【M&A成約式】 上場企業とのM&Aで生産力向上、メイドインジャパンの製品力で成長促進へ
⽬次
- 1. メイドインジャパンを世界に発信 思いが合致したM&A
- 2. 奥様から伝えられた感謝の思い
- 3. 同族会社からの脱却 三光産業とパブリックな企業へ
- 3-1. 著者
「メイドインジャパンの製品を世界に発信したい」という思いが合致したM&Aとなりました。
野菜調理器製造事業を行う株式会社ベンリナー(以下、ベンリナー、山口県岩国市)は、印刷品製造業を営む三光産業株式会社(以下、三光産業、東京都)と資本提携を結びました。両社は、2022年12月22日、広島県内のホテルにてM&A成約式を執り行いました。
メイドインジャパンを世界に発信 思いが合致したM&A
ベンリナ―は、プロから一般家庭まで幅広く使える野菜調理器の製造事業を行っており、メディアにも取り上げられる地域の有名企業です。代表取締役である山本氏は、親族や従業員への事業承継が難しく後継者不在となっていました。
ベンリナ―は、商品を世界30か国で販売、海外での売上が約7割を占めており需要は多くあるものの、生産が追い付いていない状況でした。山本氏は、将来的な後継者不在問題の解決と規模の大きい企業と提携することによる会社の更なる成長促進のため、M&Aによる事業承継を決断されました。
「職人が多く、経営マネジメントを担う人材がおらず、第三者への事業承継を選択肢の一つとして考え始めました」と山本氏は語ります。「M&Aを考えたのは2021年からで、60歳になったのでそろそろ後継者を考えようと思っていた段階で、実際に承継するのはまだまだ先のことだと思っていました」と話しました。そのような中、資本提携の候補としてお会いしたのが三光産業の石井社長でした。
山本氏と石井氏は、【メイドインジャパンの高い製品力を、世界に発信して商品を売っていきたい】という思いが一致しており、本件のM&Aは加速度的に進んでいきました。「考え方やベクトルが同じであればここまで早いのか」と山本氏は驚きがあったことを振り返り、今後は三光産業と一緒に成長していきたいと期待を語りました。
奥様から伝えられた感謝の思い
成約式では、山本氏の奥様である直子氏がこれまでの感謝の思いを伝えました。
「結婚当時は銀行に勤めており、このままサラリーマンとして定年までいくものと思っておりましたが、ある日突然、家業を継ぐと聞かされました。その時は、驚きと不安で猛反対し、毎日けんかをして大変でした。今となっては思い出の1つです。
社長に就任してからは、家業とはいえ苦労が絶えないのか、疲れた顔で帰って来る日が多かったですね」と山本氏が社長に就任した当時を振り返りました。「ご縁をいただいた三光産業様とともに、より社会に貢献できる会社作りに励んでください。“今日まで会社を守ってくれてありがとう、お疲れ様でした”」と、23年間の社長人生に感謝と労いの言葉を送りました。
同族会社からの脱却 三光産業とパブリックな企業へ
譲受け企業の三光産業株式会社は、東京都内で印刷品製造業を営む東証スタンダード上場企業です。販売力に強みを持ち日本・アジアでの販売網を築き上げてきましたが、主力事業である印刷業の市場は縮小傾向であるため、既存事業以外で収益力のあるビジネス領域にすそ野を広げています。
代表取締役社長執行役員である石井氏は、「今回、ベンリナーとの資本提携の決め手は、山本社長のものづくりへのこだわり・情熱を非常に感じたことです。また、東京にはないスピード感・丁寧さに魅力を感じた」と、今回のM&Aについて語りました。
今後については、「三光産業のアジア市場における流通ネットワークを利用しながら、世界中の人にベンリナ―の商品を買っていただき使っていただきたいです。まずは増産体制を構築し、供給ができていない部分を解消したい」と意欲を語りました。
成約式の最後に山本氏は、「上場企業に準ずるようなマネジメントをいつかやりたいと思っていました。これを機に、同族会社から脱却してパブリックな会社作りをしていきたい」と決意を語り、両社は新たなスタートを切りました。
■当社担当コンサルタント