事業承継ガイドラインpickup―親族・社員承継の準備期間は?

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本記事の概要

事業承継に関して「親族内承継」や「役員・従業員承継」では後継者育成期間も考慮すると5年~10年の期間を要しますが、M&Aなら短期間に行うことが可能で、さらには相乗効果を通じた発展も期待できます。

事業承継の準備期間

2016年12月に公表された『事業承継ガイドライン』では、事業承継の準備期間に5年~10年程度必要なので早期の事業承継への着手が必要としています。

中小企業庁「事業承継ガイドライン」について

  • 「後継者の育成期間も含めれば、事業承継の準備には5年~10年程度を要することから、平均引退年齢が70歳前後であることを踏まえると、60歳ごろには事業承継に向けた準備に着手する必要がある。」(11頁~12頁)

事業承継の期間は承継の方法で変わるか

グラフ_事業承継に向けたステップ

譲渡企業の従業員数に関して 事業承継ガイドラインで紹介された「事業承継に向けたステップ」が右図です。 このガイドラインでは事業承継を 「親族内承継」、 「役員・従業員承継」、 「社外への引継ぎ(M&A等)」 の3つの類型に区分しています(15頁)。 ガイドラインでは事業承継方法の類型ごとには準備期間を記載しておりません。 M&Aの場合も5年~10年程度の準備期間が必要になるのでしょうか。 上記5年~10年程度の準備期間の前提に、「後継者の育成期間も含めれば」とあります。 一般的に中小企業のM&Aでは、譲渡企業へ譲受け企業の社長が社長を兼務するか派遣されてくるので、一定の引継ぎ期間を除き、後継者育成期間は考える必要がありません。

M&Aは2年~3年の準備期間

日本M&Aセンターが譲渡希望企業から正式受託してから成約するまでの期間は平均で11カ月程度です。 ただ、これは平均値ですからもう少し時間がかかることもありますし、全ての企業がM&Aに成功するわけでもありません。 したがって、余裕を見てM&A実施の2年~3年前にはご相談をいただけたらと当社は考えています。 M&Aを進める上で時間をかけた方が断然有利なのは下記のようなことです。

  • 譲渡企業に関する魅力が伝わる紹介資料を作り込む(ステップ2)
  • 必要に応じて磨き上げの期間をとり、業績改善の実績を作る(ステップ3)
  • 譲受け候補に関して、より多くの企業の中から最適な企業を選ぶ(ステップ4)
  • ポストM&AをにらんでしっかりM&Aの条件を詰め、後々のトラブルの目をつむ(ステップ5)

もっと平均期間がもっと短いというブティックもあるかもしれませんが、いい相手をご紹介し、いいM&Aにするためには相応の時間が必要になります。しっかり仲介業務の一連の流れに取り組むと、どうしても時間が必要になってくるものです。 もちろん、経営者の体調が思わしくない場合には何よりも時間が優先されるケースもあると思います。当社としては、譲渡企業様の優先事項を踏まえた進め方を行います。

M&Aは短期間で事業承継を終え、さらに発展の道筋も

M&Aは、親族承継や社員承継と比べると短期間で承継プロセスを終えることが可能です。そのうえ相乗効果の見込める相手先企業とのM&Aは、相手先企業の経営資源を活用して企業発展の道筋をつけることができるのです。 そのため、M&Aは事業承継の手段として有力な方法と言えます。 ただしM&A実施が難しいケースもあります。M&Aは全ての企業が活用できるわけではないということで万能ではありません。その見極めも必要ですからM&Aの相談はできるだけ早くしていただきたいと考えております。

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「事業承継ガイドライン」が中小企業庁により10年ぶりに改訂

著者

M&A マガジン編集部

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日本M&Aセンター

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