コラム

北海道のM&A案件の特徴・代表的な業種とは?

吉川 雄大

日本M&Aセンター 北海道営業所

業界別M&A
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こんにちは。日本M&Aセンター北海道支社の吉川雄大です。 当コラムは日本M&Aセンター北海道支社が北海道M&A・北海道事業承継の最新情報を執筆しております。 今回は「北海道のM&A案件の特徴」についてご案内させていただきます。

1:北海道のM&A案件の特徴

北海道のM&Aと聞いてどのようなイメージを持たれるでしょうか。 実は日本の面積の約20%もある広大な土地を有する北海道ではM&Aが盛んです。 日本M&Aセンターが支援した中で、2021年度~2023年度の3年間における実績では、東京・大阪・名古屋・神奈川に続いてM&A件数が多い地域になります。

当社の北海道における実績の内訳

北海道内でのM&Aは42.6%と道内でM&Aが完結することも多く、道外の地域の会社が道内の会社を買収するケースが32.3%、道内の会社が道外の会社を買収するケースが25.2%と続きます。

例えば「子供が会社を継がない」「従業員も会社を継げない」といった後継者不在問題に際して、合理的な選択肢としての『M&A』を決断される経営者が比較的多いように見受けられます。

また、昨今の円安・物価高・少子高齢化による人手不足等の影響から、全国的に企業倒産件数が増えております。 帝国データバンクの調査では、2024年5月の倒産件数は1,016件(前年同月694件、46.4%増)と、25カ月連続で前年同月を上回っており、2012年5月(1,013件)以来、12年ぶりに1,000件を超えました。

前年同月より322件多く、増加数はリーマン・ショック直後の2008年9月(337件増)に次ぐ2番目の多さとなっております。

このような状況下、『先行き不安から、自社単独での成長から他社と一緒になることで事業成長を遂げたい』『経営基盤・人材確保を安定させたい』などの理由で譲渡の相談件数も増えてきております。 また、人口動向に着目すると、下記グラフから札幌市以外の人口が大きく減少していくことが予測されます。

出所)企業数・就業人口数:財務省財務総合政策研究所「フィナンシャル・レビュー」平成29年第3号(通巻第131号)2017年6月 地域別企業数の将来推計/村上義昭・児玉直美・樋口美雄 生産年齢人口数:『日本の地域別将来推計人口』(平成30(2018)年推計)

このデータからも特に地方の企業において、人材不足、地場での需要の減退等の理由から1社単独での事業継続が難しくなることが想定され、地方企業のMAが増えてくることが考えられます。

また、当社は金融機関、会計事務所の皆さまと提携しており、そのネットワーク経由で譲渡案件の紹介および譲受企業の紹介を受け日々マッチングを行っています。 特に本州においては地場に根付いた金融機関、会計事務所等のご紹介によって、県内企業同士のマッチング、隣接する県の企業とのマッチングにより数多くのM&Aをお手伝いさせていただいております。

一方北海道、特に地方企業においては地域的な条件から、金融機関や会計事務所からの譲受企業の紹介が限られることもあり、当社独自の譲受会社のデータ蓄積により全国の企業とのマッチングを行い、譲受企業のご紹介をさせていただいております。

また、高収益で内部留保の厚い企業であるほど、譲渡対価も高くなることから、北海道内の企業だけではなかなかお相手を探すのに苦労するケースがあります。 このことからも、北海道においては道内企業同士のマッチングだけではなく、全国から広く譲受企業を探す必要があり、冒頭ご紹介させていただいた当社実績における道内企業×道外企業のマッチングによるM&Aが多くなっている要因につながってくるのかと思います。

2:代表的な業種

北海道と聞いて「食」のイメージを連想する人は多いのではないでしょうか。

実際に北海道を代表する産業として、まず農林水産業が挙げられます。 「海の幸」「農産物」「牛乳」など有名な特産品が数多くあり、売上規模の大きい会社が存在します。

例えば水産加工会社では販売先が日本全国にわたり、売上規模が数十億、数百億円の会社も見られます。 そのような環境下で、食品業界内ではM&Aが多く行われています。

次に挙げられるのが建設業で、こちらもM&Aの事例が多くみられます。 土地柄、道路が広く新幹線や高速道路の開発が進む北海道。冬は除雪のニーズがあり、建設業がその役目を担います。

人口が数千人~数万人の都市においても、売上規模が数十億の建築土木の会社があるのは北海道の特徴かと思います。 また建設業全体でいえることですが、仕事の担い手が少なくなっていることもM&Aが多く行われている要因の一つと言えます。

札幌以外では人口減少や高齢化が著しく、請負業者が少なくなってきたという声も聞きます。 逆に、地方の有力企業がM&Aで札幌の会社と経営統合し、状況を打開しようと一手を打たれる経営者の方もおられます。

そのほかに、道内にはサービス業が多い点も特徴です。 例えばホテル業です。北海道には有名な観光地がたくさんあります。 札幌をはじめ、小樽、ニセコ、函館、富良野と観光の見どころが各地に存在するため業種として盛んであり、M&Aの事例もよく見られます。

広大な土地で「食」「観光」と、魅力的なコンテンツを持っているのが北海道の特徴であり、M&Aにおいても関連する会社が多く登場します。 そんな魅力ある北海道はM&Aで一層活性化する可能性を秘めています。

3:業種別セミナーのご案内

上記のように、北海道では様々な業種のM&Aが盛んに行なわれております。 そこで、本年度より北海道営業所にて道内企業様向けに各業種別のセミナーを開催する運びとなりました。

各業種別の最新の業界動向、道内マーケットの最新事例、M&A成約事例、M&Aの成功するポイント、買い手企業の譲受けニーズ等をご案内させていただきます。 次回は2024年7月29日(月)16:00~17:00の日程で開催いたします。

開催方法はWEB配信を予定しております。 ご興味ある方は下記URLよりお申し込みください。

【北海道】足場、とび業界の動向が良くわかる北海道M&Aセミナー開催中

いかがでしたでしょうか? 今後も北海道支社から最新の業界情報をお届けさせて頂きます。

北海道のM&Aへのご関心、ご質問、ご相談などございましたら、下記にお問い合わせフォームにてお問い合わせを頂ければ幸甚です。 買収のための譲渡案件のご紹介や、株式譲渡の無料相談を行います。 また、上場に向けた無料相談も行っております。お気軽にご相談ください。

著者

吉川 雄大

吉川よしかわ雄大ゆうだい

日本M&Aセンター 北海道営業所

北海道札幌市出身。 北海道大学経済学部卒業後、北洋銀行に入行し中小企業の法人担当を経験。 2023年8月に日本M&Aセンター入社。 入社以来北海道営業所にて主に道内企業様のM&A支援等に取り組む。

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