2024年5月の物流トラック運送業界M&Aを読み解く

荒瀬 貴文

日本M&Aセンター業種特化1部

業界別M&A
更新日:

⽬次

[非表示]

物流業界の2024年5月の公表M&A件数は10件

2024年5月において公表ベースでのM&A(合併・買収・資本参加)は10件であった。
2023年5月(8件)と2件の増加になった。

戦略の中心が「企業買収」へ

先月に続きセンコーホールディングスが単月で2件の買収を実施。(2024年1月~5月で5件目)
独特の戦略で同業の買収に限らず異業種の譲り受けを加速させている印象だ。

今後も既存事業の拡充、新規事業の開拓の2本軸により、M&A戦略を立てていくことが予想される。

更には、旧日立物流のロジスティードがアルプス物流をTOB(株式公開買い付け)によって子会社化すると発表した。

大きな狙いは効率的な物流サービスの強化や顧客基盤の拡大、物流量の増加に伴うスケールメリットの獲得、物流拠点の相互活用による稼働率の向上、輸配送の共同化による積載率の改善が可能になるなど見込んでいる。

各社、スケールメリットを生かすために買収を加速している印象だ。
これは物流業界に限った話ではなく他業界も同様の買収を多く行っている。

もはや「戦略の中心は企業買収」といっても過言ではないだろう

実際に2024年5月のM&A件数(適時開示ベース)は108件と前年同月を29件上回り、5月単月では過去10年で最多になっている。

取引額金額ランキングでも物流会社のM&Aが名を連ねており「業界再編」へ待ったなしの印象を受ける。
中小企業でも買収検討企業がここ数年急増していると感じる。

物流・トラック運送業界の最新動向やM&A事例が良くわかる物流業界M&Aセミナー開催中

成長のためにもまずは「市場調査」が重要

この様な成長意欲の高い企業が買収を検討する上で重要になってくるのは具体的な目的、目標を定めることも当然のことだがM&Aにおける物流業界の「市場調査」を行うことが重要になってくる。

タイミングを逃さない為にも定期的により多くの譲渡案件に触れ、最新の物流業界のM&A情報(事例など)を知る事が必須になると日々感じている。
ソーシング件数をKPIにしている企業もあるほどで多くの情報に触れることができるかどうかは、買収を検討している物流企業にとってM&Aの成功に直結すると感じている。

物流業界のM&A情報を集めて頂くためには大手M&A仲介会社がおすすめだろうと思う。
比較的多くの案件を取り扱い、多様な情報に触れることができる。

また、物流専門チームなど特化しているコンサルタントであればより専門的な情報を集める事ができると思う。
まずは「市場調査」から始めて頂き戦略を定めていただきたい。

日本M&Aセンターでは、事業売却をはじめ、様々な手法のM&A・経営戦略を経験・実績豊富なチームがご支援します。詳しくはコンサルタントまでお問合せください。

著者

荒瀬 貴文

荒瀬あらせ 貴文たかふみ

日本M&Aセンター業種特化1部

運行管理者資格保有(関東貨物第46628号) 1994年生まれ、島根県出身。新卒で第一生命保険に入社、リテールセールに従事した後営業マネジメントに携わり、日本M&Aセンターに入社。物流業界専門チームにて主に物流企業のM&A支援に携わる。

この記事に関連するタグ

「物流業界」に関連するコラム

2024年10月の物流トラック運送業界M&Aを読み解く

業界別M&A
2024年10月の物流トラック運送業界M&Aを読み解く

物流業界の2024年10月の公表M&A件数は11件10月における公表ベースでのM&A(合併・買収)は11件でした。前年同月の8件と比較して3件の増加となります。@cv_button物流・トラック運送業界のM&A「大再編時代」へ突入年間の累計で見ても、2023年1~10月の物流業界におけるM&A件数が71件であったのに対して24年1~10月は101件と4割以上の増加となっています。大手・中小を問わず

物流の2024年問題とは?影響と対策をわかりやすく解説

経営・ビジネス
物流の2024年問題とは?影響と対策をわかりやすく解説

2024年4月、物流業界は大きな転換期を迎えました。トラックドライバーの労働時間が厳しく制限される中、業界全体が人手不足やコスト増加といった深刻な課題に直面しています。これにより、効率的な運営やサービスの質が問われる今、企業はどのように解決策を見出し、持続可能な成長を実現するのかが焦点となります。本記事では物流における2024年問題の概要、対策をご紹介します。この記事のポイント2024年問題は、ド

2024年9月の物流トラック運送業界M&Aを読み解く

業界別M&A
2024年9月の物流トラック運送業界M&Aを読み解く

物流業界の2024年9月の公表M&A件数は8件9月における公表ベースでのM&A(合併・買収)は8件でした。前年同月の7件と比較して1件の増加となります。@cv_button過去20年最多ペースで進む物流M&A2023年1~9月のM&A件数は62件でしたが、2024年1~9月のM&A件数で90件を記録しており、ハイペースで実行されています。9月の特徴的な事例は物流大手トランコムのMBO(経営陣が参加

2024年8月の物流トラック運送業界M&Aを読み解く

業界別M&A
2024年8月の物流トラック運送業界M&Aを読み解く

物流業界の2024年8月の公表M&A件数は8件8月における公表ベースでのM&A(合併・買収)は8件でした。前年同月の7件と比較して1件の増加となります。@cv_button中堅・中小へ広がる物流業界再編の波大手企業をメインプレーヤーとした物流業界における業界再編の波は、中堅中小企業に着実に広がりを見せている。「創業100年・年商100億円」を掲げる八潮運輸は神奈川県に本社を構え自動車部品輸送に強み

2024年7月の物流トラック運送業界M&Aを読み解く

業界別M&A
2024年7月の物流トラック運送業界M&Aを読み解く

物流業界の2024年7月の公表M&A件数は17件7月における公表ベースでのM&A(合併・買収)は17件でした。前年同月の8件から9件の増加となります。@cv_button2023年1~7月のM&A件数は48件であったのに対し、24年の1月~7月のM&A件数は74件と急激に増加しており、先月に続き大手、中小を問わず運送事業を対象としたM&Aがハイペースで進んでいます。まさに「2024年問題」を背景に

2024年6月の物流トラック運送業界M&Aを読み解く

業界別M&A
2024年6月の物流トラック運送業界M&Aを読み解く

物流業界の2024年6月の公表M&A件数は11件6月における公表ベースでのM&A(合併・買収)は11件であった。前年同月の5件から6件の増加となった。@cv_button2024年に入り、物流業界の再編が大きく進行している。ロジスティード(旧日立物流)やSGホールディングス、セイノーホールディングスなどの大手物流企業が相次いで大型買収を発表し、それに呼応するようにマイナスイメージの強かった「M&A

「物流業界」に関連するM&Aニュース

福岡キャピタルパートナーズ運営ファンド出資のNSトランスポート、九州安芸重機運輸を譲受け

株式会社福岡キャピタルパートナーズ(福岡県福岡市)が運営・管理するナイン・ステーツ・5投資事業有限責任組合が出資する株式会社NSトランスポートは、九州安芸重機運輸株式会社(福岡県福岡市)との間で、九州安芸重機運輸の全株式の譲受に関する株式譲渡契約を締結した。福岡キャピタルパートナーズは、各種ファンドの組成・運営、不動産開発のアレンジ、コンサルティングを行っている。九州安芸重機運輸は、建設機械、建設

NIPPON EXPRESS ホールディングス、ドイツのヘルスケア産業向け物流 Simon Hegele社を買収

NIPPONEXPRESSホールディングス株式会社(9147)は、SHHoldCoGmbH(ドイツ、以下:SimonHegele)の全ての株式を取得することについてSimonHegeleの全株主と合意し、株式譲渡契約を締結することを決定した。NIPPONEXPRESSホールディングスは、NXグループの持株会社。国内外で物流サービスや不動産業を営む同グループ各社の経営管理、およびそれに付帯する業務を

セイノーHD傘下のセイノースーパーエクスプレス、関東エアーカーゴから航空部門事業を承継

セイノーホールディングス株式会社(9076)傘下のセイノースーパーエクスプレス株式会社(東京都江東区)は、東海運株式会社(9380)の連結子会社である関東エアーカーゴ株式会社(埼玉県さいたま市)の航空部門事業を吸収分割により承継する。セイノースーパーエクスプレスは、貨物自動車運送事業、貨物運送取扱事業、港湾運送事業等を行っている。関東エアーカーゴは、一般貨物運送事業を行っている。目的下記①~③を目

コラム内検索

人気コラム

注目のタグ

最新のM&Aニュース