日本M&Aセンター

2.買収されたらどうなるの?

「買収される。」というと一般的には良いイメージをもたれる方は少ないと思います。皆さんが新聞やドラマで見聞きするようなM&Aでは悪い側面に焦点があてられるケースが多いためです。しかし、日本におけるM&Aのほとんどは中小企業が当事者であり、中小企業M&Aは大変友好的に進められるものです。M&Aで会社を「売却できた」ら、売った側にも当然メリットは大きいといえます。

気になる Q&A

Q.買収された場合のメリット・デメリット

素人の質問で申し訳ありません。
テレビなどを見ていてよく思うことがあるのですが、買収する企業側は、他の企業を吸収をして大きくなるというイメージがあるのですが、それでは買収された企業側はどうなるのでしょうか?
買収された企業の社長はクビにでもされてしまうのでしょうか?
それともただ単に経営に口を出せるようになるのが買収なのでしょうか?

そして買収された企業側は、買収した企業側の業績がその後急成長した場合、買収された企業側にも何かしらのメリットがあるのでしょうか?

買収された場合のメリット・デメリットなどを教えてくださると幸いです。
よろしくお願い致します。
A.一般回答

誰かが買収するということは、その企業に魅力があるということです。いい技術を持っているが、資本や人材不足で発展性がない。このままならやがて競争に負けて市場から消え去るかもしれない会社など。

*企業が他の分野(自動車製造会社がパソコン業界へ進出など)へ事業を広げようとするとき、ゼロから体制を作るより、小さいが内容の良い会社を買収する方が早い。
*同業者を買収して業容を拡大し、海外との競争力を強化する場合もある。
*投資会社が買収して株価が上がったら手放すケースもある。この場合は利益の追求は厳しくても経営陣や従業員は従来のままという場合もある。

その他いろいろなケースがあり、ケースごとに買収された側の運命は違ってくるでしょう。

問題は一般従業員の処遇になります。対等合併なら給与面は改善される可能性があります。しかし、幹部職は格下げの可能性があります。社員5万人の会社の部長と社員200人の買収された会社の部長を同列に扱えないのはサラリーマンなら理解できると思います。

買収された会社は存続しない場合と子会社として残る場合があります。子会社の場合、その後急成長すれば従業員も株主も幸せでしょう。元社長も保有株が上がって喜ぶかもしれません。

日本M&Aセンターからのコメント

テレビなどでは、M&Aは非常にネガティブなイメージで演出されることが多いです。
ある日突然、会社の経営権が乗っ取られ、経営陣は入れ替えられ、その後会社はボロボロになってしまうというものです。

結果としてこのような事態に至る可能性もありますが、M&Aは双方にメリットがあるからこそ行われるというのが基本です。日本におけるM&Aのほとんどは、中堅中小企業による事業承継を目的としたM&Aでありますので、その前提で考えます。

まず、会社を売却する側にとっては、後継者のいない会社の引継ぎ手が見つかると同時に、売却した対価を得ることができます。

次に、会社を買う側にとっては、買収する会社の経営資源をスピーディーに獲得するのが目的です。経営資源とは、「技術力」「取引先との関係」などです。いずれにせよ、買収した会社の価値を高めることによって、企業グループ全体としての価値を向上させることが目的であるといえます。買収した会社の経営が悪化することを喜ぶ買い手はいないということですね。

その他、従業員も新たな経営者が出現しそのまま雇用関係が継続されるので、メリットが大きいといえます。取引先や仕入れ先なども、会社が存続することで取引関係が継続されるという点でメリットがあるといえます。

このように、中小企業M&Aでは基本的に全当事者にメリットのある取引であるといえます。

デメリットを挙げるのは難しいですが、強いて挙げるならば、両当事者の目的に沿わないM&Aが実行された場合には、互いにデメリットが出てくることになります。そういったデメリットのある取引とならないように、経験豊富な専門家に問い合わせをしていただくのが重要です。

Q.売却額は自社株式総額になるのですか?

M&A仲介業者の話では、最近、後継者がいないオーナー経営者が自社株式の売却を希望する事例が増えているようです。

要は自社株式を買ってくれる先を探し、会社を売却するのでしょうが、売却(買収)額というのは基本的に、イコール自社株式総額になるのでしょうか?
A.一般回答

自社株式総額と会社の資産価値は当然違いますね。
買収をされるような企業は顧客や技術力など資産価値に反映されない付加価値もあるでしょうから、なんとも言えないような気がしますが。

後継者がいないため確実に手放したいから、その分を値引いて等価になるというのは考えられないこともないですが。

いかがでしょう。

日本M&Aセンターからのコメント

M&Aにおける売買価格の決定に関するご質問かと思います。

実は、M&Aにおいて株価を決定するのはとても難しい作業です。なぜなら、個別の会社の価値は、市場や相場が存在するわけではありませんので、当事者間で決定するしか方法がないためです。

当然ですが、売り手からすると、「M&A後は、こんな発展性がある。」「M&Aによるシナジー効果によって企業価値は必ず上がる。」などといったことを根拠に、なるべく高い金額で売却したいと考えます。
逆に、買い手からすると、「投資額を○年以内に回収できないといけない。」「管理体制を改善するために、M&A後も投資しないといけないので初期投資額は抑えたい。」といったことを根拠に、なるべく低い金額で買収できるように交渉します。

売り手・買い手のそれぞれの立場に立てば、それぞれ違う金額で評価されるのですね。しかし、これでは話がまとまらずに、M&Aが成立しないまま話が無くなってしまいます。

ですので、M&Aの経験豊富なアドバイザーが両者を取り持つ形で、相場観を提示しながら現実的な交渉を進めていくのが極めて重要になります。

Q.買収と子会社化の違いを教えてください。

色々分からないことがありますので、知識のある皆さんの意見をお伺いしたいです。よろしくお願いします。

(1)上場してない会社が上場企業を買収できるか

(2)そもそも、買収とは何か?? 子会社化とは違うのか??

(3)関連会社、子会社に対して、親会社がどれだけ経営に口出しできるか??

以上の3点を是非ご教授していただきたいです。
素人くさい質問でごめんなさい。
A.一般回答

>(1)上場してない会社が上場企業を買収できるか

できますよ。買収できる資金があれば・・・。

>(2)そもそも、買収とは何か?? 子会社化とは違うのか??

通常は、買収=子会社にすることをさします。
株式を1/3以上保有していると、重要事項の否決権があたえられます。
株式を半分以上保有していると、役員を過半数以上選任できるので実質経営権を取れます。
株式を2/3超えて保有していると、完全な経営権を取れます。他の株主によって重要事項の否決権が存在しないためです。
株式を全部取得すると、完全子会社になります。すなわち、株式を2/3を超えて保有すると自分の会社に吸収合併することも可能です。

>(3)関連会社、子会社に対して、親会社がどれだけ経営に口出しできるか??

「子会社」は親会社が株式を半分以上保有しており、過半数以上の役員を送りこむことができます。すなわち、親会社の経営方針を持った役員を過半数以上送りこめますので実質的に支配できます。

「関連会社」とは通常連結対象の会社を指します。通常連結対象となるのは、子会社と親会社が株式を5割以下2割以上保有している会社です。
※株式の割合分だけ連結の対象となります(持ち分だけ連結決算対象)。2割持っていると、売り上げの2割、利益の2割が連結決算対象となります。

株式を2割以下や1/3未満だけ保有している場合は、親会社は経営に口出しできません。ただし、強制的に役員を送りこむ権利は有してないものの、実質的に株主総会で安定株主の関係で支配的な親会社はあります。

日本M&Aセンターからのコメント

(1)上場してない会社が上場企業を買収できるか

上場企業を買収できるだけの資金がありましたら、可能です。
なお、上場会社の株式の一定量以上を買い付ける場合、金融商品取引法における規制があり、公開買付け(TOB)という手続きを踏むことが義務づけられています。

(2)そもそも、買収とは何か?? 子会社化とは違うのか??

買収とは、会社・土地・工場などを買い取ることを言います。特に、会社を買収する場合には企業買収(M&A)という用語が使われることが多いです。

子会社化とは、一般的には、過半数の株式を取得することによって、経営を支配することを指します。

買収には合併や事業譲渡、株式交換・株式移転など様々な方法がありますが、そのうちの一つに「株式を取得することによる子会社化」があるといえます。

(3)関連会社、子会社に対して、親会社がどれだけ経営に口出しできるか??

関連会社・子会社とは一般的には、連結財務諸表を作成するにあたって、連結の対象に含めるべき会社の範囲として使われます。

子会社とは「議決権の過半数を所有している会社」ですが、それ以外の場合でも子会社として扱うべき場合についても連結財務諸表規則において定められています。(例えば、40%の株式を所有しているだけだが、さらにその会社の重要な経営方針を支配する契約が存在する場合など)
関連会社とは、「議決権の20%以上を実質的に所有している会社」ですが、同じくそれ以外でも関連会社とすべきケースがあります。

「関連会社や子会社に対してどれだけ経営に口出しできるか?」というご質問に対しては、所有株式数に応じて、株主総会での議決権が与えられますので、持株比率次第ということになります。株主提案権などは少数株主でも行使することが可能ですが、株主総会の決議を左右できるということになるとやはり過半数の株式を所有している必要があります。

なお、質問からは論点がズレますが、M&Aというと合併をイメージする方が多くいらっしゃいます。実際には、このQ&Aにあるように、株式を取得して子会社化する方法によるM&Aが大多数です。

例えば、大手銀行同士のM&Aでは、支店や部署を統廃合して一つの会社として経営効率を高めることが最も大きな目的ですので、すぐに合併が行われるケースが多いです。しかし、合併は全てを一つにする必要があるので、会社自身も、就業規則や人事考課制度も、サービス内容なども全て一本化しなければならず、急激な変化・痛みを伴います。

このため、株式を取得して子会社化することによって、二つの会社を存続させて、時間をかけながら二つの会社のすり合わせを行っていく方法が一般的です。

※なお、上記回答様の回答につきましては、部分的に正確でない表現が含まれています。実際の判断にご活用される場合には、内容の精査をしていただく必要があります。(例えば、完全子会社とは通常、その発行済株式総数のすべてを他の株式会社に所有されている会社の事をいい、3分の2以上の議決権を有している場合でも完全な支配権を有しているとは言えません。会社法上、少数株主に認められた権利もあり、少数株主の権利を無視して持株数に応じた多数決だけで決定できない事項もあるためです。)

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