日本触媒、脂質ナノ粒子製造などのライラックファーマを買収
株式会社日本触媒(4114)は、ライラックファーマ株式会社(北海道札幌市)の全株式を2024年12月9日付で取得し、100%子会社化した。
日本触媒は、自社開発の触媒技術を核としてグローバルに活動する化学メーカー。紙おむつに使われ、世界1位のシェアを誇る高吸水性樹脂(2024年日本触媒調べ)やリチウムイオン電池材料などを提供している。
ライラックファーマは、北海道大学発のスタートアップ企業で、脂質ナノ粒子の「大きさ」などに注目した脂質ナノ粒子製造技術をベースにビジネスを展開している。独自の「iLiNP®マイクロ流路デバイス」(※) は、従来の方法とは異なり大きさが揃った高品質の脂質ナノ粒子を容易に連続生産することが可能。
背景・目的
化粧品や医薬品において、リポソーム(※2)などの脂質ナノ粒子は、内包有効成分の安定性や浸透性の向上などに寄与することから、有効成分を配合した製品の高付加価値化を可能とする画期的な素材として注目が高まっている。
両社は、2019年から共同研究を開始し、これまでに安定性が非常に高い複数の化粧品用リポソームの開発に成功している。
本件M&Aにより、ライラックファーマを100%子会社化することで、リポソームの開発効率向上や安定供給体制の構築を加速させ、これまで日本触媒が培った様々な分野の知見を活用することにより、化粧品事業および医薬品向けナノ粒子事業の拡大を狙う。
(※)iLiNP®マイクロ流路デバイス:ライラックファーマのコア技術で、特許の独占使用許諾を北海道大学から取得している。iLiNP®はライラックファーマの登録商標。
(※2)リポソーム:脂質二重膜からなる粒径20~200nmの程度の粒子。不安定な素材を内包させることにより安定性を向上させ、皮膚への浸透性を高める。