朝日出版社が会見、NOVAホールディングスによりM&Aトラブルが収束

事業承継
更新日:

⽬次

[非表示]

英会話教室大手のNOVAホールディングス株式会社は、2025年2月14日付けで株式会社朝日出版社の全株式を取得したと発表しました。朝日出版社は、2024年に創業者の死後、遺族が株式を売却したことを機に経営陣が解任されるなどし、混乱に陥っていましたが、NOVAホールディングスが株式を買い受けたことで元経営陣らが復帰し、事態は収束を迎えました。
2月18日、朝日出版社の経営陣・従業員と、代理人であるさくら共同法律事務所 河合弘之弁護士らが東京・霞ヶ関で記者会見を開きました。

創業60年超の老舗出版社×50社以上のM&A経験を持つ成長企業

朝日出版社は語学教材などで実績を持つ創業60年超の老舗出版社です。2024年、創業者である原雅久氏の逝去後に創業者遺族が株式を売却し、役員陣6名が解任されました。元役員と従業員は、解任決議の有無などを争う訴訟を提起していました。

NOVAホールディングスによる本件株式譲受け後の新体制では、連帯保証のスムーズな解除等のためNOVAホールディングスの稲吉正樹社長が朝日出版社の代表取締役会長に就任。朝日出版社の前代表取締役社長の小川洋一郎氏は取締役社長となり、元役員6名のうち役員定年を迎えた2名を除く4名が復帰することとなりました。これに伴い、元役員と従業員が提起していた訴訟は取り下げられました。

NOVAホールディングスは、2007年に経営破綻した「株式会社ノヴァ」より事業譲渡を受け、英会話事業を再建したほか、過去に50社以上をM&Aで譲り受けてきた実績を持ちます。
両社は本件M&Aにより、テキスト開発や副教材開発、語学系オンライン、アプリのコンテンツ開発で協業していくほか、学校法人分野の営業活動で相互に協力していく方針です。
NOVAホールディングス稲吉社長は今後について、「出版社本来の事業性を失うことのないよう、経営の独立性の維持には配慮したい」「電子化等の投資を進めることにより、さらに良い会社に成長していくと確信している」とコメントしました。

支え続けてくれた皆さんに感謝を申し上げたい

会見で、朝日出版社の小川社長は、「従業員は、会社はどうなるんだろうと不安を抱えてきた」「朝日出版社を支え続けてくれた皆さんに感謝の気持ちを伝えたい」と話しました。


朝日出版社・小川洋一郎社長(写真中央)と代理人の河合弘之弁護士(同左)

朝日出版社で取締役相談役に就任する山本雄三氏は、「NOVAホールディングスは英会話学校をやっていて、我々は語学書を出しているので、近い文化、理解がある。我々としては望ましいマッチングを日本M&Aセンターが調整してくださって、いい形にたどりつけた」とコメント。朝日出版社 労働組合の小島光歩委員長は、「今日この日を迎えることができて感無量」「これからどんな書籍を作っていくことができるのか楽しみ」だとしました。

小川氏らの代理人を務めた河合弘之弁護士は「100%株主と対決するのは非常に難しいとは思ったが、出版文化を守りたいという従業員や役員の方たちの熱意にほだされ引き受けた」と経緯を話しました。
しかし「裁判に勝っても、最終解決にはならない。我々が望む経営者に株を買ってもらうしかないと考えた」と相手探しを日本M&Aセンターに依頼した経緯を話し、「M&A業界ではトラブルも起きている中、本件は社会的な意義も大きい」「三方よし、四方よしの解決ができた。奇跡の着地だと言ってくれる人もいる。みんなが頑張ったし、運にも恵まれた」と述べました。

最後に小川社長は、「これまで朝日出版社だけではできなかった取り組みも、NOVAホールディングスのお力をお借りすることにより、いろんな可能性が広がる。どんどんこれまで通りチャレンジし続ける会社でありたい」と決意を表明しました。

著者

M&A マガジン編集部

M&A   マガジン編集部

日本M&Aセンター

M&Aマガジンは「M&A・事業承継に関する情報を、正しく・わかりやすく発信するメディア」です。中堅・中小企業経営者の課題に寄り添い、価値あるコンテンツをお届けしていきます。

コラム内検索

人気コラム

注目のタグ

最新のM&Aニュース