<FUTURE特別企画> いよいよPMIスタート!現場レポート(株式会社デイトナと株式会社ダートフリークのケース)
⽬次
- 1. ともに成長を実現するパートナーとして「成約」から「成功」へ― 守りのPMIで成長への土台固め
- 2. M&Aはゴールではなくスタート 成約からの連続性あるPMIで合理的に
- 2-1. PMIにおいては様々な解決したい課題や実行したい事柄があったかと思いますが、具体的なテーマの抽出や優先付けはどのようにして行ったのですか。
- 3. トップダウン型経営から組織的経営への変革
- 3-1. PMIの進捗状況について、現時点ではどのように評価されていますか。
- 3-2. 本件PMIの取組みを始められて、「成功するM&A」のためには何が必要だと思いますか。
- 3-3. 守りのPMIが終わったらいよいよ攻めのPMI、事業シナジーのフェーズが始まりますね。
- 4. PMIサービスのご案内
- 5. <関連コラム>
- 6. <M&A成功事例インタビュー>
- 6-1. 著者
ともに成長を実現するパートナーとして「成約」から「成功」へ― 守りのPMIで成長への土台固め
前号「Future vol.13」に続き、当社仲介にてM&Aを実現された株式会社デイトナ(JASDAQ上場)の杉村取締役管理部長(写真下左)と株式会社ダートフリークの諸橋勉代表取締役(写真下右)に伺います。両社は日本M&Aセンターのグループ企業である日本CGパートナーズ(現 日本PMIコンサルティング)が提供するPMIコンサルティングサービスを活用されています。前回のインタビューから約半年、「まずは決算・事業計画・管理会計といった制度を、段階を追って整備したい」とお話しされていたPMIの取組みについて、現在の進捗状況とその効果、また外部のPMIコンサルティングサービスを活用するメリット等を語っていただきました。
インタビュー: 日本M&Aセンター 社長 三宅 卓
譲受け企業
株式会社デイトナ(JASDAQ 7228)
-
創業:昭和47年(1972年)
-
事業内容:二輪アフターパーツ企画開発・卸売・小売
(いずれも主としてオンロードバイク) -
本社:静岡県周智郡
-
従業員数:138名 (本件実行前の連結ベース)
-
売上高:約60億円 (本件実行前の連結ベース)
譲渡企業
株式会社ダートフリーク
-
創業:平成元年(1989年)
-
事業内容:二輪アフターパーツ企画開発・卸売・小売
(いずれも主としてオフロードバイク) -
本社:愛知県瀬戸市
-
従業員数:46名
-
売上高:約20億円
デイトナ社の織田社長は、成長スピードの加速を企図し、単なる同業との資本提携による売上増加ではなく、シナジーを見込めるパートナーとして、オフロード市場で圧倒的なシェアを持つダートフリーク社とM&Aを行った。2017年に両社は成約に至り、同時にPMIがスタートすることとなった。
M&Aはゴールではなくスタート 成約からの連続性あるPMIで合理的に
PMIにおいては様々な解決したい課題や実行したい事柄があったかと思いますが、具体的なテーマの抽出や優先付けはどのようにして行ったのですか。
杉村 当社はJASDAQに上場しておりますから、連結決算と内部統制という2点については期限が決まっており、早急に行う必要がありました。とはいえ、私たちの管理部隊に余剰人員がいるわけでもありませんし、M&Aも初めての経験です。外部の専門家の支援を受けることでしっかり進めたいと考えていました。
そんなときに、日本M&AセンターグループのPMIサービスについて聞きました。M&Aの最初のプロセスから携わり、経緯や諸橋社長の意向もよくわかっている日本M&Aセンターが行うPMIであれば、負担が少なく一番合理的に進めていけると感じました。日本CGパートナーズ(現 日本PMIコンサルティング)の宮川さんから、両社を理解した上での素晴らしいPMIプランの提案をいただけたので、お願いすることにしました。
社員を指導する諸橋社長
宮川さんに入ってもらったことで、業務のスリム化や合理化の可能性も感じることができました。従来の自分たちのやり方を変えることで、「こんなに簡単にできるのか」という気付きは、外部の優秀な方に入っていただいて初めてわかることですよね。これもPMIの効果なのかなと感じています。
トップダウン型経営から組織的経営への変革
PMIの進捗状況について、現時点ではどのように評価されていますか。
杉村 始めてみて思ったのは、やはりPMIを進めるのは社員ですから、監査対応などの外への制度対応を進めるのと並行して、会社の中の管理体制や意思の統合を進める必要があるなということです。内部統制の整備・運用は、監査対応だけでなく組織の永続性を確保する、という側面もありますので、トップダウン型の経営から組織的な経営への変革を行ううえでも、社員が自分事として前向きに社内ルールを作り、運用していくことが重要です。
諸橋 その点、当社の場合は社内のマンパワーは不足していたのかもしれません。私はこれまでワンマン経営でやってきたものですから、社員が自ら考えて意見を出すということに慣れていなかったんですね。幹部の育成も進んでいなかった。今回、ある意味強制的に外部の力で進めていくことで推進力が確保できているという面もあると思います。もし自分たちの力で統合を始めていたら、デイトナ社はとても大変だったろうなと思います。
ダートフリーク社製品例・子ども向け電動バイク
今、部門長ら次期リーダー候補者が中心となって今後の組織運営について、様々な議論をしてもらっています。自分で考えて、提案して、実行するという状況が増えるだけ、会社のことを考える視野が広がってくると思います。また能力も上がってくる。今回のPMIに関する議論の場は、リーダーたちのマネジメントレベルを上げるいい訓練になっていると思っています(笑)。
本件PMIの取組みを始められて、「成功するM&A」のためには何が必要だと思いますか。
杉村 PMIはスピード感が非常に重要だと感じています。社員たちは通常業務を持っていますから、自分たちでやろうとしても、なかなか進まないのは仕方のないことです。そういう点でも、外部の専門家の力を借りてある程度強引にでも進めていく効果は高いですよね。
また、社員に対して早い段階で、M&Aによる変化を感じてもらうことも重要なのではないでしょうか。今回の場合では、地道で成果が目に見えにくい部分に先に取り組むことになったわけですが、事前にPMIを進めてもらうリーダーの皆さんに集まっていただき、「攻めのPMIに取り組むための事前準備として守りのPMIが必要だ」と諸橋社長からお話しいただいたことで、リーダーの前向きな姿勢を引き出せたのは重要なポイントでしたね。今後は、よりポジティブな変化を感じてもらうことで、社員の意識を変えていきたいです。
守りのPMIが終わったらいよいよ攻めのPMI、事業シナジーのフェーズが始まりますね。
杉村 当社社長の織田はM&Aが決まったときから、実現したいシナジーと見込める効果をリスト化していました。そのリストを、実行レベルにまで落とし込んだプランをつくって、プロジェクトを組成し、両社で取り組んでいきたいですね。早く次のPMIフェーズにシフトできる状態にできたら良いなと、楽しみです。
ダートフリーク社内を案内していただきました
(左から)諸橋社長、三宅、杉村取締役
PMIサービスのご案内
日本M&Aセンターでは、PMI支援のための専門子会社『日本PMIコンサルティング』を設立し、PMIを「合併後の統合」ではなく、「資本提携後に売り手企業と買い手企業がともに成長する過程」と定義して、M&A実行前からPMIに向けて専門家が支援いたします。
<M&A成功事例インタビュー>
戦略的なグループ化を目指すPMIが、社員のレベルアップにつながる
<PMI担当者より>
日本CGパートナーズ(現 日本PMIコンサルティング) 宮川 崇
PMIは異文化コミュニケーションです。我々が両社の間に入ることで、摩擦を起こさないためのアドバイスはもちろんですが、中立の立場から落としどころを見つけたり、緩衝材の役割を担うことができます。また、プロジェクトの旗振り役として、スピーディな統合の実現に寄与することができます。この人手不足のご時世ですので、重要かつ手のかかる成約直後の期間だけでも外部コンサルティングを利用してもらうことは効果的だと考えています。
Future vol.14
当記事は日本M&Aセンター広報誌「Future vol.14」に掲載されています。