北海道における建設業と建設業界のM&A
⽬次
- 1. 1:北海道における建設業
- 2. 2:建設業界の課題とM&A
- 2-1. 2024年問題の影響
- 3. 3:業種別セミナーのご案内
- 3-1. 北海道土木工事業界セミナーのご案内
- 3-2. 開催日:8月29日(木)16:00~17:00
- 3-3. プロフィール
こんにちは。日本M&Aセンター北海道営業所の久杉孝紀です。
当コラムは日本M&Aセンターの北海道営業所が北海道M&A・北海道事業承継の最新情報を執筆しております。
今回は「北海道における建設業と建設業界のM&A」についてご案内させていただきます。
1:北海道における建設業
建設業界は、当社がお手伝いする中でも特にM&Aが活発に行われている業界です。
今年、北海道営業所では2024年北海道 M&A DATA BOOKを発刊しましたが、2015~2023年の8年間における成約企業の業種割合では、建設業が最も多く全体の36.7%を占めております。
北海道の建設業は、北海道開発事業により社会資本整備が積極的に実施されてきたことから、道内総生産や全産業に占める産業別構成比の割合が高くなっております。
北海道の生産活動により生み出された付加価値の規模を示す道内総生産(名目)は20兆4,646億円(令和元年度)で、道内総生産に占める建設業の割合は年々増加傾向にあり1兆6,185億円(同年)と7.9%ほどです。
また、北海道の産業別構成比でも建設業はおよそ1割を占め19,477(令和元年時点)社が存在しています。
全産業の就業者数に占める建設業就業者数は21万人で、全体の8.1%を占めております。いずれの指標においても建設業が全産業に占める割合は上位に位置しています。
2:建設業界の課題とM&A
建設業界は一族経営が多いことや公共工事の入札資格との関係もあり、以前まではM&Aが起こりにくい業種とされていました。
しかし、近年は増加傾向にあり、足元のM&A増加は技術者不足、特に若手技術者の確保に関連しています。受注の維持拡大につなげるための動きを反映したものと言えます。
技術者不足の背景としては、「2024年問題」の存在が挙げられます。
2024年問題の影響
これまで建設業と運送業は「残業上限規制」の実施が5年間猶予されていましたが、2024年4月から法規制が実施されました。
これにより時間外労働は、原則として「1か月で45時間、1年で360時間以内」が限度となりました。
以下の図は、アンドパッド社の「時間外労働の上限規制調査」の制度認知と取り組みの現状のアンケート結果ですが、残業抑制への取り組みが非常に困難であることが伺えます。
引用:「時間外労働の上限規制調査」(2023年:アンドパッド https://andpad.jp/)より
私が建設業の経営者からよく聞く残業抑制への取り組みが難しい大きな理由としては、「工期の縛り」があります。
発注者側の都合により期日が設けられており、工程を調整する必要があります。
そのような中で、悪天候などが重なると作業効率が低下し、土日関係なく労働を強いられ、結果的に時間外労働や休日労働が必要になります。
一方、発注者側も今後働き方改革に対応すべく、週休2日工事の実施を評価したり、現場生産性向上を企図したICT施工を発注するなど、改善が図られることも期待できます。
いずれにしても、当面は働き方改革に伴う時間外の規制や労働者の高齢化による技術者不足に対応するため、人材確保を目的としたM&Aの傾向が継続するでしょう。
3:業種別セミナーのご案内
本年度より北海道営業所にて道内企業様向けに各業種別のセミナーを開催する運びとなりました。
各業種別の最新の業界動向、道内マーケットの最新事例、M&A成約事例、M&Aの成功するポイント、買い手企業の譲受けニーズ等をご案内させていただきます。
次回は【北海道】土木工事業界の動向とM&Aセミナーを下記日程で開催いたします。
北海道土木工事業界セミナーのご案内
開催日:8月29日(木)16:00~17:00
人材不足・従業員の高齢化・後継者問題等の社内の経営課題に加え、円安問題や人件費、資材の高騰など様々な外部要因により、昨今弊社にご相談いただく企業様の経営課題も多角化しております。
そんな中でも、M&Aを戦略的に活用し、成長する企業がございます。土木工事業のM&Aは企業規模問わず、経営戦略の一つとして有効活用され、M&Aの相談件数も高い水準での推移傾向にあります。
経営課題の解決を図るべく、幅広い業界とのシナジーを模索されるオーナー様も増えている状況です。本セミナーでは、北海道エリアの経済状況とM&Aを活用した経営戦略について紹介します。
※開催方法はWEB配信を予定しております。ご興味ある方は下記リンクよりお申し込みください。
いかがでしたでしょうか?
今後も北海道営業所から最新の業界情報をお届けさせて頂きます。
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