拡大を進めるために、同時に複数のプロジェクトを進めている経営者ほど、補助金をフル活用している印象があります。この場合、経営者にとって補助金の情報はいくらあっても困りません。
補助金は国から募集されるものもあれば、都道府県や市町村から募集されるものもあります。
これらをフル活用できれば、金銭的リスクを抑えて事業を拡大することができるでしょう。
最後に
ここまでお読みいただきありがとうございました。補助金の情報は経営者にとって、経営に不可欠な施策です。会計事務所の皆さんはぜひ、顧問先に補助金情報を提供していきましょう。
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