[M&A事例]Vol.147 M&Aで10社を束ねるグループ企業に。成長の原点となったのは1社目のPMI
菓子・珍味の製造販売を行う譲受け企業はM&Aで成長を加速させ海外進出も果たしました。成長にドライブをかける原点となった1社目のPMI成功について伺いました。
譲渡企業情報
譲受企業情報
※M&A実行当時の情報
2014年5月、日本M&Aセンターがお手伝いしM&Aを実行された両社の代表 山田様(億万両本舗和作社)と、福井様(中日本氷糖社)をお迎えし、M&Aを決意された理由や当時の心境など伺いました。
山田様: 億万両本舗和作は、1977年に横浜市で創業し、饅頭やどら焼き、羊羹などの和菓子の製造・小売を行っています。
私は東京の製菓会社で1年間、横浜市で3店舗の和菓子屋を展開していた兄のもとで12年間勤めた後、和菓子界の巨匠である高山石雄氏の一番弟子として指導を受け、独立開業しました。「美味しく且つ色彩に拘った、銀座でも売れる和菓子のダイヤモンドを目指す。」を理念に、原料は国産にこだわり、神奈川県指定銘菓でもある看板商品「億万両最中」のほか、「夢桜」や「いちご桜餅」などのオリジナル商品を生み出してきました。
「夢桜」は、テレビ東京系列「TVチャンピオン」の400回記念「和菓子職人チャンピオン大会」で優勝を獲得した際の代表作品でもあります。
業績は堅調に推移していましたが、二人三脚で経営してきた妻が体調を崩したことを機に、事業承継について真剣に考えるようになりました。社内にいる2人の娘は会社を継ぐ意思がなく、知り合いに日本M&Aセンターを紹介してもらって、M&Aによる第三者への承継を検討することにしました。
福井様: 中日本氷糖は、1895年(明治28年)に創業した砂糖の精製を営む会社で、主要製品である氷砂糖は日本一のシェアを誇っています。この「馬印」ブランドの氷砂糖は、お客様から一世紀以上にわたりご愛顧いただいており、2012年には愛知県から「愛知ブランド企業」に認定されました。
しかし、氷砂糖は主な用途が梅酒等の果実酒であるため、果実の収穫量に売上が左右されるほか、梅酒を製造する夏に注文が集中するという季節変動性があります。そのうえ氷砂糖の市場規模は縮小傾向にあるため、周辺業種へ進出して、収益性の安定化とさらなる成長を図りたいと考えていました。
具体的には、2011年に当社がM&Aによってグループ会社化したメイホウ食品の、大手コンビニチェーンへの販路を活かせるような商品を持つ会社があればと考えていたところ、これまでも何度かご提案を頂いていた日本M&Aセンターの橋本さんから、強いブランド力を持つ億万両本舗和作社のお話を伺い、ぜひとも譲り受けたいとお伝えしました。
山田様: 日本M&Aセンターの担当の三上さんに、数十社のお相手とマッチングしていただきました。始めは「同業に譲りたい」と考えていました。しかし「技術や職人などの同じような強みを持つ同業よりも、販売力など違う強みを持つ企業の方が相乗効果があるのでは」という三上さんのアドバイスを受け、業種にこだわらず幅広くマッチングしていただいた結果、当社の技術を評価してくれた異業種の2社との面談を進めることとなりました。
最終的に中日本氷糖社に決めた最大の理由は、シナジーが明確だったからです。実は2014年2月に、テレビ局とコンビニチェーンの共同企画で、当社の製品を全国のコンビニで販売しました。この経験から、コンビニをはじめ多くの販路を持つ中日本氷糖社との提携は大きな相乗効果が生まれると感じました。製品には自信がありますし、生産能力にも余裕がありますが、販売力や営業力を課題としていましたから、中日本氷糖社と組むことでさらなる発展につながると確信し、決断しました。
山田様: 従業員も全員継続雇用となり、私は経営から退くこととなりました。社長としての肩の荷が下り、現在は技術者として製造に携わっています。やはり私は和菓子作りが好きなので、今後も5年、10年と億万両本舗和作の和菓子を作り続け、世に広めていきたいと思います。
福井様: 現在は、山田様からの伝統技術の引継ぎに取り組み始めたところです。また新たに、億万両本舗和作社の和菓子のインターネット販売をスタートし、さっそくご好評をいただいております。私は、後継者がいないことによって伝統ある和菓子の技術が次の世代に伝承されないのは、非常にもったいないことだと考えています。山田社長の技術を受け継ぎ、より多くの人に美味しい和菓子を幅広くご提供できればと思っています。
M&A成功インタビューは、 日本M&Aセンター広報誌「M&A vol.37」にも掲載されています。
菓子・珍味の製造販売を行う譲受け企業はM&Aで成長を加速させ海外進出も果たしました。成長にドライブをかける原点となった1社目のPMI成功について伺いました。
ジェネリック医薬品の卸売業を営む八戸東和薬品は、異業種のきちみ製麺を譲受けました。約2年経った現在話を伺いました。
120年以上温麺の製造を行う「きちみ製麺」が譲渡先に選んだのは、ジェネリック医薬品の卸売業の会社でした。成約から約2年経った現在について伺いました。
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「自分でもできる?」「従業員にどう言えば?」 そんな不安があるのは当たり前です。お気軽にご相談ください。
金融法人部 M&Aアドバイザー 三上 隆史
「TVチャンピオン優勝」と言う素晴らしい実績をお持ちの山田社長の技術を、次世代に承継していくお手伝いができ、私も非常に嬉しく思います。 売主様の「技術力」と買主様の「販売力」が大きな相乗効果を発揮できる良い組み合わせであると思いますので、今後の益々のご発展を祈念いたしております。
金融法人部 課長 橋本 崇
和菓子と言えど、消費者の嗜好に合わせて、商品は日々進化しています。今回お手伝いさせていただいたこの良縁をもとに、将来、創作和菓子がより身近なものとなり、全国のコンビニやカフェで気軽に買えるようになる日が来ることを心待ちにしております。