中小M&A研究教育センター開設記念シンポジウムを神戸大で開催

広報室だより
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日本の中小企業におけるM&Aを担う産学官の代表者が未来を語りました。日本M&Aセンターホールディングスと神戸大学大学院経営学研究科は、日本初の中小M&Aの研究と教育を推進する「中小M&Aに関する包括的な産学連携推進に関する協定」を締結しました。協定締結に合わせて、2022年9月27日に神戸大学の出光佐三記念六甲台講堂で、中小M&A研究教育センター開設記念シンポジウムを開催しました。オンライン参加も含めて約400名が参加しました。

中小M&A研究教育センターは、2022年4月に神戸大学大学院経営学研究科に設置。中小企業のM&Aを対象とする研究費助成を展開し、若手研究者の育成を後押しします。後期に開講した講義「中小企業M&A」には、350名が履修登録し、学生からの関心の高さも伺えます。神戸大大学院との共同研究などを通じて、学術的な知見を見出すことを目的としています。

中小M&Aをアカデミアで研究する必要性

神戸大学大学院経学研究科長の國部克彦教授は「経営者のライフタイムバリュー最大化のためにも、アントレプレナーシップ(起業家精神)教育はイグジットまで考慮する必要がある」とし、中小M&Aの研究により、経営のイグジットまで学べる環境整備を期待しました。
中小M&A研究教育センター長に就任した忽那憲治教授は、中小企業のM&Aが黒字廃業を救う有効的な手段と指摘し、「企業だけでは研究を進めることは難しいが、研究を本業とする大学が学術的な研究を担うことで、効果検証や最適な方法を見つけ出し、日本の中小企業の存続と持続的な成長に寄与したい」と強調します。

経済だけでなく文化やライフラインに影響

行政機関を代表して中小企業庁財務課長の木村拓也氏も登壇しました。国や自治体の政策でも後継者不在の課題を解消するべく、補助金の新設やガイドライン制定などを整備しています。中小企業庁はM&A支援機関の登録制度を始めています。登録制度と補助金支給を紐づけする制度運用も開始されています。木村氏は「研究によって理論的な背景が固まり、アカデミアの研究成果から、より良いM&Aの在り方を作っていきたい」と述べました。

日本M&Aセンターホールディングスの三宅卓代表取締役社長は、今後想定されている60万社の黒字廃業は、経済が打撃を受けるだけでなく、残すべき匠の技や地域の文化が失われてしまうと警鐘を鳴らします。「シンポジウムで日本の中小M&Aを担う産学官の代表者が集まれたことは大変意義深い」と話しました。シンポジウムでは実際にM&Aで会社を譲り受けた経営者も登壇し、体験談を語りました。

「両利きの経営」からM&Aの成功を考える

シンポジウム後半では、忽那教授をモデレーターに、木村氏とM&A仲介協会の理事5名が、日本の中小M&Aの活性化をテーマにパネルディスカッションで議論を深めました。

組織経営学者チャールズ・A・オライリー氏(スタンフォード大学経営大学院教授)が提唱した「両利きの経営」を題材に、M&Aで既存事業を強化する「知の深化」と、新規事業を開拓する「知の探究」を実現していくか意見が交わされました。パネリストからは「コロナ禍前のM&Aは同業種による既存事業を強化するM&Aが多数派だったが、コロナ禍で特定業種が不振となる不安感から、新規事業を開拓するM&Aが増加している」と分析のほか、「既存事業の強化と新規事業の開拓では求められる人材が違う。M&A後の人材登用をどうするかがPMIの論点となる」とのトレンド報告もありました。

中小M&Aに取り組む産学官の代表者が参加したシンポジウムは、中小企業のM&Aの必要性や社会的意義を再発見する機会になりました。

著者

M&A マガジン編集部

M&A マガジン編集部

日本M&Aセンター

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