【開催レポート】宮古島で日本M&A協会「成約事務所カンファレンス」
⽬次
- 1. 全国58事務所から総勢100名以上が参加したカンファレンス
- 2. ブレイク事例から学ぶ!失敗しないM&Aのポイント
- 3. DXを活用した事務所経営
- 3-1. 著者
日本M&Aセンターと全国の会計事務所で構成される日本M&A協会は2023年10月27日から29日に、「宮古島オータムツアー2023」を沖縄県の宮古島で開催しました。2022年に日本M&Aセンターにおいて顧問先をM&A成約に導いた全国の58事務所から計79人が参加。オータムツアーは成約事務所カンファレンスや懇親会、大自然を満喫する観光ツアーやゴルフコンペなど充実したプログラムが準備され、参加者はリゾート気分で交流を深めました。
全国58事務所から総勢100名以上が参加したカンファレンス
10月28日にヒルトン沖縄宮古島リゾートで開催した成約事務所カンファレンスでは、ペーパーレスでフルリモートを実現した税理士事務所のDX戦略と、M&Aにおけるトラブル事例への対処法をテーマにした講演が開かれました。開会挨拶を務めた日本M&Aセンターコンサルタント戦略営業部の上夷聡史部長は「日本M&Aセンターはパーパスの『最高のM&Aをより身近に』を目指してM&Aを支援しているが、M&A支援機関が3,000件を超えてトラブルも増えている」と足元を説明しました。M&Aのフロントランナーとして日本経済を支える中堅・中小企業の存続と発展に貢献していくためにも、「会計事務所の理事会員の皆さまと一緒だからこそ、我々は最高のM&Aをお届けすることができる」と日本M&A協会の存在意義を語り、カンファレンスの幕が上がりました。
ブレイク事例から学ぶ!失敗しないM&Aのポイント
「ブレイク事例から学ぶ!失敗しないM&Aのポイント」と題した講演では、公認会計士としてM&Aディールを専門性で支える日本M&Aセンター品質本部の山崎祐慶氏が解説しました。山崎氏は会計士として1,000件以上のM&A成約事例を実務面で伴走してきた経験の裏で、上手くいかなかった事例も数多く見てきました。M&A交渉途中で破談となってしまうポイントを、買い手側と売り手側に分けて説明し、関係者に手続き論だけではなくオーナー経営者の心情面に想像力を働かせることの大切さを伝えました。
DXを活用した事務所経営
外部講師として登壇したサン共同税理士法人統括代表(東京)の朝倉歩税理士は「DXを活用した事務所経営」をテーマに講演しました。2016年設立のサン共同税理士法人は業務のデジタル化を積極的に進めて、全国10拠点に拡大するなど急成長中の事務所です。一般的に書類による事務業務が連想される税理士業務において、設立2年目からペーパーレスを実現し、徹底的にITツールを活用することでスタッフの半分が在宅ワーカーとして活躍しています。日本中小企業大賞2022の働き方改革最優秀賞にも輝いた注目の事務所経営を披露しました。
大手監査法人出身で独立した朝倉税理士は「税理士業界がIT企業など他の事業会社と同じように憧れられる業界にしたい」と法人設立の意義を語りました。独立後に人材採用で苦労した経験を語り、勤務形態を出社から在宅に切り替えて採用活動を進めたところ、スタッフ確保につながった取り組みを紹介。
「在宅にすることでエリアに縛られず、全国から人が採用できるようになる」
と参加者に効果を呼び掛けました。採用活動においても「X(旧ツイッター)」などSNSを活用することで「我々が採用したい人たちはみんなSNSを使って情報収集している。採用で使わない手はない」と採用活用のイロハを説明しました。
朝会の廃止や服装自由など特色ある事務所経営の裏には、結果重視の経営手法があるといいます。「仕事イコール出社だった考え方はリモートワークを導入することで、仕事イコール結果にすることができる」と朝倉税理士。KPI管理の重要性を語り、コロナ前から取り組む新しい事務所経営のあり方を実践しています。約2時間の講演時間中は質問が相次ぎ、匿名チャットツールを使った質疑応答も“DX”や“デジタル化”を強く感じさせる内容となりました。参加者からペーパーレスに取り組む方法について質問されると、朝倉税理士は
「お客さんにいきなりペーパーレスを求めると迷惑を掛けてしまうこともあるので、まずは社内業務をペーパーレスにすることから始めることをお勧めします」
と導入例を説きました。
参加者同士の交流を兼ねた懇親会は、日本M&A協会の岩永經世理事長の乾杯で始まりました。南国のゆっくりとした音楽が流れる会場で、参加者はリラックスしながら会計事務所同士の横のつながりを深めていました。懇親会のプログラムには表彰式も盛り込まれ、理事会員の新人賞、受託賞、優秀アドバイザー賞、MVP、ディールオブザイヤーが発表されました。各賞のアナウンスのたびに会場が拍手と熱気に包まれ、日本M&Aセンター創業者の分林保弘名誉会長から記念のトロフィーが贈られ、受賞者からは喜びの声と今後の意気込みが語られました。最終日には「東洋一」といわれる宮古島の海を巡る観光ツアーやゴルフコンペもあり、南の島での贅沢な時間を満喫していました。
日本M&A協会では今後、2024年3月にスペイン・マドリードでの国際会議が企画されています。