買収には落とし穴がある?正しい知識でM&Aを進めよう

M&A全般
更新日:

⽬次

[非表示]

買収には落とし穴がある?正しい知識でM&Aを進めよう
日本M&Aセンターでは毎月買い手企業の方に向けて「どのように買収を進めていけばいいのか」「買収後どのように統合作業を行っていくのか」といったテーマで「買収の参観日」というセミナーを行っています。本記事では、そのセミナーのスピンオフとしてスタートしたYouTube動画の内容をお届けします。

直近の「買収の参観日セミナー」の詳細はこちらから!

ありそうでなかった⁉買い手企業向けの情報発信をスタート

久力(くりき): そもそも壷井さんは「ザ・サムライ」という感じで日本M&Aセンターの中でも動画に出るようなタイプではないですよね。なぜ、今回動画に出ようと思ったんですか。

壷井(つぼい): そうですね。いままで延べ約100件ほどいろいろなM&Aに携わってきましたが、業種も様々ですし、オーナーさんの買収目的も本当に様々で。やっぱりこの経験値を伝えていきたいなと思っています。

M&Aって手段としてうまく有効活用できれば、会社もすごく成長しますし、 何より 会社の空気感が変わる と思っています。そういった事を買い手の企業さんに届けて、上場を目指す、あるいは売上目標100億円といったことをM&Aを通じて実現するお手伝いをこれからもしていきたいと思っています。

ただ落とし穴というか、 買収には押さえておかなければいけないポイントがたくさんある んですよね。そしてそれは経験者にしか絶対わからないんですよ。なので、特にはじめてM&Aを行う会社さんには前もって正しい情報を知ってほしいという思いがあるので、満を持して動画に出演しました。

久力: 売り手企業さん向けの情報はたくさん世の中にあるんですけど。 買い手企業さん向けの情報って、なかなか意外と無い ですよね。

壷井: そもそも買い手企業さん専門の担当者って一般的には少ないですよね。

久力: 詳しくはわからないですが、他の仲介会社さんを見てると、どうしても売り手企業さんの担当者がたくさんいらっしゃって、その方々がお相手となる買い手企業さんを探すというスタイルが多いように感じます。当社は買い手企業さん専門の担当者が何人くらいいるか知ってますか?

壷井: 東西あわせると100人・・?

久力: 惜しい、98人です(笑)。当社もいろいろノウハウがあるのでお客さんに伝えていきたいですよね。

壷井: いや本当に知ってほしいですよね。

M&Aを進める前に知っておきたかった!押さえておきたいポイント

久力: M&Aを進めていると検討過程で、経営者の方々も「ここ気になるな」「あれ気になるな」と出てくることが多いじゃないですか。

壷井: そうですね、多いですね。

久力: 検討過程だとどうしても交渉要素が入っちゃいますよね。なかなか相手に言いにくかったり、はじめてM&Aを行う人は不安ですよね。

壷井: 怖いですよね。

久力: だって家を買うのでも大変じゃないですか。私も家を買いたいなと色々さがしてたんですけど、不動産屋さんに聞くと、だいたい「売りたい、売りたい!」という気持ちが強い気がして「本当にここ買っていいのかな」とか、ハウスメーカーさんだったら本当に良いといってるのか、広いからお勧めしてるのかちょっとわからないなぁ、みたいなことが多々あります。

壷井: 私も最近不動産見ているんですけど…

久力: いや、この動画は不動産チャンネルじゃないよ(笑)

壷井: いえいえ(笑)、気づいたことがありまして。不動産情報をたくさん見ていくと、同じ地域で高い安い、広い狭いで坪単価とか比較していくじゃないですか。結局いいものを探そうとすると、ずっと待って見送って、ずっと選り好みして永遠に買わない。そうすると情報が入って来なくなるんですよ。

久力: 不動産屋さんも「もうあそこの壷井さんに提案しても買ってくれないな」っていうふうになるんですよね。

壷井: そうなんです。 M&Aで重要なのは「情報量を仕入れること」 じゃないですか。

久力: 当社だけじゃなくて、いろんな仲介会社さんとか銀行さんとか会計事務所さんなどから情報を広く入手することも大事です。

壷井: 「こういう会社が(M&A)情報に出てきたら、うちの会社もトライしてみよう」という 判断軸をしっかり持っていく。いろんな情報を見ながらそうした軸を作っていくことが、不動産見てて重要だと思いましたね。

久力: 今からはじめてM&Aを検討しようとする人が、これからいろんな仲介会社さんなどとコミュニケーションを取って、提案がたとえば2年で10件以上になったとしましょう。いざその10件、15件を検討しようとしたときに、本当だったら3件目に提案された案件が振り返ってみると良かったなぁと思っちゃったりすることも出てくると思います。そうならないためにも、どのポイントを押さえていけばいいか、 疑似体験をこの動画を通じてしていただければ いいなと思っています。

買収の参観日で伝えたいこと

久力: さて、本編のセミナーではこれから具体的にどういうことをお伝えしてくのかご紹介していきましょうか。

壷井: 例えば、検討時のポイントとかですかね。買い手企業さんは譲渡を検討しているお客様の情報を「企業概要書」から収集して、M&Aを勧めるかどうか検討していきます。でもその「企業概要書」だけだと全てがわからないんです。概要書だけの情報でトップ同士の面談時に「思っていたのと違った」とギャップを感じたという話も少なくありません。

久力: ちなみにその企業概要書というのは、どんな内容が載ってるんですか。

壷井: ボリュームとしては多い場合で40枚くらいあります。基本的には財務内容から従業員の情報、取引先がどこで、など概要ですね。

久力: 買い手の企業さんの場合、概要書を見た時に「この取引先どうなの?」とか「この金額の在庫は大丈夫?」とディテールを気にされるケースがあります。検討時に本当に大切なポイントはどこなのか、そういうこともセミナーでは取り上げていきたいと思います。

壷井: 他には企業評価、価格についてなどもテーマとして挙げられます。価格の妥当性、どのように適正な価格を算出すればいいのか、というところにも踏み込んでいく予定です。

久力: 難しいですよね、会社の価値をいくらと評価するのか。「御社はこの会社いくらだと思いますか」とお客さまによく聞かれますよね。その時に基準となる考え方が無いと、妥当なのか、どうなのかわかりませんからね。ちなみに評価手法ってどんな方法があるんですか。

壷井: 一般的には3つあります。まずは、純資産に過去の利益水準をのせるという時価純資産法。

久力: 簡単に言うと、 過去の蓄積をベースに価値をだすという方法ですね。

壷井: もう一つは上場会社の時価総額の金額とからめて、いわゆるEBITDA倍率を使った評価方法ですね。

久力: 上場会社がどのくらいで買収されているのかを参考にしながら、その会社のキャッシュフローとか利益などを比較して株価を出す方法ですね。最後は何ですか。

壷井: DCF法ってよく言いますけど、将来キャッシュフローがどのくらい見込めるかから逆算して現在の価値を出すんですけど、まぁ難しいですよね。

久力: 本当に難しいですね。中小企業のM&Aではほとんど使われないかと思います。

壷井: このDCF法に当てはめて、企業価値を出されても、買い手企業さんとしては本当に投資回収ができるのか。それが3年後、5年後に失敗だったか成功だったのかの判断もつきにくい。企業評価という側面を見ても、これって本当に正しく買えていますか?というのが大きいですよね。

久力: 「金額がいくらだからM&Aをやらない」という判断が本当に正しいのか、そのあたりにも触れていきたいと思います。そういうのも概要書とか計算だけを見てもらうと判断しづらいですからね。そういったことを大局的にお届けするセミナーですので、有効に活用していただければ幸いです。

壷井: お客様から聞こえる「もうちょっとこういう情報を知っておけるとよかったなぁ」という声を参考にしながら、正しい判断で正しくM&Aをしてもらえるような動画での発信、そして本編のセミナーもお楽しみしていただければと思います。どうぞよろしくお願いいたします!

本記事の動画はこちらからご覧いただけます。

M&Aに関するご相談はこちらから承っております。
ご検討段階の方もお気軽にお問合せください。

この記事に関連するタグ

「買収・M&A実務」に関連するコラム

会社を買う方法とは?メリット・注意点をわかりやすく解説

M&A全般
会社を買う方法とは?メリット・注意点をわかりやすく解説

会社を買うことができるのは、多額の資金を保有している企業だけだと思っている人も少なくないかもしれません。しかし、実際は法人に限らずサラリーマンのような個人も会社を買うことができます。本記事では会社を買うメリットや注意点、押さえておきたいポイントをご紹介します。法人の買収をご検討の方は、希望条件(地域、業種など)を登録することで、条件に合致した譲渡案件のご提案や新着案件情報を受け取ることができます。

ロングリストとは?M&Aにおける活用方法、ショートリストとの違いを解説

M&A実務
ロングリストとは?M&Aにおける活用方法、ショートリストとの違いを解説

M&Aの重要なプロセスの一つが、M&Aの対象候補となる企業の選定と絞り込みです。このプロセスにおいて、大切な役割を果たすのが今回紹介するロングリストです。本記事ではロングリストの概要や重要なポイントを解説します。ロングリストとは?ロングリストとは、M&Aの初期段階においてターゲット候補となる企業を一定の条件で絞り込みを行い、作成された候補企業リストです。M&Aの提案候補をなるべく広く検討するため、

M&Aのトップ面談は準備が8割。買い手が押さえておきたいポイント

M&A実務
M&Aのトップ面談は準備が8割。買い手が押さえておきたいポイント

本記事では、日本M&Aセンターの経験豊富なコンサルタントが語るトップ面談のポイントを、動画から抜粋してご紹介します。※動画本編は記事の文末からご覧いただけます。@sitelinkトップ面談は準備が8割!壷井:トップ面談というのはM&Aのプロセスの中では、売り手企業さんの企業概要書を見て、売り手・買い手の経営者同士が初めて顔を合わせる重要な場面です。小森さんが考える「トップ面談で重要なポイント」はズ

個人M&Aを成功させるポイントとは?メリット・注意点を解説

M&A全般
個人M&Aを成功させるポイントとは?メリット・注意点を解説

M&Aは大企業や中小企業など企業ではく、個人が行うケースも増えています。本記事では、個人M&Aの現状や実行する場合のメリット、注意点・利用目的・利用方法などについて詳しくご紹介します。法人の買収をご検討の方は、希望条件(地域、業種など)を登録することで、条件に合致した譲渡案件のご提案や新着案件情報を受け取ることができます。まずは登録から始めてみませんか?買収希望条件の登録(無料)はこちら個人による

PMIを検討するポイントとは?買い手企業目線の留意点を解説

M&A実務
PMIを検討するポイントとは?買い手企業目線の留意点を解説

国内外のM&Aの専門家であるDr.Mが、身近なM&A事例を用いて、独自の視点でポイントをわかりやすく解説する「Dr.MのM&Aワンポイント解説」。第4回となる今回はM&Aのその先に待ち構えるPMIについてです。M&Aが具体的検討フェーズに進んだら、はじめにPMIを考えよう!—ドクター本日のテーマをお願いします。Dr.M:今回のテーマは「PMI」です。「PMI」とは、「ポスト・マージャー・インテグレ

バイアウトとは?目的や手法、メリット・デメリットをわかりやすく解説

M&A全般
バイアウトとは?目的や手法、メリット・デメリットをわかりやすく解説

企業が経営再建、事業継続を検討する手段のひとつにバイアウト(BuyOut)があります。本記事では、バイアウトの概要やそれぞれの手法の特徴、成功に導くためのポイントをご紹介します。バイアウトとは?バイアウト(BuyOut)とは、経営再建による事業継続や収益向上を目的に、経営者や従業員が自社の株式の過半数を取得し、経営権を握る買収手法を指します。一般的には、企業の経営陣や従業員が自身の資金や外部の投資

「買収・M&A実務」に関連する学ぶコンテンツ

M&Aはどこに相談できる?相談先の種類と選び方

M&Aはどこに相談できる?相談先の種類と選び方

いざ、M&Aについて情報収集を始めようとするとき、「信頼のおける人、M&Aに詳しい人に話を聞いてみよう。」と考える方は多いのではないでしょうか。M&Aには高度な論点が複雑に絡み合い、高い専門性や知識が必要とされるため、当事者だけで進めることは難しく、一般的にはM&A仲介会社をはじめ、様々な専門家が関係してきます。本記事ではM&Aの相談先の種類とその選び方について紹介します。どのような相談先があるの

買収先の本格検討・分析

買収先の本格検討・分析

買収先の探し方でご紹介したように、買い手はノンネームシート、企業概要書で買収先についてM&Aを進めるかどうか検討します。本記事では、買い手が企業を検討する際流れと、陥りがちな注意点についてご紹介します。買い手が買収先を検討する流れ企業概要書をふまえ、さらに具体的に検討を進めるに一般的には「M&A仲介会社との提携仲介契約の締結」「個別詳細情報についての質疑応答」のステップがあります。買い手候補企業の

買収先の探し方

買収先の探し方

買い手の相談先でご紹介したように、M&A仲介会社などパートナーを選定したら、いよいよ買収先の候補企業を探すステップに移ります。本記事ではM&A仲介会社を通じてお相手探しを行う主な方法について、日本M&Aセンターの例をもとにご紹介します。買収先の探し方①譲渡案件型お相手探しは大きく「譲渡案件型」と「仕掛け型」の2つにわかれます。譲渡案件型は、M&A仲介会社が保有する売り手企業(譲渡を希望する企業)の

買い手がM&Aを行う目的

買い手がM&Aを行う目的

買い手の買収戦略には様々な目的があります。M&Aの成功に向けて、押さえておきたいポイントを確認していきましょう。【登録無料】買収をご検討の方は、希望条件(地域、業種など)を登録することで、条件に合致した譲渡案件のご提案や新着案件情報を受け取ることができます。まずは登録から始めてみませんか?買収希望条件の登録はこちらM&Aの目的①市場シェアの拡大企業は競合他社を買収することで、自社の市場シェアを拡大

M&Aの関係者

M&Aの関係者

M&Aの実行には売り手、買い手の当事者のほか、彼らを支援する支援機関など様々な関係者の存在が不可欠です。本記事ではM&Aにはどのような関係者がいるのか、その役割について紹介します。日本M&Aセンターは中小企業庁のM&A支援機関登録制度に登録しているM&A仲介会社です。経営・事業承継に関するご質問・ご相談を予約制で承ります。無料相談はこちらM&Aの関係者M&Aの実行に関係する当事者、支援機関など主な

M&Aの企業価値評価(バリュエーション)とは?算定方法、ポイントを解説

M&Aの企業価値評価(バリュエーション)とは?算定方法、ポイントを解説

M&Aの企業価値評価(バリュエーション)とは?M&Aにおける「企業価値評価」とは、文字通り企業全体の価値を評価することを意味します。「企業全体の価値」とは、企業が保有する資産の価値だけでなく、企業が今後創出すると見込まれる収益力、及びその源泉となる無形資産をも含めた価値を指します。これらは以下のように言い換えることができます。企業価値=「事業価値(事業が生み出す経済的価値)」+「非事業用資産(余剰

「買収・M&A実務」に関連するM&Aニュース

TISインテックグループのインテック ソリューション パワー、ジェー・シー・エスコンピュータ・サービスを完全子会社化

TIS(3626)インテックグループの株式会社インテックソリューションパワー(東京都渋谷区)は、株式会社ジェー・シー・エスコンピュータ・サービス(新潟県上越市)の全株式を取得し、完全子会社としたことを発表した。TISインテックグループは、「金融包摂」「都市集中・地方衰退」「低・脱炭素化」「健康問題」を中心としたさまざまな社会課題の解決に向けてITサービスを提供している。インテックソリューションパワ

Cominix、KamogawaHDを買収

株式会社Cominix(3173)は、株式会社KamogawaHD(京都市伏見区)の発行済株式のすべてを取得し、完全子会社化することを決定した。Cominixグループは、切削工具・耐摩工具・光製品等の販売を主力事業としている。KamogawaHDグループは、機械工具の卸売やプライベートブランド製品の製造および卸売などを行っている。目的Cominixグループは、本件M&Aにより、KamogawaHD

メディカル一光グループ、京葉沢井薬品の買収への協議開始

株式会社メディカル一光グループ(3353)の連結子会社である株式会社メディカル一光は、京葉沢井薬品株式会社(千葉県山武郡)の子会社化について協議を開始することを決定し、同社の主要株主との間で基本合意書を締結した。メディカル一光は、調剤薬局事業、医薬品卸事業を行っている。京葉沢井薬品は、沢井製薬株式会社の販売代理店として、医薬品卸売事業を行っている。コスト上昇などの環境変化の中、公定価格が基本となっ

コラム内検索

人気コラム

注目のタグ

最新のM&Aニュース