企業生存率とは?企業の存続に立ちふさがる壁や、生存率を高める方法を解説

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会社を存続させていくためには、様々な壁を乗り越える必要があります。本記事では、企業生存率の定義と実態、会社が存続の危機に立たされる主な理由、会社の生存率を高める方法について詳しく解説します。

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企業生存率とは

企業生存率とは、起業・開業した会社が廃業・倒産をせず経営を継続・維持できる割合を指します。
中小企業白書(2017年)によると、起業後の企業生存率は、起業から1年で95.3%、2年で91.5%、3年で88.1%、4年で84.8%、5年で81.7%とされています。

東京商工リサーチが公表しているデータ(2020年の休廃業・解散動向調査)によると、2020年(1~12月)の廃業(休廃業・解散)は、4万9,698件(前年比14.6%増加)となりました。
これまでで最多だった2018年(4万6,724件)を抜いて、2000年に調査を開始してから最多件数を記録したのです。

起業して会社を維持していくことは簡単なことではありません。業績の安定を目指し戦略を立てたとしても、新型コロナウイルスの感染拡大のように、想定外の事象によって業績が悪化してしまう可能性もあります。

日本における企業生存率

企業生存率の実態について、企業生存率の推移を確認しておきましょう。

起業後の企業生存率(%)の国際比較(創業時を100%とした場合の企業生存率)

1年後 2年後 3年後 4年後 5年後
日本 95.3 % 91.5 % 88.1 % 84.8 % 81.7 %
アメリカ 91.8 % 75.1 % 59.6 % 53.8 % 48.9 %
イギリス 83.6 % 65.9 % 59.5 % 49.8 % 44.5 %
ドイツ 78.0 % 67.1 % 56.2 % 48.8 % 42.3 %
フランス 76.9 % 62.2 % 52.3 % 45.4 % 40.2 %

中小企業白書2017 (P109)より当社にて表作成
【データ出所元】日本:帝国データバンク「COSMOS2(企業概要ファイル)」、アメリカ・ドイツ・フランス:「Eurostat」、イギリス:「Office for National Statistics」

各国データの出典が異なる上に、日本の場合はデータベースへの反映までに一定の時間がかかります。
そのため、実際の生存率よりも高めに算出されている可能性があるものの、上表からは日本は欧米各国と比べると企業生存率は高い傾向にあると言えます。

しかし昨今は、新型コロナウイルス感染拡大の影響によって、業績が著しく悪化した会社も多く、企業生存率は低下傾向にあると考えられます。

企業の存続に立ちふさがる壁


会社が存続の危機に立たされる理由として、主に以下の理由が挙げられます。

① 後継者問題

我が国の急激な少子高齢化は、後継者不在問題の要因となっています。
経済産業省によると、70歳以上の経営者が245万人、その半数の127万社において後継者が決まっておらず、今後10年間で60万社が黒字廃業の危機にあるとされています。

後継者がいない状態では、やむなく廃業を選択する経営者も少なくありません。多くの中小企業が、後継者不在によって事業存続の危機を迎えています。

②業績の悪化

当然ながら、業績悪化も存続の危機の大きな理由に挙げられます。昨今は、新型コロナウイルスのような感染症の拡大、度重なる台風や地震などの自然災害、急激な円安・円高といった為替変動など、大きな外的要因が業績悪化につながっているケースが多く見られます。

これらの影響を大きく受けた会社の中には、公的な支援策を受けて存続しているケースもあります。しかし、業績悪化が長期化すればするほど損失が累積するため、さらなる苦境に立たされることになります。

③ 資金繰りの悪化

資金繰りの悪化によって、事業の継続が困難になる場合があります。資金繰り悪化の主な原因は、赤字経営が続いている、売掛金の回収が遅い、借入金の返済額が多い、在庫が過剰である、といったものが大半を占めます。

しかし、急激に売上が伸びている(仕入れ代金の支払いが急に増加している)場合もあります。資金繰りが悪化している原因を明確にして対策を実行することが重要です。

④ 人手不足

少子高齢化は後継者不在だけでなく、労働力不足ももたらしています。我が国においては、生産年齢人口が減り続けています。生産年齢人口とは、生産活動において主な労働力となる年齢(15~64歳)の人口を意味し、1990年代にピークを迎えてからは減少を続けています。

後継者不在は中小企業でよく見受けられる経営課題ですが、人手不足は大企業においても大きな経営課題になっています。たとえば、DXの推進によってデジタルに精通した人材が求められていますが、こうした人材は需要が高く、欲しい人材を必ず確保できるわけではありません。

人手不足により事業に必要な人材を確保できず、会社の存続が難しくなってしまう場合も考えられます。

⑤ 社会的信用の失墜

会社が、社会的信用を失墜させてしまう場合も、会社の存続が難しくなります。例として、脱税や贈賄などの犯罪に関与してしまうケースなどが挙げられます。

社会的信用を失ってしまうと顧客や取引先が一斉に離れてしまい、事業の遂行に支障をきたします。一度失った信用を取り戻すには、大変な努力が求められます。

⑥ 経営者の能力不足

経営者の能力不足で事業の継続が難しくなってしまう場合もあります。たとえば、2代目経営者は先代との違いを従業員や取引先に知ってもらうために、先代の経営方針とは異なる、自分なりの経営方針に沿って事業を進めようとするケースがあります。

先代の経営方針の正しかったものはしっかりと引き継ぐ、直したほうが良い部分は修正する、といった経営方法が望ましいのですが、うまくいっていたものまで無理矢理に方針を変えると業績が悪化してしまう可能性があります。

こうした経営者の判断・能力不足によって、会社の存続が危うくなるケースがあります。

⑦ 地震・台風などの自然災害による事業への影響

自然災害の影響によって事業を継続することが難しくなる場合があります。日本は昔から地震や台風など自然災害がとても多い国です。特にここ最近は地球温暖化の影響もあり、異常気象による被害が拡大しています。

たとえば、台風や集中豪雨による洪水の影響で工場の機械設備が被災すれば、しばらくは操業できなってしまう可能性が高いです。機械設備を修理したり買い替えたりする資金がなければ、工場を再開することはできません。

こうした状況から、事業の継続を断念してしまうケースも考えられます。

会社の生存率を高める方法


会社の生存率を高める方法を、紹介していきます。

①資金を十分に確保してから起業する

会社が存続できない理由の多くは、資金不足です。したがって潤沢な資金を確保してから会社を立ち上げることが重要です。起業資金が十分であれば、企業生存率が高まります。

起業したいと考えているゾーンには、20~30代のサラリーマンが多く含まれます。この年代のサラリーマンだとまだ、十分な開業資金を準備できないこともあるでしょう。
しかし気持ちが先行して、資金を十分に確保する前に起業してしまうケースがあります。このようなケースは本来は避けるべきです。

なぜなら、不足時にいつでも必ず資金調達ができるとは限らないからです。
公的制度なども活用して、十分な資金をきちんと確保してから起業することが、企業生存率を高める秘訣だと言えます。

②早い段階から後継者への事業承継を進める

後継者不在による廃業を避けるため、自身の年齢に応じ、早い段階から後継者への事業承継を進める必要があります。後継者の指名だけでなく、後継者への教育、経営に必要な事項の引き継ぎ、取引先への紹介など、事業承継にはさまざまな準備が必要になります。

自分の引退のタイミングを計画しておき、そのタイミングから逆算し、早い時期から着手しておくことがスムーズな事業承継には必要です。また事業承継にM&Aの手法を活用する場合には、専門家の協力も必要なため、早いタイミングで相談をしていくことも、余裕のある事業承継を実現するためには必要です。

日本M&Aセンターは1991年の創業以来、数多くのM&A・事業承継をご支援しています。中小企業のM&Aに精通した専任チームが、お客様のM&A成約まで伴走します。 詳しくはコンサルタントまでお問合せください。

③社会貢献度・ニーズの高い事業を展開する

自社の生存率を高めるためには、社会貢献度・ニーズの高い事業を展開することが求められます。
社会にとって必要な事業を展開している会社であれば、必然的に取引先や顧客が増え、企業生存率を高められます。

ただし、ニーズの移り変わりは常に起こりうるため、今何が求められているのか、といった情報のキャッチや、会社を成長させていくための努力はもちろん続けていく必要があります。

④イノベーションを促進する

イノベーションを促進している会社は、事業を存続できる可能性が高いです。技術革新に取り組んで新しい付加価値を事業に生み出している会社は、将来的に成長する期待値も高く、足元の業績が今一つでも将来性を見込める会社と言えます。

このような会社に対して、投資家は積極的に出資をします。投資家から経営を干渉されてしまう可能性はあるものの、出資で得た資金は基本的に返済する必要がないため、研究開発に専念できます。

⑤コスト削減をする

コスト削減によって、自社の生存率を高めることが可能です。無駄なコストを削減すれば、資金繰りに余裕が生じ、業績もアップします。コスト意識を明確に保有している会社は、資金をいかに効率的に利用するべきなのかという点を意識しています。

コスト削減を通じて資金繰りや業績を改善しているような会社であれば、事業を存続できる可能性は高いと言えるでしょう。

⑥売掛金や遊休資産を現金化する

会社の存続が危うくなった場合には、売掛金(売掛債権)や遊休資産を売却・現金化して対応する選択肢があります。

売掛金(売掛債権)の売却はファクタリングと呼ばれています。ファクタリングには、審査があることや、一定の手数料が差し引かれることがある点には留意しましょう。

また、遊休資産は保有しているだけで税金などのコストが発生する場合もあるため、売却して現金化すれば資金繰りにもプラスの影響を期待することができます。

売掛金や遊休資産を売却・現金化する場合には、売却・現金化によって発生するメリットとデメリットを慎重に検討することが必要です。

⑦M&Aを活用する

自社の生存率を高めるためには、M&Aの活用も有効な方法です。
たとえば、後継者不在が原因になっている場合には、会社・事業を引き継いでくれる相手先を見つけることで、事業の存続が可能になります。

また、業績が悪化している場合には、M&Aでパートナーとなった売却先の会社の経営資源を活用することで、シナジー効果を創出し、業績が改善する可能性があります。

事業が継続できない原因を踏まえ、適切にM&Aを活用することで、生存率を上げられるでしょう。

終わりに

企業生存率とは、起業した会社が生き残っている割合です。日本の場合は10年後の企業生存率は70%とされています。
新型コロナウイルスの感染拡大の影響で低下したものの、欧米先進国の中では高い水準を維持しています。

会社が生存できなくなる理由は、業績の悪化、資金繰りの悪化、後継者不在などがあります。
M&Aを活用することで企業生存率を高める選択肢もあります。

廃業を決断する前に、会社を存続させる方法について話を聞いてみませんか? 様々な事業承継をご支援してきたコンサルタントがご相談を承ります。ご相談は無料、秘密厳守で対応します。

著者

M&A マガジン編集部

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日本M&Aセンター

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