カーブアウトとは
カーブアウトとは、事業が多角化している企業においてコア事業(企業内で中心となる利益を生み出すことができる中核事業)を明確にし経営資源を集中的に投下するために、ノンコア事業(非中核事業)に位置づけられた事業・小会社を売却する手法を指します。
企業価値の向上を実現するためには、各事業・小会社の状況を継続的にモニタリングし、バランスのとれた事業ポートフォリオを再構築し、経営効率を高めることが求められます。これらをおろそかにし、ノンコア事業の見直しが進まない状況が続くと以下のような問題を引き起こすことにつながります。
ノンコア事業(非中核事業)を抱え続けることによる問題
- 戦略事業に集中投下すべき資金、役職員の時間、その他経営資源を無駄に投下し続ける
- ノンコア事業が低い収益性、赤字の場合、戦略事業の黒字を打ち消し、グループ価値が低下する
- ノンコア事業に十分な手当が行われず、事業関係者に不満が募り、労働意欲が低下する
- 上記が長く続くと、コンプライアンス違反や事故等、問題が起こりやすい職場環境になりかねない
これらの問題を避けるためには、黒字、成長中の事業も例外とせず、将来を見据えて戦略的に事業分離を検討することが必要となります。事業価値の毀損が大きく進行する前に、相応しい相手先への譲渡を決断することが重要です。
譲渡の実行には専門家の助言・作業支援を受けながら、売却実行に伴う課題と対応方針を整理し、適切なプロセスの運営の下に、相手先との交渉、対象事業関係者への説明、および実行後の事業引き継ぎをスムーズに進めることが求められます。
カーブアウトを行うメリット
カーブアウトを行う売り手企業側のメリット
- 不採算事業を切り離して自社の重要な事業に資源を集中させることができる。
- 自社内の有望な事業をカーブアウトして出資者を募れば、多くの資金を集めて自社事業の一部門にとどめるより大きく成長させることができる。
- 切り離しを行った事業に対して新たに出資して新会社を立ち上げ、成長が実現すれば売り手企業自身の企業価値も大きく向上する。
カーブアウトされる事業・子会社側のメリット
- 買い手企業のもとで新たな資本や人材を獲得し、外部からもファンドなどの経営資源が得られる。
- スピード感のある意思決定ができるようになるため、成長が期待できる。
カーブアウトに関する当社のサービス内容・流れ
カーブアウト(事業・子会社の売却)に向け、方針整備からM&Aの成立に至るまで、適切なプロセス管理と各種専門的なサービスの提供を行います。また、業界No.1の弊社ネットワークを駆使し、相応しい候補企業を選定の上、弊社で直接アプローチし、ニーズ確認や条件交渉サポートを行います。
その他にも、買収監査の受入準備、必要書類草案作成等、各種必要手続きに関する助言・支援を行います。
カーブアウト支援に関する当社の強み
経験・実績豊富な専門チームがサポート
日本M&Aセンターには、弁護士・公認会計士・税理士・司法書士などの有資格者が社員として所属しています。社内に専門家を抱えることで、お客様特有の事情への配慮やスピーディなサポートを可能にしています。
国内最大級のM&A情報ネットワーク
全国1,031の会計事務所、316行庫の地域金融機関、商工会議所や大手証券会社と提携し全国のM&A情報が集約されるデータベースを構築。国内最大級の情報プラットフォームで、M&Aの最適なマッチングを実現させます。
コンサルタント紹介
カーブアウトに関するコラム・インタビュー
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事業売却とは?会社売却との違い、メリット・デメリットを解説
カーブアウト企業が不採算部門を整理し、主力事業へ経営資源を集中するなど、事業戦略の見直しを行う場面で活用されるのが、事業売却です。本記事では、事業売却の概要、メリット・デメリットなどをご紹介します。この記事のポイント事業売却は不採算部門の整理や経営資源の集中を目的とする。売り手にとっては、売却後も経営権を残せるという点が大きなメリットに挙げられる。買い手にとっては、譲受ける事業範囲を指定できる一方、事業に必要
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カーブアウトとは?メリットや課題、進め方、企業事例を紹介
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今さら聞けない「PBR1倍割れ」とは?日本企業がとるべき対策は?
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