年商10億円以上の企業経営者200人に聞いた「引継ぎプラン」

小倉 奈々

プロフィール

小倉奈々

日本M&Aセンター 成長戦略推進室

更新日:

⽬次

[表示]

日本を支える中堅企業の経営者に一斉アンケートを実施

国内の全企業の99%を占める「中小企業」。その中でも「中堅」規模の企業は、各地域経済をけん引する、あるいはその高いポテンシャルを秘めた存在です。

日本M&Aセンターは、こうした中堅クラスの企業の経営者ご自身のこれからや、会社の今後についてのお考えをお聞きする、「経営者意識調査」を実施しました。経営や承継に関わる課題や、M&Aの活用等に関しての問いに選択式で回答いただいた本調査の結果をダイジェストでご紹介します。

「経営者意識調査」概要

  • 調査時期:2024年7月
  • 調査方法:郵送による調査票送付
  • 対象:直近年商10億円または利益5000万円以上のいずれかに当てはまる、全国の中小企業経営者および役員
  • 回答数:222社

オーガニック成長に自信

物価高や人材不足などの問題が数多くある状況下にありながら、他社との提携やM&A・IPOなどを活用しない、オーガニックな成長を志向する企業が多いことが分かりました。

事業展開の取りうる選択肢

「今後の成長戦略」について 「他社と組まない方が成長する」と答えた企業は50%を越え 、その理由として「現在の経営で伸びる可能性があるから」が40%ほどという結果になりました。「他社の色をつけたくない」、「親族経営をずっとやってきたから」と考える経営者も多いことが分かります。

また、 「会社を買収し続けた方が成長する」 と答えた企業は23% となり、譲り受けの対象としては同業あるいは近接業種とのM&Aを念頭に置いて考えている経営者が9割以上を占めています。

経営課題トップは「人材」

自社の成長に前向きな回答が大半である一方、「経営課題」が無いわけではもちろんありません。

人材の確保

70%以上が「人材の確保」が課題と回答 。また、30%以上が「教育制度の確立」と答えています。

人材を採用し、育てるという、「人」にまつわる問題が地域・業種を問わず幅広い中小企業の直面する課題 であることを改めて思い知らされます。

引退するのは5年以上先

オーナー経営者であれば、いずれ事業承継や引継ぎについて決断しなくてはなりません。本調査では、引退時期と承継先をどのように考えているか、お聞きしました。

引退時期

ご引退の時期については、 「10年以上あと」が最も多い6割、「5年以上あと」と合わせると9割弱 になりました。
また、自社株の承継先については、約半数が「親族承継」を考えていることが分かりました。

3社に1社は「経営を任せられる人がいない」

さて、親族への承継を何年も先に行うのなら、後継者問題についてお悩みはと無いかというと、必ずしもそうではないようです。

経営を任せられる人がいない

本調査では、なんと 1/3以上の回答者が、「経営を任せられる人がいない」ことが課題と答えました 。現時点では承継の方針を「親族承継」などに決めていても、「経営を任せられる人がいない」と感じている人も一定数いることが分かりました。

また、 引継ぎの際の資金面についての課題 も共通したお悩みです。
「贈与税・相続税が高い」と答えた人は4割、「後継者に株の買い取り資金がない」と答えた人も合わせると半数を超えました。

あなたの会社は、5年後・10年後も「引き継ぎやすい・引継ぎたい」会社ですか?

親族・従業員への承継であれ、M&Aを通じた第三者承継であれ、 「いざ事業承継」となったときに慌てないよう、早めに準備がおすすめです

引継ぎやすい会社かをチェックするときのポイント

・ 会社のガバナンスや財務は健全か
・収入源や取引先がどこかに依存していないか
・株主構成はどうか
・大手の参入などで大きく市場が侵食される兆しは無いか

こうした点を一度点検し、整えておくことで、 事業を引継いだ後も経営がしやすい=「引継ぎやすい」 状態にしておきたいものです。

中小企業の次世代への引継ぎを考えるとき、承継そのものはゴールでありません。

特に、現時点で成長余力がある企業においては、取れる経営の選択肢が多く、長期にわたって会社を大きく伸ばすことも、強くすることもできます。

日本M&Aセンターでは、そうした選択肢の多い成長企業の経営者さまを、 オーナー経営者限定の座談会「社長の選択」 や個別相談などを通じて日々ご支援しています。

経営者として、個人として、まだまだやりたいことがある。そんなオーナー経営者さまをM&A・上場・財産マネジメントのプロがサポートします。

ご相談は無料です。ぜひお気軽にお申しつけください。

プロフィール

小倉 奈々

小倉こくら 奈々なな

日本M&Aセンター 成長戦略推進室

2021年入社。西日本地域の地域金融機関との連携を担当したのち、東京本社にて中堅企業向け成長戦略支援の強化に取り組む。 オーナー経営者限定の対話型カンファレンス「社長の選択」をはじめ、ミッドキャップオーナーに寄り添ったイベントを開催している。

この記事に関連するタグ

「事業承継・成長戦略」に関連するコラム

【広報誌「MAVITA」Vol.3より】M&Aを戦略の中心に置く成長企業の現在地

広報室だより
【広報誌「MAVITA」Vol.3より】M&Aを戦略の中心に置く成長企業の現在地

「世界一のエンタメ企業」をビジョンに掲げ躍進を続けるGENDA。推進力の中心にM&A戦略があります。その狙いとは?日本M&Aセンターが発刊する広報誌「MAVITA」Vol.3で掲載した、M&Aを戦略の柱に躍進を続けるエンターテイメント企業GENDAの申真衣社長と、サーチファンドの仕組みを利用して経営者となり、事業承継後2年目にして売上高を2倍に伸ばしGENDAにグループインしたアレスカンパニーの大

著者インタビュー!『社長の決断から始まる 企業の最高戦略M&A』

広報室だより
著者インタビュー!『社長の決断から始まる 企業の最高戦略M&A』

日本M&Aセンターは、書籍『社長の決断から始まる企業の最高戦略M&A』を東洋経済新報社より発売しました。著者の柴田彰さんに、発刊の経緯と本書に込めた想いを聞きました。M&Aしかないとわかっていても、踏み出せない理由――本書は、経営者が押さえておくべき経営戦略の一つとして、M&Aの特に「譲渡」に特化した書籍です。なぜこのテーマで本を出そうと思われたのですか。日本には二つの大きな課題があります。一つ目

事業承継・引継ぎ補助金とは?中小企業庁が解説!

広報室だより
事業承継・引継ぎ補助金とは?中小企業庁が解説!

本記事では、事業承継・引継ぎ補助金の概要と、本補助金の制度運用を担う、中小企業庁財務課の高橋正樹課長補佐による解説(※)、最新の公募概要をご紹介します。※本記事は2021年6月30日に公開された内容を編集しています。役職等は取材当時の内容です。事業承継・引継ぎ補助金とは事業承継・引継ぎ補助金は、事業承継や事業再編、事業統合を促進し、日本経済の活性化を図ることを目的とした補助金です。具体的には、事業

【M&A成約式】 上場企業とのM&Aで生産力向上、メイドインジャパンの製品力で成長促進へ

広報室だより
【M&A成約式】 上場企業とのM&Aで生産力向上、メイドインジャパンの製品力で成長促進へ

「メイドインジャパンの製品を世界に発信したい」という思いが合致したM&Aとなりました。野菜調理器製造事業を行う株式会社ベンリナー(以下、ベンリナー、山口県岩国市)は、印刷品製造業を営む三光産業株式会社(以下、三光産業、東京都)と資本提携を結びました。両社は、2022年12月22日、広島県内のホテルにてM&A成約式を執り行いました。握手を交わす三光産業株式会社代表取締役社長執行役員石井正和氏(左)と

業種特化セミナーがスタート

広報室だより
業種特化セミナーがスタート

日本M&Aセンター業種特化事業部によるオンラインセミナー「全17コマ9月横断業種特化セミナー」が2021年9月10日から始まりました。高い専門性を駆使してM&Aを成功に導くコンサルタントがIT、物流、調剤、建設、食品、製造の業種別に最新M&A事例や成長戦略を解説します。(※当セミナーは終了しました)IT業界M&Aからスタート「売上20億円以上の受託開発ソフトウェア業におけるM&A戦略」をテーマに、

IKKOさんが語る「M&Aは"希望"グイッと成長できる」

広報室だより
IKKOさんが語る「M&Aは"希望"グイッと成長できる」

日本M&Aセンターは経営者の皆様やM&Aに興味をお持ちの方に向けて、事業承継の問題を解決するM&Aや成長戦略に関するセミナーを多数開催し、たくさんの方々にご参加いただいております。2021年8月23日に美容家のIKKOさんを招いたオンラインセミナー「IKKOさんが聞く『M&Aって何!?』」を開催しました。東京本社にご来社された黒の着物姿のIKKOさんの輝かしいオーラに社員一同は圧倒されました…!今

「事業承継・成長戦略」に関連するM&Aニュース

三菱重工業、子会社の三菱重工航空エンジンから防衛省向け航空機用エンジン事業を譲受け

三菱重工業株式会社(7011)は、子会社である三菱重工航空エンジン株式会社(愛知県小牧市)が営む防衛省向け航空機用エンジン事業等を、会社分割により承継することを決定した。三菱重工業を承継会社、三菱重工航空エンジンを分割会社とする吸収分割方式。三菱重工業は、エナジー、プラント・インフラ、物流・冷熱・ドライブシステム、航空・防衛・宇宙、その他事業に係る製造等を行っている。三菱重工航空エンジンは、航空機

サンメッセ、コーポレート・コミュニケーション事業を子会社のSincに承継

サンメッセ株式会社(7883)は、サンメッセのコーポレート・コミュニケーション事業に関する権利義務を会社分割(簡易吸収分割)により、子会社である株式会社Sinc(東京都中央区)に承継させることを決定した。サンメッセを分割会社とし、Sincを承継会社とする吸収分割方式。サンメッセは、総合印刷業を行っている。Sincは、コーポレート・コミュニケーション事業を行っている。目的コーポレート・コミュニケーシ

アダストリア、子会社のアンドエスティにECモール運営事業を承継

株式会社アダストリア(2685)は、連結子会社である株式会社アンドエスティ(東京都渋谷区)に、アダストリアが営むECモール運営事業及びこれに付随関連する事業を、吸収分割により承継することを決定した。アダストリアを分割会社とし、アンドエスティを承継会社とした吸収分割方式。アダストリアは、カジュアル衣料・生活雑貨・服飾雑貨の小売業を行っている。アンドエスティは、ECモール運営事業及びこれに付随関連する

コラム内検索

人気コラム

注目のタグ

最新のM&Aニュース