[M&A事例]Vol.145 地元優良企業の経営危機。初M&Aで譲受けを決めた経営者の決断
北海道全域で道路の舗装工事を行う道路建設は、当初掲げていた条件とは異なる企業を譲り受けます。M&Aから1年たった今、決断の背景と現在の状況を伺いました。
譲渡企業情報
譲受企業情報
※M&A実行当時の情報
当社がお手伝いをして2017年にM&Aを実行された株式会社塚本工務店 塚本雅徳前代表にM&Aを決意された経緯や心境、現在の様子などをお聞きしました。
塚本様: 塚本工務店は、神奈川県小田原市で、土木工事・建築営繕工事・リフォームを行う会社です。私の母と私の二人で1978年に創業しました。「見たら10年、触ったら20年」という経営理念のもと、年次を問わずプロ意識を持ってお客様に接することを徹底して指導し、仕事を獲得してきました。
“子供が社会人になるまでは”と経営に奮闘した日々
塚本様: 「他社任せにせず自社でできる範囲をやる」「お客様の困り事には即座に応える」というポリシーで創業以来会社は大きくなっていきました。誰よりも率先して仕事に取り組んでこその社長だと思っていたので、がむしゃらに働きましたね。その裏には「子供たちが社会人になるまでは頑張ろう」という想いがありました。 4人子供がいるんですが、彼らに後を継がせる気は全くありませんでした。家族の時間に仕事の話はしなかったし、息子たちに社長としての背中を見せたこともありません。子供たちには「自分の力でやっていく人生を歩んでほしい」と思っていましたから。
次世代を担う社員のために、長く続く会社にしなければと思うように
塚本様: 当社は勤続年数が10年以上の人が多く、人を増やすことよりも長く続けてもらうことに重点を置いてきました。そのため社員も創業時から一緒にやってきた50~60代の人が多いんですよ。となると、社員への承継も年齢的に難しい。 ある時、大卒の社員が入社することになって。その時に考え方が変わりましたね。優秀で次世代を担う人材が入社してくれたからには、会社を自分の代で終わらせてはいけない―その社員の一生懸命な姿を見るにつれ、もっと長く続く会社にしなければならないと思うようになりました。
“自社の規模でもM&Aができるんだ”という気付き
塚本様: 野村證券の営業さんから聞いたのが全ての始まりです。「事業承継でお困りならM&Aを知っていますか?」と言われて「我が社のような小さな会社は売れるわけがない、M&Aはもっと大きな会社がやることだろう」と返したのを覚えています。当時は本当に、そう思っていましたね。 そして野村證券からの紹介で日本M&Aセンターの松田さんにお会いしたんです。その時に様々な事例の話をしていただいて、初めて「自分の会社の規模でもM&Aができるんだ」と実感しました。
成長している今こそ、良いタイミング
塚本様: M&Aの話を聞いたとき、会社は成長しているときでした。自分としては、子供たちも無事社会人になり会社が成長している今こそ、他の会社に譲り渡すよいタイミングだと思うことができました。当時、妻は会社の今後がどうなるのかという不安でいっぱいだったそうです。松田さんから「セミナーもありますから奥様もご一緒に参加されてはどうですか?」と提案を受け、妻とともに参加しました。私も妻も、話を聞けば聞くほど「今がM&Aのタイミングだ」と思えましたね。
想像とは異なる 買い手企業の“ぐっときた”言葉
塚本様: アートクレーンの山口社長は、「なぜ塚本工務店が欲しいのか」をしっかり説明してくれました。先入観で、M&Aの買収先は上から目線な態度なのかなと思っていたんですが、実際は正反対でした。 「両社が一緒になることで成長できます、夢を現実にするために塚本工務店の力が必要です」と言われ、ぐっときましたね。当社の仕事は公共工事も多いので、アートクレーンさんと組めば造成工事の仕事も広がる―両社で描く成長路線がすんなり理解できました。
広がる仕事が現場の活気につながる
塚本様: アートクレーンからの造成工事の仕事が増えているため、現場の仕事量が増え、活気につながっています。今までは営業マンがおらず、私一人で営業をしていたのですが、アートクレーンには多くの営業マンがいるので、心強く感じています。 “M&Aで一緒になった”だけでは成長にはなりません。成長のために両社が協力し合い、お客様に「地盤改良工事」と「その前工程の造成工事」のワンストップサービスを具体的に提案していかなくては、という良い意味でのプレッシャーや責任感はこれまでにはないものです。ただ、これまでの「この先5年後、10年後、会社や社員をどうする?」という後ろ向きな悩みは解決されましたから。今感じている前向きなプレッシャーに正面から向き合っていける環境ができたのは幸せなことですよね。
M&A成功インタビューは、 日本M&Aセンター広報誌「M&A vol.52」にも掲載されています。
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松田 敏矢
塚本社長は技術の内製に誇りを持つ現場主義者でありながら、社員を家族のように大切にしていらっしゃいました。社員の未来を真剣に考えてきた塚本様だからこそ、“会社が成長している今が一番のタイミング”という決断ができたのではないでしょうか。社員発表の場で「自分も社員も元気なうちに未来のことを考えなくてはならない」とおっしゃった塚本様の言葉はとても重く、自分の胸に残っています。ご両社の今後益々のご繁栄をお祈りしております。