[M&A事例]初めてのM&AとPMI(統合プロセス)
成功にはプロのアドバイスが不可欠

K・マシン株式会社 代表取締役 菊井 健作 様|K・マシン株式会社 営業開発部 部長 山本 康隆 様

譲渡企業情報

  • 社名:
    株式会社山崎(滋賀県)
  • 事業内容:
    ねじ販売、部品加工
  • 売上高:
    約2億円(2021年10月期)
    従業員数:
    約15名

譲受け企業情報

  • 社名:
    K・マシン株式会社(京都府)
  • 事業内容:
    機械器具販売、部品加工、工場工事、エンジニアリング
  • 売上高:
    約30億円(2022年3月期)
    従業員数:
    約40名

日本M&Aセンターの仲介により、2022年7月に初めてのM&Aで隣接業種の会社を譲り受けたK・マシン株式会社。その後、日本M&Aセンターグループの日本PMIコンサルティングが、PMI(Post Merger Integration:M&A後の統合プロセス)を3か月にわたって支援しました。K・マシン 菊井 健作 代表取締役と営業開発部 山本 康隆 部長に、今回PMIに注力した背景やコンサルティングを受けた効果について伺いました。

PMIコンサルティングによる主なサポート内容

  • PMIの進め方についての総合的なアドバイス
  • 従業員開示サポート
  • 現状分析のための従業員インタビューおよびレポート(報告書)
  • 経営ビジョンの構築 (ミッション・ビジョン/目標/戦略/新組織/計画数値・アクションプラン)
  • 経営方針発表会サポート

両社が幸せになるために 最大限できることをしようと思った

――M&Aをされた経緯を教えてください。

譲受け企業 K・マシン株式会社 菊井様: 私たちK・マシンは京都市に本社を構える機械工具商社です。1938年の創業以来、地元密着型企業として「地域一番店」となるべく、商材を取りそろえ、地域から信頼され選ばれる会社を目指して努力してまいりました。営業所は京都・滋賀に2拠点あり、3拠点目の進出を検討している中で、従業員を転勤させるよりも、M&Aで希望エリアにある会社を譲り受けることで新たな拠点を確保し、業務を拡大していく方法を検討し始めました。

当社がこのたび譲り受けた株式会社山崎(滋賀)は、希望エリアであるとともに、私たちが強化したいと考えていた加工部分の内製化を進められる点が決め手となりました。山崎は、後継者不在と営業力の課題からM&Aを検討しており、譲受けには当社のほかにも複数社が名乗りをあげたそうです。その中から当社を一番に指名してくれたと聞いて、とても嬉しく思いましたし、当社の取り組みに期待してくれていることを知り、背筋が伸びる思いがしましたね。

2022年6月28日 成約式にて|譲渡企業 株式会社山崎 代表取締役 木村 泰三 様|譲受け企業 K・マシン株式会社 代表取締役 菊井 健作 様|(役職はM&A実行当時)

2022年6月28日 成約式にて (前列左から) 譲渡企業 株式会社山崎 代表取締役 木村 泰三 様 譲受け企業 K・マシン株式会社 代表取締役 菊井 健作 様 (役職はM&A実行当時)

――M&A後の統合プロセス(PMI)についてはいつごろから考えていましたか?

菊井様: 紹介から成約までは3ヶ月ほどで、想像以上にスムーズに交渉が進んでいきました。PMIの重要性は認識しつつも、M&A交渉中は具体的に考える余裕がなかったというのが正直なところです。成約後に今後の相手企業へのフォローについて日本M&Aセンターの担当コンサルタントに相談し、日本M&Aセンターグループの日本PMIコンサルティングを紹介してもらいました。

M&Aの成功の定義はさまざまありますが、きちんとシナジーを発揮するのは難しいと聞きます。以前取引先がM&Aで会社を譲渡したのですが、親会社が「あれはやめとけ、これはやめとけ」と急激に経営方針を変えようとしたことで混乱を招き、結果的に主力社員が辞めてしまった話を耳にしたことがあったんです。それではM&Aしたほうも、されたほうも不幸になってしまう。そんなことになるのは避けたいと思っていました。

何より、私たちにとっては今回が初めてのM&A。自己流ではなくプロに入ってもらうことで、最大限両社の幸せのためにできることをしたいと思い、成約から3か月間のコンサルティングサービスをお願いすることに決めました。

K・マシン株式会社 代表取締役 菊井 健作 様

K・マシン株式会社 代表取締役 菊井 健作 様

<PMI スケジュール>
企業概要書(ノンネーム)提案
2022年4月4日
初回TOP面談、工場・オフィス見学
2022年5月14日
基本合意契約の締結
2022年5月30日
最終契約日
2022年6月28日
日本PMIコンサルティングとの業務委託契約
2022年7~10月(3か月間)

――PMIに力を入れるにあたり、体制をどのように整えましたか。

菊井様: 当社側は社長の私と、新規開拓営業を担う部署の責任者である山本をPMI担当に据えました。山本は営業活動の組織化を進める役割を担い、Webマーケティングなど様々な手法を活用してくれています。もともと、山本は社内でも特殊な動きをしていて「一人部署」のような状態。直属の部下もいなかったので、対象企業を「新規の部署」と捉えて任せることで、彼のマネジメント能力を磨いてもらおうと思ったんです。新しい施策を進める力があるので向いていると判断しました。

日本PMIコンサルティングからは担当者として3名ついてもらい、プロジェクトチームを組成することになりました。

譲受け企業 K・マシン 株式会社 山本様: 社長に打診されたときは、貢献できるイメージがいまいちわかず、自分には大役なのではないかと悩みました。ですが、私の性格をよく知る社長がこのポジションに置いてくれたからには、成果を出さなければという気持ちで引き受けることにしました。

K・マシン株式会社 営業開発部 部長 山本 康隆 様

K・マシン株式会社 営業開発部 部長 山本 康隆 様

――具体的にどのような取り組みからスタートしたのでしょうか。

菊井様: コンサルティングをお願いした直後に、私が山崎の従業員に初めて会い、今回のM&Aについて説明する機会を予定していました。日本PMIコンサルティングの担当者からは、今までと何も変わらないことを前向きに伝えることと、「買収」や「M&A」とは言わずに「資本業務提携」と言うようにするなど、従業員の受け止め方に配慮するようアドバイスをもらったので、特に気を付けて臨みました。

山本様: その後、山崎の現状分析のため、日本PMIコンサルティングの担当者によるインタビューが設けられました。山崎の全従業員(正社員・パート)が対象で、M&Aの約2週間後に2日間にわたって実施されました。インタビューの内容は、経営のマネジメント体制や経理、管理のフロー、それぞれの希望する働き方やモチベーションなど非常に多岐にわたり、その内容を報告書にまとめていただきました。

丁寧なインタビューに基づいた報告書は 今でも読み返す指針に

――報告書の出来はいかがでしたか。

菊井様: 期待以上でした。正確、緻密で素晴らしかったです。M&A前には見えていなかった組織の全体像が分かり、今でも何度も読み返しています。驚いたのが、インタビューには担当者が3人も同席したようで、聞き漏らしが全くなかったんですよ。もし私たちがやっていたら、印象に残ったことだけを書き留めてしまっていたかもしれませんし、従業員も気を遣って話しにくい部分もあったと思います。現状分析こそ、第三者にやってもらう意義が大きいと思いましたね。

山本様: 業務の進め方がきれいに整理されているだけでなく、従業員同士の関係性など私たちが本当に聞きたい「本音」をうまく引き出してくれていると感じました。報告書に立ち返ることで、客観的な視点から今後の施策を検討するための材料になりますし、方向性を決めるうえでの指針になっています。

――今後の課題も見えてきましたか?

菊井様: インタビューから見えてきた課題を、重要度(経営へのインパクトの大きさ)と緊急度(対応が必要な緊急度合い)の観点から整理し、優先順位をつけてもらいました。

私のイメージでは、M&Aをしたらまずはトイレや食堂を一新するといったハード面の整備が求められると思っていました。ですが、山崎の従業員にそういうことを望んでいる方はあまりいなかったんです。例えば「早出は残業代がついてない」ことを挙げる方が何名かいました。大きな話ではないかもしれないですが、M&Aをポジティブな変化として感じていただくには、従業員が本当に望んでいることから着手することが必要ですので、ソフト面に重きを置くことにしました。

ビジョンを共有する機会を設けたことで 従業員の意識の変化を感じられた

――その後、ビジョンを共有する経営方針発表会を開いたのですね。

菊井様: そもそも、会社の経営ビジョンを新たにつくって全員に向けて発表するという発想が私たちにはなかったんです。「こんなことは言わなくてもわかっているだろう」と思っていましたし、何かあると個別に「この人にはこう対応しよう」と考えてしまうんです。

ですが、従業員は「会社としての今後の具体的な方針を気にしている」と日本PMIコンサルティングの担当者から指摘をされてハッとしました。これまでは、社内方針の発表などはほとんどしていなかったので、どんな内容を盛り込むべきか相談し、当日は、ビジョンや行動指針、今度の方針をお伝えしました。

山本様: 発表した時に従業員から自発的に意見が出て、自社に向き合う意識の変化を感じましたね。こちらから歩み寄る姿勢を見せることで「自分の想いも聞いてもらえる」と認識してもらえてよかったと思います。

コンサルタントと伴走し、 未来につながる取り組みができた

――日本PMIコンサルティングの担当者の印象はいかがでしたか。

山本様: オンラインでの定例の打ち合わせのほか、電話や対面で随時やりとりをしていました。担当の相良さんは、親身になって私たちの想いに寄り添いながらも、PMI成功のセオリーや他社事例も踏まえて客観的なアドバイスをしてくださいました。

私はPMI担当に任命されたものの、どこから手を付けていいのかがわからないまま時間だけが経ってしまい、気持ちにかなり焦りもあって。現場では自分なりのやり方でやっていくしかないとは思いつつ、プロに入ってもらうなら、私が出すぎない方がいいのかという葛藤もあったんです。

相良さんに相談したところ、順序立てて現状を分析し、長期的な視点で今なにをすべきかを提示してくれました。頭の中が整理されて気持ちに踏ん切りがつきましたし、落ち着いて一つ一つのことに向き合えるようになりました。一番大事な時期に、単なる「思い付き」ではない、未来につながる有効な取り組みができたように思います。

菊井様: 相良さんは、非常にうなずくのが上手なんですよ(笑)私が経営方針発表会で登壇していた時も、よく見える席で大きくうなずいてくれたので安心しましたね。そんなふうに、私たちの心情を察してコミュニケーションをとってくださる方です。

数字にも強く、決算書を細かく分析してくれたのもよかったですね。色々な会社を見ているからこそ、私たちが気づかない問題点をあぶりだしてくれたのだと思います。

M&Aによる退職者はゼロ プロに頼んだおかげで糸口を見つけられた

――最後に、自社のM&Aや統合プロセスを振り返ってひとことお願いいたします。

菊井様: 初めてM&Aをしてみて「会社が違えばこんなにも世界が違うのか」と改めて実感しました。とはいえ、自力で会社の風土や文化をつかみにいくのには限界がありますから、PMI専門のコンサルティングサービスにお世話になるというのは非常に値打ちがあったと感じます。

M&Aは成約して終わりではなく、ここからが本当のスタートです。今回、プロにPMIのコンサルティングをお願いしたことで、最初の段階で最高の「お膳立て」をしていただきました。おかげさまで、M&Aによる退職者も出ていません。私たちだけでは、ここまで深く入り込む糸口を見つけられていなかったと思います。

PMIのコンサルティングサービスが終了した今も、週に2回ほど山崎に訪問して、元社長(顧問)と経理やシステムの導入などを相談し、生産性向上に向けた施策を推進しています。従業員の待遇もよりよくしていくために、抽出した課題の解決と、組織体制の整備をしていく予定です。両社にとって一番いい形を探りながら、さらなる発展を目指していきます。

日本PMIコンサルティング担当者コメント

株式会社日本PMIコンサルティング  相良 大介 (日本M&Aセンターグループ)

株式会社日本PMIコンサルティング  相良 大介(日本M&Aセンターグループ)

本案件を担当させていただくにあたり「5年後に成功だったと胸を張っていただけること」を目指しました。そのために、どの事業をどのように伸ばすかを決めていくための情報と、決めた戦略を実際に山崎の従業員の皆様に取り組んでいただくための下地作りが必要という考えのもと、3か月間のPMIコンサルティングに取り組ませていただきました。 今後の両社のご発展を心より祈念しております。

※役職は取材時

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