[M&A事例]Vol.144 創業2期目のスタートアップ企業が更なる成長実現のため譲渡。ジャフコグループと共に短期間でIPOを実現
創業2期目にして成長を加速させるべく、日本を代表するベンチャーキャピタルへのグループインを選択し、IPOを実現したAVILENの成長戦略を伺いました。
譲受企業情報
※M&A実行当時の情報
映像&IT事業とロボティクス事業を基盤に、教育、安全・生活、医療、FA(Factory Automation)の4つの市場で製品を提供するテクノホライゾン株式会社。高品質で価値ある製品を生み出すために、さまざまな企業とM&Aで手を結びグループとして成長を続けています。今回、市川ソフトラボラトリーをお相手に選ばれた理由と、グループ間で最大限シナジー効果を生み出す仕組みづくりについて野村拡伸社長にお聞きしました。
自分の事業をさらに世の中で活かしていきたいとするなら、M&Aは1つの有効な手段だといえます。市川ソフトラボラトリーもM&Aをしてから、すごく変わりました。 それまで研究開発型企業だったからか、同社は市川社長が1人で会社を引っ張って、他の社員たちは仲間のような感覚でそれをサポートする部分があるように見受けられました。 ところが、M&Aによって市川社長が経営の一線から離れたことで、いい意味で社員たちが吹っ切れて、社員一人ひとりの自立とパワーアップに繋がったと思っています。
市川社長にお会いして感じたことは、自分と発想が似ているなということでした。1つの問題意識から連想を広げていく。そういう思考の道筋が同じような気がしたのです。だから、商品のラインナップも似ているのかもしれないとも思いました。 もちろん、別に発想が似ていなくてもM&Aには支障はありませんが、譲り受けた後、多少はやりやすくなるとは思います。
市川ソフトラボラトリーの社員たちにM&Aを発表したのは7月頭でした。すぐに私は全員と1対1の面談をしました。といっても難しい話をしたわけではありません。趣味の話などをして、まず私を信頼してもらおうとしたのです。今後の会社の方針や向かっていく方向は、おいおい決めていこうと話し、ともかく社員たちの心配を払拭しておきたかったのです。
市川ソフトラボラトリーをぜひ譲り受けたいと私が考えたのは、1つはその技術力の高さでした。そして、なにより教育分野での市場と商品開発の経験です。ここは当社にはない分野でした。加えて、ハード屋である当社にとって、コンシュマー向けのソフトウェアの開発とパッケージ販売をされていたことも魅力だったのです。 同社も自分たちの技術とのシナジー効果を期待していたし、当社もグループに迎え入れることで互いに相乗効果を生み発展していくことを望んでいました。これも決め手になりました。
お互いにシナジーをどう作っていくのか。それには無理矢理にでも当社主催の展示会に参加してもらうことが一番です。たとえ準備期間が少なくても、多少強引に参加すると決めればM&Aをプラスにしようと気持ちにスイッチが入ります。その結果、製品ブースを出せば、グループの各企業が “本気で入ってきたな”と認めてくれるのです。展示会は、新しくグループに加入した企業にとっては、その意思表示の場でもあるのです。 そうすると、グループ企業経由でいろんな仕事がきます。それが上手くまわっていけば、いくらでもシナジー効果が生まれます。
まずは、実際に始めることです。市川ソフトラボラトリーは、3カ月という短期間で4ブースも出展しました。これは同社の技術力の現れだと思います。今後、互いにどんないい影響を与え合っていけるのか楽しみです。
私は、自分の役目はリミッターを外すことと考えています。 市川ソフトラボラトリーに限らず、あくまで経営資源の範囲内で次の新しい展開を考えるというのが普通です。資金や人の制約で、たとえば販売の全国展開をしようと思っても人脈がなくてできなかったり、新しい開発をするにも資金不足でやれなかったり。そうした、“やりたくてもやれない”という限界を壊していくこと。それが私の役目だと思うのです。 そのためには、会社や経営者自身に変わりたいと思ってもらわないといけない。それには、グループに入ってワクワクしてもらう、なにか面白いことが起きそうだと思ってもらうしかありません。 その意味で、人に対して、会社に対しても、いい影響を与えていくことが私自身のテーマと言えるかもしれません。それには自分も常に変化していくしかないと思っています。
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55歳、経営者としてもまだこれからの年齢で、後継者不在の課題を抱えながら、自社単独ではなくM&Aによる成長を決断。M&A後の変化を伺いました。
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