ファンドへの譲渡・売却に関する事例紹介

PEファンドのサポートで社内改革を実行。一族経営が続く企業で社員から後継者を選び、事業承継をした事例

PEファンドのサポートで社内改革を実行。一族経営が続く企業で社員から後継者を選び、事業承継をした事例

譲渡企業: アートジャパン株式会社

所在地
宮崎県
事業内容
建設機械用路面保護用ゴムパッドの製造販売
売上高
約11億円 ※M&A実行当時
代表
吉田徳之 氏
従業員数
約40名 ※M&A実行当時

譲受PEファンド: 株式会社日本投資ファンド

担当
岡﨑俊亮 氏

PEファンドとのM&A実行の背景

建設機械用の路面保護ゴムパッド「アートライナー」を中心に製造・販売を行うアートジャパン株式会社。創業社長で前オーナーでもある服部富太郎氏が考案した「アートライナー」は大手建機メーカーで採用されており、同社は市場で確固としたポジションを築いてきた。
2016年、前オーナーは次期社長として社員の中から吉田徳之氏を抜擢。株式は前オーナーが100%保有したままであり、代表取締役の交代と並行しつつ、株式の第三者への譲渡=M&Aが模索されはじめた。

吉田氏の社長就任後も、卓越した発想と技術力で会社をけん引してきた前オーナーの影響力が強く残っていた同社。新しいチャレンジや枠を超えた発想ができない雰囲気が社内に漂うことに吉田氏は危機感を覚える中、日本M&Aセンターから事業会社のほか、PEファンドへの譲渡という選択肢が提示された。PEファンドの日本投資ファンド側は、同社の製品や技術に対する強みはもちろんのこと、経営改革による成長ポテンシャルの高さに強く関心を示していた。

当初吉田氏は前オーナーと同様に、PEファンドへの譲渡に対して、ファンドに対するネガティブなイメージからあまり乗り気ではなかった。しかし実際に日本投資ファンドの担当である岡﨑氏と会い、話を重ねる中で「PEファンドは私たちの会社をレベルアップさせてくれる存在」「経営のプロであるPEファンドと組めば、改革が実現できるのではないか」と不安は大きな期待に変わった。吉田氏の強い推薦や、前オーナーの健康問題で早期のM&A実現が望まれていたことから2018年12月に日本投資ファンドとの最終合意に至った。

PEファンドとのM&A実行後の成果

M&A完了後、ファンド担当者である岡﨑氏が管理本部長に就任。吉田氏はじめアートジャパン社員全員と協力しながらさまざまな施策、社内改革に着手。中期経営計画の策定を皮切りに、社内の情報開示、人事制度の見直しなどの制度改革を断行。全体的な士気のアップにつなげた。
また、社内コミュニケーションの機会を積極的に設けることで社内の雰囲気も変化。現場からはアイデアが積極的に提案されるようになり、新製品開発も活発になった。

その結果、M&Aの実現から1年ほどの間に数種類の新製品が開発され、製品ラインナップが拡充し現在も継続して開発が進められている。
販売面でも前年比増の売上推移が続くなど成果を生み出している。

生産面においては、工場の製造設備更新を実施。最新設備の導入により生産性や安全性が向上した結果、社員が快適で働きやすい環境に変わった。社内改善は人材面にもプラスの影響を及ぼし、社員紹介による「リファラル」採用等の活用でM&A後2年で多くの若手社員の採用が実現した。

M&Aから2年ほど経ち一定の社内改革を実現した現在は、同業他社(建機部材会社)の譲受けによる業容拡大、さらにはIPOも視野にさらなる成長の高みを目指している。

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