[M&A事例]M&Aで変わったこと・変わらないこと

テクノフュージョン 代表取締役 赤尾 隆一 様

譲渡企業情報

  • 社名:
    株式会社テクノフュージョン(愛知県) (1996年創業)
  • 事業内容:
    組込システム開発業
  • 従業員数:
    16名

譲受企業情報

  • 社名:
    株式会社SYSホールディングス(愛知県)(1991年創業)
  • 事業内容:
    システムの開発及びソリューション・サービスの提供を中核とする総合情報サービス事業
  • 従業員数:
    697名

※M&A実行当時の情報

2017年11月M&Aを実行された株式会社テクノフュージョン 代表取締役 赤尾 隆一 様と、株式会社SYSホールディングス 代表取締役 会長兼社長 鈴木 裕紀 様にM&Aの成約から1年経った、現在のご様子について日本M&Aセンター雨森がお伺いしました。

(左)株式会社テクノフュージョン 代表取締役 赤尾 隆一 様 (右)株式会社SYSホールディングス 会長兼社長 鈴木 裕紀 様

(左)株式会社テクノフュージョン 代表取締役 赤尾 隆一 様 (右)株式会社SYSホールディングス 会長兼社長 鈴木 裕紀 様

1年経っても従業員の退職はゼロ

M&Aの成約から1年経ちましたが、現在の会社の状況はいかがでしょうか。

赤尾様: M&Aに伴う組織変更で有限会社から株式会社になり、取締役2名、監査役1名についていただいています。私の業務内容は基本的には変わってないですね。妻が経理と総務を担当していることも変わっていません。業務「量」は増えましたが(笑)。 有限会社の時は自分のペースでしていたことがグループに入ってからは厳格にやっています。経理の適時開示や、中計・長計に対する進捗管理・方策が一番大変ですね。それも1年経ってだいぶ慣れてきました。 従業員は全く変わっていません。退職も未だにゼロです。みなさん淡々としていて、「あ、わりと歓迎してくれたんだ」と思いました。ほとんど動揺はなく、会社規模が大きくなって安定すると感じてくれたようです。特に質問もなかったです。皆今回のM&Aを好意的にとらえてくれていると思っています。

鈴木様:  今回のM&Aは6社目になります。過去の当社のM&A後の事例や今回の方針を説明すると非常に納得していただきました。他のグループ会社でもほとんど退職していません。基本的には「変えない」ので。

鈴木会長のM&A後の経営統合は独特だと伺いました。

株式会社SYSホールディングス 会長兼社長 鈴木 裕紀 様

株式会社SYSホールディングス 会長兼社長 鈴木 裕紀 様

鈴木様:  一般的な社会から見るとかなり変わったやり方かもしれませんが、私は正しいと信じてやっています。 (1)長く続く会社ほど創業者の力が大きいので、創業者を最大限に尊重する。 (2)全役職員を大切にする。 (3)我々の歴史と文化を押しつけない。 ということを心掛けています。会社は「歴史と文化」の上に「技術とサービス」がついています。テクノフュージョンに培われた「技術とサービス」は我々には生み出せないものなので、それを棄損してしまうと我々にとってもマイナスです。最大限にテクノフュージョンがやってきたことを尊重します。 「支配しない」ので、当社の役員は原則子会社の出入禁止です。来ていただくことはウェルカムですが、僕も行きません。

赤尾様: そうですね。実務の打ち合わせで来られることはありますが、役員として来られているという感じではありません。

文化も考え方も別々だから意味がある

鈴木様:  今までの歴史・文化や考え方は強くしてもらって、営業・採用・管理手法は変化させます。私たちのやり方ではなく、テクノフュージョンのやり方として強くなってもらう。一緒にしてしまうのであれば新規採用すればいい。別々にあるから意味があるんです。

明確な方針があり、お互い成長をめざす姿勢が素晴らしいですね。M&Aによってテクノフュージョンでの変化はありましたか。

赤尾様: 既存の取引先は、対応の変化などは特に感じていません。私たちは管理部門ではなく現場の技術者との付き合いが中心なので、影響はないです。 それとは別に、グループの中で紹介をしてもらえるようになったので、今まで訪ねることができなかった会社に行けるようになり、営業ルートが増えました。開発部門へのルートが今まではなかったので、そこへ到達できるのは大きなメリットですね。 社内では、原価管理を見える化できたことにより、利益に対する意識があがりました。 採用も、M&A後に4名採用でき、親会社から出向で1名きています。グループに入って採用ルートが増えたので以前よりハードルが下がりました。

調印式の様子

調印式の様子

鈴木様:  グループでは、会社も増え、社員も増えて今4名に1名が新人です。尋常じゃないと思われるかもしれませんが、私にとっては普通のことです。そういう採用手法をグループ会社に取り入れていただくようアドバイスしています。

教育が大変ではないですか。

鈴木様:  教育も、仕組みがありますので、それをグループ会社で活用していただきたいです。 テクノフュージョンの場合は非常に高い技術分野を手掛けているので、技術に関してはテクノフュージョンで働きながら実務を通じて行う教育訓練をしています。 管理職のみなさんにはグループの研修を受けていただきました。これは衝撃だったと思いますよ。 コンプライアンス教育はグループのカリキュラムをグループ会社に展開しています。統一の研修と、統一ではない研修に分けています。 採用と研修にもかなりのお金をかけています。私たちはめざしているものが高く、小さくまとまる気はありませんので。

インタビュアー:日本M&Aセンター 上席執行役員 西日本事業部長 雨森 良治

インタビュアー:日本M&Aセンター 上席執行役員 西日本事業部長 雨森 良治

M&Aで従業員の活躍の場が広がる

今後の展望についてお聞かせください。

鈴木様:  間違いなく、グループ会社を50社にします。「B/Sが重たくない」「良い技術者がいる」「良い顧客基盤がある」等の条件などをクリアすれば前向きに検討します。 グループ経営をすれば、従業員に準備してあげられるポストが増えます。年功序列は関係なく、能力や意欲のある社員にはどんどん働くフィールドを用意できることは素晴らしいです。すでに3社は前向きな形でグループ内から社長も輩出しています。 もともと当社は女性・外国人・高齢者が多く、今ではダイバーシティなどと言われますが、私にとっては普通のことです。それぞれが「個性」なので、世の中と同じ割合で社内にいたらいいと思っています。 特に、外国人の採用・育成には力を入れていて、離職率も低く、管理職もいます。最初は躊躇してもグループ内で活躍している姿を見ると、強要してなくても自然に増えています。日本での生活支援・技術教育を通じて、会社を拡大しながら日本の文化の維持に貢献したいと思います。 異なる環境・異なる文化の会社がグループに加わっていただくことで人事交流もしやすくなります。子会社に優秀な人材がいれば本体の経営に参画していただくこともあるだろうし多様性が生まれます。

赤尾様: あと5年くらいで後継者を育てたいと思っています。全員がまだプレーヤーなので5年でも足りないくらいです。当社の場合は、後継者不在を解決するためのM&Aというよりは、後継者を育成するためのM&Aだったのかもしれません。しかも鈴木会長からは「自社内から次の社長を出すように」と期待されているのも嬉しく、そこまできっちりやることが私の責任だと思います。

赤尾様からのアドバイス

経営者同士の親和性がとれるのか

M&Aの後、自分はリタイアする場合もある。自分たちの大事な従業員をゆだねていいのか、会って話をすれば分かると思います。

何を大事にするかを明確にすること

100%そのままでいられるわけではありません。 優先順位がついていれば話が進みやすいと思います。

鈴木様からのアドバイス

コミットしたことを裏切らない

約束したことは絶対に守る。譲渡企業も譲受企業もフィフティーフィフティーです。

広報誌「next」 vol.12
next vol.13

M&A成功インタビューは、 日本M&Aセンター広報誌「next vol.13」にも掲載されています。

広報誌「next」バックナンバー

M&A実行年月
2017年11月
日本M&Aセンター担当者コメント

SYSホールディングス様は、強力な営業力、また「文化を保つ」等の独自のPMI手法を活用し、M&Aにて成長されてきた企業様です。一方のテクノフュージョン様は技術力に定評のある企業様で、赤尾社長の「まじめ・誠実な」お人柄の良さにて一致団結されているアットホームな企業様です。 「営業力×技術力」という事業面の相乗効果も期待でき、一方で「社風・文化の親和性」も合致した本件M&Aのお手伝いをさせていただけたことを非常に光栄に思います。 そして、今後のさらなるSYSホールディングスグループの成長・拡大のお手伝いをして参りたいと思います。

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