勢いのある譲渡先と一緒に成長していける道筋が見えた

譲渡企業情報
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- 社名:
- 株式会社タンバック(東京都)
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- 事業内容:
- 産業用ボードコンピュータ設計製造
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- 売上高:
- 約2.3億円
- 従業員数:
- 16名
譲受企業情報
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- 社名:
- エブレン株式会社(東京都)
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- 事業内容:
- 産業用コンピュータバックプレーン製造
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- 売上高:
- 約50億円
- 従業員数:
- 110名
※M&A実行当時の情報
2011年6月、当社がお手伝いしてM&Aを実行された2社、タンバックの竹下様とエブレンの上村様をお迎えし、M&Aを決意された理由や当時の心境などをお聞きしました。
竹下様、株式会社タンバックのご紹介と、M&Aを検討した経緯をお教え下さい
竹下様: タンバックは、産業用ボードコンピューターの設計・製造をファブレスで行う開発型企業です。業界内では数少ない独立系で、高い技術力を背景にお客様にも恵まれてきました。
私は現在64歳で、数年前から会社を次世代に承継することを考えるようになりました。しかし息子は大手電機メーカーに勤務しており、業界も異なるため後継者として会社を継ぐ意思はありません。幹部社員を社長に登用することも考えましたが、会社を運営していくには金融機関からの資金調達が必要であり、その個人保証や担保などが求められます。社員に会社の借金を被せるわけにはいかないという思いがあり、逡巡する日が続きました。 さらに、経済環境が悪化したときには、受注がストップしてしまいます。リーマンショックのような景気の悪化は、何度も乗り越えるのは単独では難しいのではないか、と感じるようになりました。
そこで、「後継者問題の解決」と「さらなる会社の発展の実現」を同時に目指すため、選択肢の一つとしてM&Aを考えてみることにしました。 いろいろと調べて、日本M&Aセンターが開催している「経営者のためのM&Aセミナー」に参加してみることにしました。それが、2010年9月終わりのことです。
上村様、エブレン株式会社のご紹介とタンバック様を譲受けた経緯をお教え下さい
竹下様: エブレンは、産業用コンピューターの回路基盤を収納する筐体(バックプレーン)の製造・開発を手掛けています。この分野では、日本シェアNo.1になりました。これまでも積極的に事業を拡大してきましたが、さらなる成長を目指しています。 今、「通信速度の高速化」が追求されており、技術革新が目まぐるしく進んでいます。この”超高速通信”に耐えうる回路を作らなければなりません。そのためには、自社内にマザーボード技術を取り込んでの回路技術開発は避けて通れないと思っていました。ですので、技術獲得のためのいい方法はないものか、という思いは以前からありました。そんなとき、業界でも有数の技術力を持つタンバック社譲受の話をいただいて、驚くと同時に大変興味を持ちました。
その理由は、短期的にも長期的にも事業シナジーを見込めると直感したからです。まず短期的には、タンバック社とお客様が共通しているため、すぐにコスト面・サプライチェーン面で効果が出るであろうことです。エブレンの回路基盤や筐体にあらかじめタンバック社のボードコンピューターを実装した上で納品できれば、お客様が求める完成品により近い、「モジュール」としてご提供できるようになります。そうすれば、ワンストップソリューションで、よりメリットを感じていただけるようになると思います。
長期的には、タンバック社が前述した通信回路の技術開発の、橋頭堡になってくれることです。タンバック社の技術が、エブレンのコンピューターバックプレーンの回路開発に大いに役立ってくれるでしょう。
竹下様、エブレン様との提携を決意された理由を教えてください
竹下様: 独立系の同業者は少なく、ほとんどがすでにどこかの大手企業のグループに入っている会社ばかりです。独立系を保ってきたタンバックが、そうした大手企業グループに入ってしまうのも少し寂しい気はしていました。
日本M&Aセンターの担当者から初期段階は周辺業種も含めて広く候補を探した方がいいとアドバイスを受け、少し広めにお相手候補を探していただきました。エブレン社が当社に興味を示してくれているとの回答があったとき、「あのエブレン社が」と思いましたが、よくよく考えてみると、シナジーが高いと気づきました。
エブレンさんと当社の顧客は共通しますし、エブレンさんは優良な顧客を多くお持ちです。上村社長と同じく、共通のお客様に完成品を提供できるようになることは大変な強みになる、と思いました。
エブレン社を通じてタンバックのボード製品を提供できるようになれば、タンバックにとっても大きなメリットです。
現状はどうですか?
上村様: タンバック社は今も引き続き以前のままの体制で運営しています。技術開発は人が資産です。エブレンのもとでがんばっていこうと思ってもらえなければ、グループ化する意味がありません。しかし私の心配をよそに、現場では技術を通して人材交流も進み、徐々に融和が進んでいるようです。
竹下様: 勢いのあるエブレンさんと一緒に、タンバックも成長していける道筋が見えたことで、創業者としてほっとしています。タンバックが持つ高い技術は、一朝一夕で醸成されたものではありません。技術専門学校でも、最先端技術は学べません。タンバックのように、長年研究開発をしながらものづくりをしている「現場の技術者」が最新の技術やノウハウを持っているのです。 これからエブレンさんが目指す企業に成長していく過程で、こうした当社の人材・技術・ノウハウが果たす役割は大きいと考えています。従業員たちがこれからも引き続き活躍できる場を広げられたことも、経営者として嬉しく思います。
- M&A実行年月
- 2011年6月