事業拡大とは?方法やメリット・デメリット、企業事例をわかりやすく解説

経営・ビジネス
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市場環境の変化に柔軟に対応し、事業拡大を計画・実行に移すことが、これからの企業経営に求められています。
本記事では、事業拡大の方法やメリットやデメリット、成功するためのポイントを紹介します。

事業拡大とは?

事業拡大は、企業が市場や業界で成長するために行う戦略の一つです。これは、売上や利益を増やすために、新たな市場や顧客層に進出したり、既存の製品やサービスを拡大したりすることを意味します。

事業拡大の方法は様々で、例えば新しい地域や国に進出することや、新しい製品やサービスを開発することがあります。また、既存の顧客に対して追加の価値を提供するために、付加価値サービスやアフターサービスを拡充することもあります。

事業拡大にはリスクも伴います。新たな市場や顧客層に進出する際には、競合他社や現地の規制などの障壁が存在する可能性があります。また、新しい製品やサービスを開発する際には、開発費や市場受け入れの不確実性があります。

しかし、成功すれば事業拡大は企業に多くの利益をもたらすことがあります。新たな市場や顧客層に進出することで売上を増やし、競争力を高めることができます。また、新しい製品やサービスを提供することで、顧客のニーズに合ったソリューションを提供し、市場シェアを拡大することも可能です。

事業拡大の成功には、市場調査や競合分析、リソースの適切な配分、戦略的なパートナーシップなどが重要です。また、経営陣のビジョンやリーダーシップも成功の鍵となります。

この記事のポイント

  • 事業拡大は、企業が新たな市場や顧客層に進出し、売上や利益を増やす戦略であり、既存事業の拡大や新規事業への進出が含まれる。
  • 成功すれば新たな収益源の創出や競争力の向上が期待できるが、多額の先行投資や管理の複雑化などリスクも伴う。
  • 事業拡大には市場調査やリソース配分、効果的なマーケティング戦略が重要で、柔軟な組織運営が成功の鍵となる。

⽬次

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事業拡大の方法① 既存事業の拡大


事業拡大の方法として大きく「既存事業の拡大」「新規事業への進出」の2つが挙げられます。

まず「既存事業の拡大」から見ていきましょう。
既存事業の拡大は、既に行っている事業をさらに成長させるための戦略です。これは、既存の市場や顧客層での売上やシェアを増やすことを目指します。

具体的な方法としては、以下のようなものがあります:

【既存事業で新たな地域や国に進出する】 既存の製品やサービスを新たな地域や国に展開することで、新たな顧客層を獲得する。

【新たな販売チャネルの開拓】 オンライン販売や小売店舗など、新たな販売チャネルを開拓することで、既存の顧客にアクセスしやすくする。

【顧客満足度の向上】 顧客のニーズを理解し、製品やサービスの品質や提供方法を改善することで、既存の顧客を維持し、リピート購買を促進する。

【マーケティング活動の強化】 広告やプロモーションなどを通じて、既存の顧客に対して積極的にアプローチし、ブランド認知度や購買意欲を高める。

既存事業を拡大させる場合、これまで社内で積み上げてきた技術・ノウハウなどのリソースを活かせるため、新たな市場への参入に比べると実現可能性のハードルは低くなると考えられます。

ただし、単に生産設備や営業拠点を増やすだけでは、既存事業が拡大できるわけではありません。
既存事業の拡大には、新たな技術・ノウハウの獲得が必要です。

そのため、既存事業の拡大を目指す企業がM&Aを活用するケースが多く見受けられます。M&Aを活用して、自社に無い技術・人材など経営資源を獲得することで、事業拡大の足掛かりにします。同じ業界の競合他社をグループ内に迎え入れることで、市場シェアを短期間で拡大させることも十分に可能です。

事業拡大の方法②新規事業への進出

新規事業への進出は、既存の事業とは異なる新たな市場や顧客層に参入することを目指す戦略です。これにより、新たな収益源を確保し、企業の成長を促進します。

具体的な方法としては、以下のようなものがあります:

【新製品やサービスの開発】 既存の事業とは異なる新たな製品やサービスを開発し、新たな市場や顧客層に提供する。

【新規地域や国への進出】 既存の事業とは異なる地域や国に進出し、新たな市場や顧客層を開拓する。

【パートナーシップや提携の形成】 他の企業と提携し、新たな事業を共同で展開することで、リソースやノウハウを共有し、成功の可能性を高める。

ただし、新規事業への進出は既存事業の拡大に比べ、リスクも大きくなります。社内に蓄積された既存事業に用いる技術は、そのまま新規事業に引き継ぐことはできません。また、まとまった設備投資が必要になる一方、参入に失敗した場合に回収できなくなるリスクも考慮しておかなければなりません。

こうした厳しい条件の中、新規事業への進出を目指す場合、対象市場で既にシェアを保有している企業をM&Aにより自社グループに迎え入れるケースが多くあります。未経験の市場にゼロから参入することに比べて、短期間でノウハウや市場シェアを獲得することが期待できます。

事業拡大を行うメリット


事業拡大を行う主なメリットとして、以下の3つが挙げられます。

新たな収益源を創出できる

事業拡大によって、新たな市場・エリアへの進出、商材の拡充や改良を実現することで、新たな顧客層を獲得し、新しい売上を生み出すことが期待できます。

新たな収益源が生まれれば企業の成長性や安定性が高まるため、資金調達の面でも有利に進めやすくなる効果が望めます。

リスク分散ができる

事業拡大によって収益の柱を増やすことができれば、一つの事業に依存する企業経営のリスクを分散させ、経営を安定させる効果が望めます。

収益源を多様化させることで、社会や市場の変化に対応しやすくなるとも言えます。

企業競争力の向上につながる

異なる市場で新たな収益の柱ができれば、他の分野への相乗効果を創出し、企業の成長スピードを速める効果も十分に期待できるでしょう。

また、多種多様な顧客ニーズに対応できるようになることで、顧客満足度が高まり、競合他社との差別化や自社のブランド力の向上にもつながるでしょう。

事業拡大を行うデメリット

事業拡大には様々なメリットがある反面、以下に挙げるデメリットにも注意が必要です。

多額の先行投資が必要となる

事業を拡大させるために、新たな人材や商材の研究・開発など、事業開始前に先行投資が必要になります。

事業拡大でリターンを生み出し、先行投資を回収できるようになるまで一定の期間と費用を要することを考慮し、会社の資金繰り状況を含め、綿密な計画とリスク管理が求められます。

ランニングコストが増大する

例えば新規事業への進出には、専門知識と経験を持つ人材や設備導入が必要です。そのため設備導入費用や人材費、固定費などランニングコストが増加することが見込まれます。

また、新しい市場での認知度を向上させて新たな顧客を獲得するためには、積極的なマーケティングと広告宣伝活動が不可欠です。こうしたさまざまな費用は、企業のランニングコストを増大させる要因となります。

マネジメントが行き届かなくなる可能性がある

事業拡大によって企業の規模が拡大、人員が増えることで、組織全体の運営が複雑化し、情報の伝達や意思決定が円滑に進まなく可能性も考えられます。

さらに、新たな部門やチームが設立されると、組織全体の一体感が低下し、組織としての統一性が低下する可能性もあります。こうした問題に対処できるように、組織・マネジメントの対応策を考慮しておく必要があります。

事業拡大を進める流れ


一般的な事業拡大の戦略策定、実行の流れについて概要をご紹介します。

目標設定と戦略の策定

事業拡大の目標を明確にし、それに向けた戦略を策定します。目標は具体的で測定可能なものであるべきです。戦略は、既存事業の拡大か新規事業への進出かを選択し、具体的な手法やアプローチを決定します。

市場調査と競合分析

事業拡大を検討する市場や顧客層についての調査を行います。市場の規模や成長率、顧客のニーズや傾向を把握し、競合他社の存在や市場の競争状況を分析します。これにより、事業拡大の機会やリスクを評価することができます。

ビジネスプランの作成

事業拡大のための具体的なビジネスプランを作成します。ビジネスプランには、目標や戦略、財務計画、マーケティング戦略、リソースの配分などが含まれます。ビジネスプランは、投資家や関係者に対して説明するための資料としても活用されます。

リソースの確保

事業拡大に必要なリソースを確保します。これには資金、人材、技術、物流などが含まれます。必要なリソースを特定し、必要な場合は投資や提携、採用などを行います。

実行とモニタリング

ビジネスプランに基づいて実行を開始します。マーケティング活動や製品開発、販売拡大など、具体的な行動を進めます。同時に、進捗状況をモニタリングし、目標に対する進展や課題を把握します。必要に応じて調整や改善を行います。

評価と改善

事業拡大の成果を評価し、必要な改善策を導入します。売上や利益、市場シェアなどの指標を分析し、目標に対する達成度を評価します。課題や失敗から学び、次のステップに向けた改善策を立てます。

以上が一般的な事業拡大の手順ですが、企業や状況によって異なる場合もあります。事業拡大は継続的なプロセスであり、柔軟に対応することが重要です。

事業拡大を成功に導くポイント


事業拡大を検討する上で、意識しておきたいポイントは、以下の通りです。

マーケットの選択

事業拡大を検討する際には、市場の選択が重要です。成長が見込まれる市場や需要の高い市場を選ぶことが重要です。市場の規模や成長率、競合状況などを評価し、事業拡大の機会を最大化する市場を選びましょう。

ニーズの理解

拡大する市場や顧客のニーズを理解することが重要です。顧客の要求や傾向を把握し、それに合わせた製品やサービスを提供することで、競争力を高めることができます。

リソースの適切な配分

事業拡大には適切なリソースの配分が必要です。資金、人材、技術、物流などのリソースを適切に配置し、事業拡大を支援することが重要です。リソースの不足や不適切な配分は、事業拡大の成功を阻む要因となります。

マーケティング戦略の策定

事業拡大には効果的なマーケティング戦略が必要です。ターゲット市場や顧客に合わせたマーケティング活動を計画し、ブランド認知度を高め、顧客の購買意欲を喚起することが重要です。

リスクの管理

事業拡大にはリスクが伴います。競合他社、市場の変動、規制の変更などのリスクに対して適切な対策を講じることが重要です。リスクを予測し、適切なリスク管理策を導入することで、事業拡大の成功率を高めることができます。

組織の柔軟性

事業拡大には組織の柔軟性が求められます。変化に対応し、迅速な意思決定や適切なリソースの配置を行うことが重要です。組織文化やプロセスの改善、チームの能力開発などを通じて、柔軟性を向上させましょう。

モニタリングと評価

事業拡大の進捗状況を定期的にモニタリングし、評価することが重要です。目標達成度や成果を評価し、必要な調整や改善策を導入することで、事業拡大の成功を確保することができます。

これらのポイントを考慮しながら、戦略的なアプローチを取ることで、事業拡大を成功させることができます。

事業拡大を行った企業事例


最後に、事業拡大を行い成功した企業事例を2例紹介します。

富士フィルムの事例

富士フィルムは、フィルム事業を中核として発展してきた企業です。しかし、カラーフィルムの需要が世界的に減少していったため、事業構造の転換を図ります。

それが、既存技術の転用による化粧品事業への進出です。写真フィルムの主原料はコラーゲンですが、これは人間の皮膚にとっても大切なもので、肌の弾力を維持するためには欠かせません。

また、写真フィルムを製造する過程で、さまざまな素材を乳化分散していますが、これは化粧品の製造過程で使われている技術と同じです。さらに、フィルムの劣化を防ぐ抗酸化技術はアンチエイジングに転用できそうなことが分かり、本格的に化粧品事業への参入を果たします。

既存技術を応用しながら、積極的なM&A戦略により事業拡大に成功し、従来のデジタルカメラ事業に加え、化粧品事業・医薬品事業・再生医療事業などを擁する多角化経営を行う企業へと変貌を遂げました。

ヤフーの事例

国内初の商用検索サイトとして1996年に「Yahoo! JAPAN」を開始したヤフーは、国内のインターネット利用者の増加とともにさまざまなサービスをリリースし、広告事業を中心とする事業展開を行ってきました。

ネット通販事業を強化して新たな収益の柱とするため、ファッション通販サイト「ZOZOTOWN」を運営するZOZOを、株式公開買い付け(TOB)により連結子会社化します。

ヤフーは既に「Yahoo!ショッピング」などのECサイトを運営していたものの、ユーザーの中心は30~40代であり若年層の取り組みに苦労していました。新たなECサイト「PayPayモール」を展開するにあたり、若年ユーザーが中心のZOZOTOWNをPayPayモールに出店させ、若年層の獲得を強化するのが狙いでした。

その後、子会社となったZOZOはPayPayモール(現Yahoo!ショッピング)を牽引する立役者となります。そしてZOZOの2023年3月の決算では、商品取扱高・営業利益ともに過去最高実績を更新するに至りました。

終わりに

今後ますます市場環境や顧客ニーズの変化が見込まれる中、既存の事業だけでは、いつか立ち行かなくなることが予測されます。こうした事態に対応するためには、企業の成長サイクルに事業拡大を組み込む必要があります。

「既存事業の拡大」と「新規事業への参入」、いずれかを選択するとしても、新たなリソースが必要になります。しかし、新たなビジネス展開に必要な技術やノウハウ、人材などのリソースがすべて自社内だけで調達できる企業は決して多くありません。こうした問題を解決し、最短距離で事業拡大を図る手段として、M&Aを選択肢に挙げることができます。

日本M&Aセンターでは、M&Aをはじめ様々な経営課題の解決に向けて専門チームを組成し、ご支援を行っています。詳しくはコンサルタントまでお問合せください。

著者

M&A マガジン編集部

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日本M&Aセンター

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