[M&A事例]Vol.143 静岡で有名なお弁当チェーン「どんどん」が投資会社の支援を受け取り組む新たな挑戦
東京都で中小企業投資・経営支援事業などを行うunlock.ly(アンロックリー)の三島 徹平社長に、M&Aの経緯とハンズオン支援のポイントを伺いました。
譲受け企業情報
なごやホールディングスは、2017年に設立され、東海地方で事業承継に悩んでいる会社をM&Aによって引き受け、グループ経営を通じて、引受先の「企業化」を、そしてその先の「老舗化」をサポートしている会社です。なごやホールディングスの林 秀和社長と、同社のPMIに携わっている日本PMIコンサルティングの佐古 光マネージャーに、PMIで大切にしていることについてお話をうかがいました。(取材日:2024年1月17日)※広報誌「MAVITA」Vol.3(2024年3月発刊)より転載
日本PMIコンサルティングによる主なサポート内容
――なごやホールディングスは東海地方で中小企業の事業承継支援を行っている会社ですね。
譲受け企業 なごやホールディングス 林様: はい。事業承継に悩んでいる会社を当社が引き受けたうえで、組織の体制を整え、100年続くような持続可能な企業へとしていくことが私たちの目指していることです。中小企業の中には、オーナーが経営のいっさいを切り盛りする「家業」の状態に留まっている会社が多くあります。でもこれでは、オーナーが去れば会社は存続できません。そこで私たちは「家業から企業へ そして老舗へ」を企業理念に掲げ、主に経営管理の部分に手を加えることで、「家業」だった会社を「企業」にしていくお手伝いをしています。
具体的にはこれまで、ぬし与仏壇店や中村石材店、内職のFC事業を展開している内職市場、主に学校の教育旅行を取り扱っている旅行会社の中部キャラバンといった会社を引き受けました。これらの会社が属している業種は既に成熟期から衰退期にありますが、会社の体制を整え磨き上げていけば、今後もまだまだ成長の余地があると判断しました。
――引き受ける会社を選ぶ際に、重視していることは何でしょうか。
林様: もちろん会社の経営状態もしっかりと見ますが、特に大切にしているのはオーナー様の会社への愛情ですね。私はオーナー様との関係は、むしろM&A後から始まると思っています。その会社のことを最もご存知なのはオーナー様です。オーナー様が会社に愛情を持ち、引受後も何かと手助けしていただけることが成功のカギだと考えています。
――PMIについては、どのように考えていますか。
林様:非常に重要だと思います。極論を言えば、成約までは条件面さえ折り合えば誰でもできます。問題はそこから先です。失敗すれば企業として存続できないですからね。 世の中に一つとして同じ会社はありません。その会社に合わせたPMIがその都度必要になります。当社が日本PMIコンサルティングの佐古さんにコンサルをお願いしているのも、PMIに関する経験が私たち以上に豊富だからです。
――会社を引き受けたあとは、いつも何をすることから始めていますか。
林様:まずは従業員の方々に私たちのことを信頼してもらわないことには何も始まりません。従業員は当然最初のうちは、自らの雇用に対する不安から私たちに対して警戒心を抱いています。そこで中村石材店や内職市場のときもそうでしたが、最初の100日は週3日、4日は必ず会社に足を運び、できるだけ多くの従業員に声をかけ、「今度のトップは、悪 い人ではなさそうだ」と思ってもらえるようになることを心がけています。
佐古:この時期に、私と林社長でそれぞれ5人から10人程度のキーパーソンの従業員へのインタビューを行いました。会社に対して抱いている不満や不安、社内の雰囲気や人間関係、業務の流れなどを把握するのが目的です。
林様:インタビュー後には、2人で結果を持ち寄って、会社の状況や課題、優先的に取り組むべきことについての答え合わせなどの仮説検証を行いました。 また佐古さんからは、社内インタビューの成果物として「組織相関図」を作成していただきました。インタビューから浮き彫りになった従業員の役割、業務上での関係性と社内の課題を照らし合わせながら、取り組むべき優先順位や難易度対効果について佐古さんと議論を深めました。
――インタビューを通じて現状を把握・分析したうえで、次に経営方針を作成するという順番でしょうか。
林様:そうです。ただし経営方針も、こちらが作ったものを一方的に押しつけてしまったら、従業員は意欲をなくしてしまいます。もちろん方向性はなごやホールディングスで定めますが、方針決定のプロセスの中に、従業員の方々にも参加してもらってディスカッションを行う機会を設けるようにしています。
例えば内職市場の時には、従業員への方針発表のプレゼンは、私ではなく、当社引受前からの社長にやっていただきました。「新しい会社を作っていく主役は、なごやホールディングスではなく皆さん自身ですよ」というメッセージを発信したかったからです。
我々はあくまでグループ入りした会社の「企業化」をサポートするという立場だと考えています。これまであった経営課題に対し、部門別予実管理システムの「設計」をし、既存スタッフと共に「導入」を行う。そして実績会議を毎月開催することによる「定着化」で、定性、定量的な改善活動を行っています。
中小企業では、長年の経験に基づく「勘」による意思決定や売価設定が多く存在します。結果として今までは良かったかもしれませんが、変化のスピードの速い昨今においては、データに基づく根拠を数字で表して判断していかなければなりません。グループ各社において、重要な指標となる数字は違いますが、PMIを通じて各社で必要な管理指標を定義し、数字を根拠に議論を行うといった姿勢を少しずつ浸透させています。その結果、粗利率が向上し、グループ企業間での交流が活発になり経営シナジーが得られています。
そうした大企業では当たり前のように行われていることを中小企業でも当たり前のように出来るようになるだけで、まだまだ良くなる企業は世の中にたくさんあると思います。
――最後に事業に対する思いをお聞かせください。
林様:当社が東海地方の中小企業を対象に事業支援を行っているのは、名古屋に根ざして発足した会社としてこの地域に強い愛着があり、地域の課題は地域で解決したいと考えているからです。この思いは、今後もきっと変わることはありません。当社は、事業支援を行った会社の皆様から「なごやさん」と呼ばれることが多いのですが、皆様からかけられる言葉で一番うれしいのは、「なごやさんに来てもらって良かった」と言っていただけるときです。 これからも東海地方のさまざまな企業の事業承継のお手伝いをすることで、皆様に喜んでいただくとともに、地域を元気にしていきたいと考えています。
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株式会社日本PMIコンサルティング 佐古 光 (なごやホールディングス株式会社担当)
なごやホールディングス様とは複数社ご一緒しておりますが、1つとして同じPMIはありませんでした。お相手の従業員や規模、業態に合わせた柔軟なアプローチをされており、その中でも、譲り渡し企業への配慮とリーダーシップの使い分け、従業員に分かりやすいビジョンと定量的な目標設定、そして、実現するための組織設計が成功の秘訣だと感じています。
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