北海道の「事業承継・M&A動向」と「成約事例」について
⽬次
- 1. 北海道の事業環境及びM&A動向
- 1-1. 北海道の企業を取り巻く事業環境
- 1-2. 北海道の直近8年間のM&A成約実績は350件超
- 2. 北海道の事業承継・M&A成約事例
- 2-1. 【売手企業】
- 2-2. 【買手企業】
- 2-3. 著者
こんにちは。日本М&Aセンター北海道営業所の相良祐也です。
当コラムは日本М&Aセンターの北海道営業所メンバーが北海道M&A事情の最新情報を執筆しております。
今回は、北海道の「M&A動向」と「成約事例」についてご案内させていただきます。
北海道の事業環境及びM&A動向
近年、企業を取り巻く事業環境は急速に変化しております。
新型コロナウイルスなど予想もできない出来事が起こり、その都度対応に悩まされる中、多くの企業が変化に追われる日々を送っています。
その中で、事業承継に関する対策を後回しにしてしまう企業も少なくありません。
ここでは、先日発刊しました「2024年度版北海道M&Aデータブック」を基に北海道の企業を取り巻く事業環境と北海道M&A動向について記載させて頂きます。
北海道の企業を取り巻く事業環境
昨今、後継者問題が取り上げられておりますが後継者不在率は全国平均53.9%。その中で北海道は全国4番目の66.5%と約7割の企業が後継者不在と言われております。
更に、北海道企業の社長の平均年齢は2022年時点61.2歳というデータがございますが、2000年時点では56.9歳でした。
約20年間でプラス4.3歳にて推移しており、そのうち約7割の企業が後継者不在となると、今後も社長の平均年齢が若くなることは限りなくゼロに近いと考えられます。
次に2022年時点の社長就任経緯を見てみると、同族承継は36.9%、M&Aほかは19.1%となっております。
2018年時点と比べると同族承継はマイナス5.9pt、M&Aほかはプラス3.1ptと推移しております。
このデータから親族に後継者がいないため、M&Aなどで承継をする企業が増加していることがわかります。
社長だけではなく、当然全体の高齢化も進み2040年には現在の札幌市の人口の半数以上である約106万人の人口減少が見込まれており、道内企業の約32%が減少すると言われております。
このような環境下で、後継者がいることが一番だと思いますが、そうではない場合には上記のような変化に対応する必要があると考えます。
実際に売上高成長率と営業利益成長率はM&A実施企業の方が高いというデータも出ており、後継者問題を解決できるだけではなく企業の成長にも寄与するのがM&Aです。
北海道の直近8年間のM&A成約実績は350件超
次に弊社実績から見る北海道M&A動向についてですが、2015年から2023年の間で350件超の成約があり、2023年は54件の成約がございました。
2015年は譲渡側・譲受側ともに10件以下だったものが、2023年は譲渡側・譲受側ともに20件超と倍以上に増加しております。
背景としては、M&Aが世間に浸透してきた、弊社の営業人員の増加などもございますが、一番は後継者不在の企業が増加し北海道の事業承継・M&Aのニーズが高まってきていることだと認識しております。
お客さまと面談させて頂くと、よく「うちみたいな小さい会社には関係ないよ。」というお言葉を頂きますが、弊社実績では譲渡企業の約5割が売上3億円未満で、従業員が10名以下の企業が約4割とM&A=大企業というイメージも徐々に変わってきているのではないでしょうか。
また、「譲渡するにはまだ早い」というお客さまもいらっしゃいますが、譲渡オーナーの年齢を見てみると、60代以下の割合が約7.5割となります。
こちらもイメージよりも若い方々が譲渡を決断していると感じていただけるのではないでしょうか。
直近5年のエリア分布を見てみると、やはり人口が多い石狩エリアが約6割を占めておりますが、近年は道南、道北、道東とニーズも高まってきており、2023年だけで見ると約半数が石狩エリア以外となっております。
上記からM&Aは想像よりも身近に行われているものと感じていただけるのではないかと思っております。事業環境から見てもさらにM&Aが活発になると感じております。
※上記データは「北海道企業向けM&A DATA BOOK2024」に詳細の記載がございますので、ご参照いただけますと幸いです。
北海道の事業承継・M&A成約事例
ここでは、昨年私がお手伝いをさせて頂いた北海道M&A成約事例(建設業)を1件ご紹介させていただきます。
弊社の過去5年間の北海道成約実績の中で、一番多く成約している業種は建設業(36.7%)となります。
もちろん建設業以外にもお手伝いをさせて頂いておりますが、割合としては建設業が多くなっております。
理由としては建設業の企業数が多いということもありますが、人材不足や資材の高騰などでこのままでは自社だけで収益を維持するのが難しいと判断し、M&Aを検討されるお客さまが増えてきているのだと考えております。
どの業界も人材不足ではあるものの、建設業界は全国の就業者総数が20年間で140万人(約27%)減少していると言われております。
北海道でM&Aにより、採用に強い会社とご一緒になることで人材不足の課題解決ができることもあるため、近年成約件数も増加してきていると理解しております。
昨年私がお手伝いさせて頂いたお客さまは、売手側、買手側ともに土木をメインとする北海道の近隣エリアの企業でした。
売手企業の筆頭株主は、株式を親から相続で引き継いだ取締役。代表取締役社長は60代後半の非株主でした。
代表取締役社長の後継者はおらず、筆頭株主はお子様がおらず、経営の承継および株式の承継ともに後継者がいらっしゃらず弊社にご相談いただきました。
買手企業は、近隣エリアの建設業者ですが、現状外注先を探すのにも苦労する場面があり今後人材不足が進む中自社の人材はもちろんですが、外注先を確保することが今以上に困難になるため、譲受を検討していただきました。
これはまさに近隣エリアならではの、M&Aだったと思います。また、双方の課題は一例ですが、下記のようなものがございました。
【売手企業】
・除雪の人材はいるが、機械が古い
【買手企業】
・機械への投資は可能だが、人材がいない
そこで近隣エリアであれば、人材交流などが可能であり相互の課題を補完できるものと確信いただき成約となりました。
成約式で売主様から涙を流しながら感謝いただけた際には、私自身も心からお手伝い出来て良かったと感じました。
様々なM&Aがあり、上記は一つの例ですが今後人材確保のためのM&Aは今後さらに増えてくるだろうと思っております。
M&Aには決まった形がなく、様々なM&Aがございます。その中でも弊社は世界NO.1の成約実績(件数)があるため、成約事例の中から的確なアドバイスをさせて頂ける体制が整っております。
何か気になる点などがございましたら、まずはお気軽にご相談ください。
いかがでしたでしょうか?
今後も北海道営業所から最新の業界情報等をお届けさせて頂きます。
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