中小M&Aを研究する神戸大大学院生が本社を訪問 

広報室だより
更新日:

⽬次

[非表示]

中小M&Aを研究する神戸大学大学院生との交流を深める機会となりました。中小M&A研究教育センター(神戸大学大学院経営学研究科内)による「第1回中小M&A研究教育センター助成」の論文部門において「2022年度MAREC論文賞金賞」を受賞した学生3名が2023年3月8日、日本M&Aセンター東京本社を訪問しました。会社見学と質疑応答を通して日本M&Aセンターホールディングスの取り組みや中小企業のM&Aについて見識を高めました。

日本M&Aセンター東京本社受付

日本M&Aセンターは2022年9月、神戸大学大学院経営学研究科と、中小企業のM&Aに関する研究と教育を促進する目的で、産学連携協定を締結しました。その一環である第1回中小M&A研究教育センター助成論文部門では、神戸大学学部生・大学院生(博士課程前期課程)を対象に「中小企業の存続と持続的成長」をテーマとした論文を募集。2023年1月に金賞2組が決定し、3月8日に金賞受賞者の神戸大学大学院博士課程の菊池百々帆さん、忽那佳奈さん、時瀛さんが日本M&Aセンター東京本社を見学しました。

中小企業の課題と解決方法を独自分析

金賞受賞者の時瀛さんは「社会情緒的資産のコンフリクトとM&A―兵庫県建設企業と熊本県調剤薬局の事例―」との論文を執筆しました。ファミリー企業は、金銭的な利益だけでなく、ファミリー企業の繁栄といった非財務的な価値「社会情緒的資産」を重視する傾向があることから、当社の成約事例をもとに、ファミリー企業の行動において社会情緒的資産の葛藤や衝突があるとき、M&Aにどのような影響を及ぼすのか考察しました。

「中小企業におけるつなぎ手としてのコーポレートアントレプレナー」との論文を執筆して金賞を受賞した菊池百々帆さんと共著の忽那佳奈さんは、個人が既存の組織と連携し新しい組織を作り上げ、組織内の刷新やイノベーションを誘発させるコーポレートアントレプレナー(組織内の起業家)の重要性に着目。中小企業の持続的成長に貢献したコーポレートアントレプレナーについて研究しました。

初めてのオフィスではM&Aを肌で感じていただくきっかけに

日本M&Aセンター東京本社の視察では、各部署の特徴について説明を受け、M&Aコンサルタントの仕事内容を学びました。「2021年M&Aフィナンシャルアドバイザリー業務の最多取り扱い企業」として認定されたギネス世界記録™の証明書や、TOKYO PRO Marketの上場支援を担う法人資格であるJ-Adviserの木槌に興味津々。3名は日本M&Aセンターが譲渡オーナーの経営者人生や経営哲学をまとめている冊子「THE WAY」に関心を寄せ、M&Aを経験した譲渡オーナーはどのような想いを持っているのか質問しました。

M&Aコンサルタントに直球質問 中小M&Aの理解を深める

研究対象となったM&Aを手掛けた人材戦略部部長の中村健太が、学生たちの質問に答えました。中小M&Aで重要となるマッチングについて、「マッチングのポイントや意識している点は?」との質問に対して「中小企業同士のM&Aは足りないところを補い合うからおもしろい。取り扱う商材とマーケットが、重なり過ぎず遠すぎない周辺領域でマッチングするとシナジーが出やすい」と回答し、中小M&Aにおけるマッチングの醍醐味を紹介しました。他にも海外M&Aの難しさや、第三者に引き継いでもらう際の注意点について質問が相次ぎました。

参加した学生らは「本で読みM&Aについて知っていましたが、実際働いている人の様子を見たりM&Aを手掛けた方のお話を聞けたりしました。M&Aをよりリアルに感じることができました」と振り返り、別の学生からは「勉強の機会をありがとうございます。会社の仕組みや構造について知るきっかけになりました」との感想が寄せられました。

日本の企業数の99.7%、従業員数の7割を占める中小企業は、日本経済において重要な役割を果たしています。一方、中小企業の後継者不在問題の解消や生産性向上に寄与する中小M&Aの学術的な研究は必ずしも進んでいるとは言えません。中小M&A研究教育センターのパーパスである「M&Aによる中小企業・小規模事業者の事業の集約化とイノベーションによる生産性の向上に資する基礎研究と新たな学術分野の開拓に貢献する」に向けて、これからも連携を強めてまいります。

本産学連携協定の詳細はこちら

第1回中小M&A研究教育センター助成【論文部門】の受賞のお知らせはこちら

関連記事:日本経済新聞「神戸大学大学院、中小企業のM&Aを実証研究」はこちら

著者

M&A マガジン編集部

M&A マガジン編集部

日本M&Aセンター

M&Aマガジンは「M&A・事業承継に関する情報を、正しく・わかりやすく発信するメディア」です。中堅・中小企業経営者の課題に寄り添い、価値あるコンテンツをお届けしていきます。

この記事に関連するタグ

「M&A」に関連するコラム

会社売却とは?メリットや注意点、流れを解説

M&A全般
会社売却とは?メリットや注意点、流れを解説

会社売却とは?会社売却とは、会社の事業や資産を第三者に売却し、対価を受け取るプロセスを指します。近年は、企業規模に関わらず、中小企業の会社売却の件数も増加傾向にあります。中小企業において、会社売却が検討される具体的な場面としては「後継者が身近にいないため、外部に引き継ぎ手を求めるケース」「自社単独での成長に限界を感じ他社と手を組むケース」が考えられます。この記事のポイント中小企業における会社売却で

【広報誌「MAVITA」Vol.4より】 私たちにおまかせ!拠点紹介 ――日本M&Aセンター 九州支店

広報室だより
【広報誌「MAVITA」Vol.4より】 私たちにおまかせ!拠点紹介 ――日本M&Aセンター 九州支店

博多駅の真向かいという好立地ビルを拠点に、約30人のメンバーが九州各地に繰り出す活気あふれる九州支店。九州出身者や、当地に移住を決めたメンバーも多く、地域に根ざした営業活動を展開しています。2023年度の成約件数が前年度の2倍になるなど、勢いに乗る九州支店を取材しました。(日本M&Aセンターが発刊する広報誌「MAVITA」Vol.4より転載)九州支店の情報はこちら[mokuji]支店長が語る九州地

【広報誌「MAVITA」Vol.4より】 心に残る成約式 vol.2

広報室だより
【広報誌「MAVITA」Vol.4より】 心に残る成約式 vol.2

<譲渡企業>株式会社きちみ製麺代表取締役吉見光宣さん<譲受け企業>八戸東和薬品株式会社代表取締役髙橋巧さん(役職はM&A実行当時)最終契約書が交わされるその日、日本M&Aセンターでは「M&A成約式」というセレモニーを執り行います。譲渡企業にとっては経営者人生の締めくくりです。譲受け企業にとってはM&Aを成功させる覚悟ができます。一つとして同じものがない「心に残る成約式」をご紹介します。(日本M&A

中小企業がM&Aを行う背景や目的とは?手法や成功のポイントをわかりやすく解説

M&A全般
中小企業がM&Aを行う背景や目的とは?手法や成功のポイントをわかりやすく解説

急速に高齢化が進み、2025年問題が目前に迫る中、中小企業によるM&Aの件数は増加傾向にあります。本記事では、中小企業のM&Aの現状とその目的、用いられる手法、中小企業のM&Aを成功に導くポイントについて紹介します。[mokuji]M&A・事業承継のお問合せはこちら日本M&Aセンターは1991年の創業以来、数多くのM&A・事業承継をご支援しています。中小企業のM&Aに精通した専任チ

【広報誌「MAVITA」Vol.4より】 スポーツビジネスとM&A  Bリーグ初制覇を果たした広島ドラゴンフライズ

広報室だより
【広報誌「MAVITA」Vol.4より】 スポーツビジネスとM&A  Bリーグ初制覇を果たした広島ドラゴンフライズ

日本プロバスケ界の歴史に残るシンデレラストーリーに——。クラブ創設10年目で、バスケットボールBリーグで初優勝を飾った広島ドラゴンフライズは、シーズン王者を決めるチャンピオンシップ(CS)で順位が上回るクラブを次々と撃破し、見事〝下剋上″を成し遂げました。2018年に日本M&Aセンターによる仲介でM&Aを実行、NOVAホールディングスを親会社に迎え、安定したクラブ経営の実現とチームの急成長の先に手

【広報誌「MAVITA」Vol.4より】 地方発 世界に誇るブランド企業 Vol.2 小田陶器株式会社

広報室だより
【広報誌「MAVITA」Vol.4より】 地方発 世界に誇るブランド企業 Vol.2 小田陶器株式会社

陶磁器の生産で日本一を誇る「美濃焼」。美濃焼の窯元として100年以上の歴史をもつ小田陶器(岐阜県瑞浪市)が2024年、世界を見据えての新たな一歩を踏み出しました。(日本M&Aセンターが発刊する広報誌「MAVITA」Vol.4より転載)伝統と革新が織りなす美濃焼の至宝古来より生産が行われ、現在、国内食器生産におけるシェアが5~6割とも言われる美濃焼。生産地である岐阜県・東濃エリアには、数百もの窯元が

「M&A」に関連する学ぶコンテンツ

「M&A」に関連するM&Aニュース

ウエルシアホールディングス、子会社の現物配当により孫会社が異動へ

ウエルシアホールディングス株式会社(3141)の完全子会社であるウエルシア薬局株式会社(東京都千代田区)は、保有するウエルシア介護サービス株式会社(茨城県つくば市)の発行済全株式を、ウエルシアホールディングスへ現物配当することを決定した。これにより、ウエルシア介護サービスの発行済全株式を取得することとなり、同社はウエルシアホールディングスの完全子会社となる。ウエルシアホールディングスは、調剤併設型

日本エコシステム、テッククリエイトの全株式取得へ

日本エコシステム株式会社(9249)は、株式会社テッククリエイト(石川県金沢市)の全株式を取得し、グループ化することに関し、株主との間で株式譲渡契約を締結することを決定した。日本エコシステムは、環境、公共サービス、交通インフラに関する事業を行う。テッククリエイトは、北陸三県の鉄道線路・施設の保守点検、石川県内の工場・商業施設・公共施設などの給排水衛生設備、空調設備工事等を行う。テッククリエイトのグ

ニッスイのグループ会社、ニュージーランドの漁業会社IFL社を買収へ

株式会社ニッスイ(1332)のグループ企業であるSealordGroupLtd.(ニュージーランドネルソン市、以下シーロード社)は、インディペンデント・フィッシャリーズ(ニュージーランドクライストチャーチ市、以下IFL社)との間で、同社の買収契約を締結した。今後、同国の通商委員会および海外投資局の許可・承認を得ることなどを条件として、買収が成立する見通し。シーロード社は、ニッスイのグループ企業で、

コラム内検索

人気コラム

注目のタグ

最新のM&Aニュース